— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人に理事会は必ず置かないといけませんか?

いいえ。理事会はNPO法に定められていない任意の機関です。法律で必ず必要なのは社員総会役員(理事3人以上・監事1人以上)で、通常総会は少なくとも年1回開催しなければなりません(法第14条の2、第15条)。理事会を置かずに、理事と他の役職者や社員等から構成する「運営委員会」「評議会」などの機関を設けて運営することもできます。置く場合は、社員総会の専権事項(定款の変更、解散、合併)以外の事項について、定款で理事会の議決事項と定めることができますが、定款に書いた社員総会の権能と重複しないよう整合をとる必要があります。なお監事は理事や法人の職員を兼ねることができず(法第19条)、役員の任期は2年以内で再任が可能です(法第24条)(2026年9月23日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • これからNPO法人を設立し、定款を設計する方
  • 「この決定は総会か理事会か」で迷っている法人の方
  • 役員の人数や任期のルールを確認したい方

法律で必ず置くのは「社員総会」と「役員」です

NPO法人の機関は、意外とすっきりしています。法律で必ず必要なのは社員総会役員(理事・監事)です。

機関法律上の扱いポイント
社員総会設置必須最高の意思決定機関。少なくとも年1回、通常総会を開催(法第14条の2)
理事3人以上(法第15条)法人を代表し、業務を決定する。定款で代表権を制限できる
監事1人以上(法第15条)業務執行と財産の状況を監査。理事・職員との兼職は不可(法第19条)
理事会法律上は任意置く場合は定款で権限を定める

佐賀県の手引きは、組織運営に関わる決議ができる会議は定款で定めるとしたうえで、基本は法人の最高決議機関である「社員総会」(法律上設置必須、年1回開催の義務)と、執行機関の「理事会」(法律上、設置は任意)だと説明しています(制度。2026年9月23日確認)。

「理事会」は置かなくてもよい。置くなら定款で決める

理事会はNPO法に定められていない任意の機関です。そのため、理事と他の役職者や社員等から構成する「運営委員会」「評議会」などの機関を設けて運営することも可能とされています。

置く場合は、社員総会の専権事項(定款の変更、解散、合併)以外の事項について、定款で理事会の議決事項と定めることができます。注意点として、定款に書いた社員総会の権能と重複しないよう整合をとる必要があります。ここが曖昧だと、「この決定は総会か理事会か」で毎回もめることになります。

— この段階でご相談いただく理由 —

設立のときに定款の雛形をそのまま使うと、総会と理事会の権限が重なったまま運営が始まります。毎年の事業報告書や役員の選任は、定款で定めた決議機関で決議したうえで提出する必要があるため、ここがずれると届出のたびに迷います。設立時に整えるのがいちばん安上がりです。

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役員のルールで押さえる4点

  • 人数——理事3人以上、監事1人以上。
  • 兼職の制限——監事は理事や法人の職員を兼ねられません(法第19条)。
  • 任期——2年以内で定款で定める期間。再任は可能です。定款で役員を社員総会で選任することとしている法人は、後任が選任されていない場合に限り、任期の末日後、最初の社員総会が終わるまで任期を伸長できます(法第24条)。
  • 欠格事由と親族の制限——役員になれない人の要件(法第20条)と、役員のうち親族が占められる数の制限(法第21条)があります。

総会は「書面等による決議の省略」もできます

社員全員が書面または電磁的方法により同意の意思表示をしたときは、社員総会の決議を省略できます(法第14条の7)。遠方の社員が多い法人では現実的な選択肢です。ただし、省略した場合も記録は残す必要があります。議事録に代わる書面をどう整えるかを、定款と運用で決めておいてください。

📗 毎年の義務はNPO法人の「続けるコスト」一覧、総会の実務はNPO法人の総会の招集・定足数・議事録にまとめています。

設立時に決めておくと、あとが楽なこと

  • 総会と理事会(または運営委員会)の権限の線引き——事業報告書の承認、役員の選任、定款変更をどこで決めるか。
  • 議事録の作り方——誰が書き、誰が確認し、どこに保管するか。所轄庁への届出で添付を求められます。
  • 任期の管理——2年ごとの改選と、代表権のある理事の変更登記(2週間以内)。

NPO法人の運営でつまずくのは、たいてい制度の難しさではなく「どこで決めるか」が決まっていないことです。定款は法律の写しではなく、自分たちの運営の設計図だと考えてください。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|届出・登記の窓口(千葉県の場合)

役員の変更等の届出先は所轄庁です。千葉県内なら、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事になります。代表権のある理事の変更登記は法務局で、松戸市に主たる事務所があれば千葉地方法務局松戸支局です。なお、役員全員が再任(重任)した場合も、千葉県は届出事由に「任期満了」を挙げ、千葉市は「再任の場合でも役員の変更等届出書と役員名簿の提出が必要」と明記しています(2026年9月23日確認)。代表権のある理事の再任は登記も必要です(2026年9月23日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

定款の作成でいちばん時間をかけるべきなのは、目的の条文と、この「どこで決めるか」の設計だと思っています。あとから直すには総会の決議が要りますし、内容によっては所轄庁の認証も必要です。最初の一手間が、何年分もの手間を減らします。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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