— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の理事長が事務局の職員を兼ねて給料をもらうと、役員報酬に数えますか?

理事長が事務局の仕事もしていて、給料を出していいか迷っている方へ。職員としての給与は、役員報酬には数えません。内閣府のNPO法Q&Aは、報酬を受ける役員は役員総数の3分の1以下(第2条第2項第1号ロ)の「報酬」は役員としての報酬で、職員としての職務執行の対価としての給与はこれに当たらないと考えられるとしています。ただし監事は職員を兼ねられません(第19条)(内閣府NPO法Q&A・特定非営利活動促進法(2026年10月8日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 理事長が事務局長を兼ねていて、給料を出したいNPO法人の方
  • 「報酬を受ける役員は3分の1以下」の数え方に迷っている方
  • 役員名簿の「報酬の有無」や活動予算書の書き方を確認したい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の60分の無料相談で、役員名簿と、理事長・監事が実際にしている仕事を一緒に確認します
  2. ご依頼後は、役員名簿の「報酬の有無」と活動予算書の科目を書き分け、職務の書き出しの型をお渡しします
  3. 税金・社会保険の扱いは、税理士・社会保険労務士に確認していただく事項として整理してお渡しします

「理事長が事務局長も兼ねて、給料をもらうのはアリ?」と迷っている方へ。職員としての給与は、役員報酬に数えません

理事長が事務局の仕事も担っている法人で、そこに給料を出そうとすると「報酬を受ける役員は3分の1以下」という決まりが頭をよぎります。内閣府のNPO法Q&Aにも、この質問が載っています。「理事長などの特別職にある者が、事務局の職員を兼務し、職員としての労働の対価を受け取った場合、その対価は役員報酬とみなされるのでしょうか。」

答えは、職員としての職務執行の対価としての給与は、役員報酬には当たらないと考えられる、です。法律が3分の1以下と求めているのは「役員としての報酬」を受ける人の数です(制度。特定非営利活動促進法 第2条第2項第1号ロ・内閣府NPO法Q&A(2026年10月8日確認))。

千葉県の手引きも、役員名簿の記載例の注で「ここでいう『報酬』とは法人の意思決定に係る対価であり、労働の対価である『給与』は含まない」と書いています(制度。千葉県「特定非営利活動法人申請・届出の手引き」(2026年10月8日確認))。

ただし監事は、職員を兼ねられません

結論として、同じ形を監事でやることはできません。法律は「監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない」と定めています(第19条)。内閣府のQ&Aも、同じ回答の最後に、監事は職員との兼務は認められないと書いています。

「監事さんにも事務を手伝ってもらって、少しお礼を」は、監事を職員として雇う形になると第19条に当たります。監事は、帳簿と業務を外から見る役です。監事の役割はNPO法人の監事の役割と兼職の禁止にまとめています。

書類ではこう書き分けます——役員名簿と活動予算書

ひとことで言うと、役員としての報酬と、職員としての給与を、書類の上で分けて書きます。

書類役員としての報酬職員としての給与(兼務の理事長など)
役員名簿の「報酬の有無」欄報酬を受ける役員は「有」この欄の「報酬」に給与は含まない(千葉県の記載例の注)
「有」の数の上限役員総数の3分の1以下(第2条第2項第1号ロ)上限の数には入らない(内閣府Q&A)
活動予算書・活動計算書の科目「役員報酬」「給料手当」(千葉県の記載例は別の科目で計上)
監事報酬は出せる(3分の1の数に入る)職員を兼ねられないので、給与の形は取れない(第19条)

(制度。特定非営利活動促進法 第2条第2項第1号ロ・第19条、内閣府NPO法Q&A、千葉県の手引きの役員名簿と活動予算書の記載例(2026年10月8日確認))

数え方の例:理事3人・監事1人の計4人なら、役員報酬を受けられるのは1人までです。理事長が役員報酬を受けずに事務局長としての給与だけを受けるなら、この「1人」には数えない、というのが内閣府Q&Aの考え方です。

— この段階でご相談いただく理由 —

設立の申請書類を作る段階なら、役員名簿の「報酬の有無」と活動予算書の科目を、最初からそろえて作れます。設立後に書き分けがずれていると、事業報告書の時点で説明が要ります。

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「職員としての給与」と言える形にしておく——3つの準備

結論として、名前だけ「給与」にしても、中身が役員の仕事の対価なら説明がつきません。内閣府のQ&Aが言っているのは「職員としての職務執行の対価」です。そう言える形を、書類で残しておきます(当事務所の見解)。

1つ目は、事務局の仕事の中身です。経理、会員対応、イベントの運営など、職員として何をするかを書き出します。理事会で法人の意思決定をする仕事とは分けておきます。

2つ目は、給与の決め方です。職員の給与として、ほかの職員と同じ基準で決めた記録を残します。給与規程があれば、それに沿って決めます。

3つ目は、雇用の契約を誰が法人の代表として結ぶかです。法人と理事との利益が相反する事項については、その理事は代表権を持ちません(第17条の4)。理事長本人との雇用の契約が利益相反に当たるかは、本記事の確認範囲では一次資料で確認できませんでした。所轄庁に確認してください(要確認)。

人事を15年やってきた身からすると

兼務の給与で一番もめるのは、金額より「何の仕事の対価か」があいまいなときです。職務の書き出しを1枚作り、勤務の記録を残す。そうしておけば、理事が入れ替わったときに、次の理事長に引き継げる形にもなります。

財務の目で見ると

活動計算書で「役員報酬」と「給料手当」が分かれていると、外から見た人にも、法人の人件費の中身が伝わります。認定NPO法人になると、前事業年度の役員報酬又は職員給与の支給に関する規程を事務所に備え置くことになります(第54条第2項)。最初から分けて記録しておくのが近道です。

税金と社会保険は、別に確認が要ります

ここまでの話は、NPO法の「報酬を受ける役員は3分の1以下」の数え方です。理事長に払う給与を、法人税や源泉所得税、社会保険・労働保険でどう扱うかは、別の法律の話です。本記事では扱っていません。税理士・社会保険労務士に確認してください。

今日やること——3つだけ

まず、役員名簿の「報酬の有無」で「有」が役員総数の3分の1以下かを数えてください。で、理事長が事務局の仕事をしているなら、その仕事の中身を書き出します。最後に、監事が事務を手伝っていないかを確認します。この3つで、兼務の給与まわりの抜けがほぼ埋まります。

理事を頼むときの注意点はNPO法人の理事を頼まれたら確認する5つ、理事長の物件を事務所に借りる場合は理事長の物件を事務所に借りるときの利益相反も参考にしてください。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。役員名簿の「報酬」に給与を含まないことは、千葉県の手引きの記載例の注にあります(2026年10月8日確認)。

※2026年10月8日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「理事長だから給料は出せない」と思い込んで、無給で抱え込んでいる法人を見かけます。役員の報酬と職員の給与を分けて考えるだけで、続けられる形が見えてきます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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