— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の理事を頼まれました。引き受ける前に何を確認すればいいですか?

法律で決まっている5つです。①破産未復権・禁錮以上の刑から2年未経過・暴力団の構成員等・認証取消法人の役員から2年未経過などの欠格事由(第20条)に当たらないか、②親族が役員総数の3分の1を超えないか(第21条)、③報酬を受ける役員は3分の1以下か(第2条第2項第1号ロ)、④任期は2年以内(第24条)、⑤登記・役員変更の届出・事業報告書等の提出を怠ると理事・監事本人が20万円以下の過料(第80条)。頼む側は、この5つを口頭で伝えてから承諾書と誓約書をもらってください(特定非営利活動促進法{CT})。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • NPO法人の理事を頼まれて「名前だけでいいから」と言われ、本当に大丈夫か迷っている方
  • NPO法人を設立予定で、理事を知人に頼む前に何を伝えればいいか分からない方
  • 役員の報酬・親族・任期の決め方を設立前に整理したい方

NPO法人の理事は「名前だけ」では済みません。頼まれたら、引き受ける前に法律で決まっている5つを確認してください

ひとことで言うと、NPO法人の理事・監事は、法律で「なれない人」「置ける人数の上限」「任期」「本人が払う過料」が決まっています。知らずに引き受けると、本人が20万円以下の過料の対象になったり、法人が認証を取り消されたときに取消しから2年を経過するまでほかのNPO法人の役員になれなくなったりします。設立で理事を頼む側も、頼まれる側も、この5つを先に見ておいてください。

5つの確認——条文で見る

確認すること法律の決まり条文
①なれない人に当たらないか破産して復権していない者、禁錮以上の刑の執行終了等から2年を経過しない者、暴力団の構成員等、認証を取り消されたNPO法人の解散当時の役員で取消しから2年を経過しない者など第20条
②親族が多すぎないか役員のうち、それぞれの役員について配偶者もしくは三親等以内の親族が1人を超えて含まれ、または当該役員とその配偶者・三親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えて含まれてはならない第21条
③報酬をもらう役員は3分の1以下か役員のうち報酬を受ける者の数が役員総数の3分の1以下であること(NPO法人の要件)第2条第2項第1号ロ
④任期は何年か役員の任期は2年以内において定款で定める期間。再任は妨げない第24条第1項
⑤本人が払う過料があるか登記を怠った、財産目録を備え置かない、役員変更の届出をしない、事業報告書等の提出を怠った等の場合、理事・監事・清算人は20万円以下の過料第80条

(制度。特定非営利活動促進法。群馬県掲載の条文(2026年10月4日確認))

見落としやすい3点

1つ目は、過料は「法人」ではなく「理事、監事又は清算人」に科されることです。第80条は、登記を怠ったとき、財産目録を備え置かなかったとき、役員の変更の届出をしなかったとき、事業報告書等の提出を怠ったときなどに、理事・監事・清算人を20万円以下の過料に処する、と定めています。代表理事だけの話ではありません。

2つ目は、認証の取消しが役員本人に残ることです。所轄庁は、3年以上にわたって事業報告書等の提出を行わない法人の設立の認証を取り消すことができ(第43条第1項)、取り消された法人の解散当時の役員は、取消しの日から2年を経過するまでNPO法人の役員になれません(第20条)。仙台市の案内でも、この点が注意事項として明記されています(制度。仙台市「NPO法の罰則・監督規定」(2026年10月4日確認))。

3つ目は、監事は理事や職員を兼ねられないことです(第19条)。小さな法人で「理事が足りないから監事にも名前を」はできません。また、法人と理事の利益が相反する事項については、その理事は代表権を持たず、所轄庁が特別代理人を選任します(第17条の4)。理事が経営する会社と法人が取引をする場面では、この条文が関係します。

人事15年の目で見ると

理事を頼むときの一言で、引き受けたあとの空気が変わります。「名前だけでいいから」と頼むと、過料や欠格の話が出た瞬間に信頼が崩れます。最初から「任期は2年、年に1回は総会に出てもらう、事業報告書が出せないと本人にも過料がある」まで言って、それでも引き受けてくれる人が、長く残ります。

財務の目で見ると

報酬をもらう役員は3分の1以下、という上限は、法人の支出の設計にも関わります。理事3人なら報酬を出せるのは1人まで。残りは無報酬です。設立のときに「誰が報酬を受ける役員か」を決めて役員名簿に書きます(第10条第1項第2号イ)。あとから増やすと、要件を外れます。

頼む側の手順

まず、候補の方に第20条の欠格事由に当たらないことを確認し、就任承諾と欠格事由に該当しない旨の誓約の書面をもらいます(設立の認証申請の添付書類です。第10条第1項第2号ロ)。で、親族関係を役員名簿の上で数え、第21条の上限を超えていないかを見ます。あと、報酬の有無を役員ごとに決め、3分の1以下に収めます。最後に、任期・総会・事業報告書・過料の4点を口頭で伝えてから、承諾書に署名してもらいます。

当事務所は、NPO法人の設立で、役員候補への説明資料(条文つき)と承諾書・誓約書の案を一緒にお渡ししています。頼みにくい話を、書面にして渡すだけで、引き受けてくれる人の顔ぶれが変わります。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

松戸・市川・柏・船橋など千葉県内の法人は千葉県(県民生活課NPO法人班)、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市が所轄庁です。役員の就任承諾書・誓約書の様式は所轄庁の手引きにあります。当事務所は全国オンラインで設立と役員設計を支援します(2026年10月4日確認)。

※2026年10月5日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「名前だけ貸して」と頼まれた理事が、過料の通知で初めて自分が役員だと実感する。そういう話を聞くたびに、頼むときの一言が大事だと思います。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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