— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人と社会福祉法人は、何が違いますか?

大きな違いは設立の入口と行政の関与の重さです。NPO法人は特定非営利活動促進法に基づき所轄庁の認証を受けて登記し、社会福祉法人は社会福祉法に基づき所轄庁の認可を受けて登記します(厚生労働省の資料)。社会福祉法人の所轄庁は原則として主たる事務所のある都道府県で、事業が市の区域を越えない場合は当該市です。また社会福祉法人は、設立の意思決定を設立発起人会の総意で行い、社会福祉事業を実施するには事業実施地域の行政機関と事前協議を行って定員・人員・予算などの計画を提出する、とされています(豊中市の設立の手引き)。なお特別養護老人ホーム等を除けば、NPO法人や株式会社なども社会福祉事業に取り組めます。障害福祉サービスや障害児通所支援の指定は、法人格の種類を問いません(個人事業主は不可)(2026年9月23日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 福祉の事業を法人で始めるにあたり、法人格を選んでいる方
  • 「社会福祉法人でないとできないのか」を確かめたい方
  • 将来の事業展開を見据えて法人格を考えたい方

入口が「認証」か「認可」かで、重さが変わります

障害福祉や高齢福祉の事業を法人で行うとき、NPO法人と社会福祉法人が候補に挙がることがあります。いちばん大きな違いは設立の入口です。

項目NPO法人社会福祉法人
根拠法特定非営利活動促進法社会福祉法
目的特定非営利活動(20分野)を行うこと社会福祉事業を行うこと
設立所轄庁の認証+登記所轄庁の認可+登記
所轄庁都道府県知事(1つの政令市内のみなら市長)原則は主たる事務所の都道府県。事業が市の区域を越えない場合は当該市
設立前の関与申請書類の一部を2週間縦覧行政との事前協議(定員・人員・予算などの計画を提出)

厚生労働省の資料でも、社会福祉法人は「社会福祉事業を行うことを目的とする法人」で設立規制は所轄庁の認可、NPO法人は「特定非営利活動を行うことを目的とする法人」で所轄庁の認証と整理されています(制度。2026年9月23日確認)。

社会福祉法人は「行政との協議」から始まります

豊中市の設立の手引きでは、社会福祉法人の設立や事業の意思決定は、理事長就任予定者などの個人ではなく、複数の設立発起人で構成する設立発起人会の総意による必要があるとされています。さらに、社会福祉事業を実施するには事業実施地域の行政機関と事前協議を行い、定員・人員・予算などの計画を提出するとされています。

つまり社会福祉法人は、「作ってから事業を考える」ことができない法人です。行政の計画との整合を見ながら、設立と事業開始のスケジュールを調整していきます。

— この段階でご相談いただく理由 —

「特別養護老人ホームをやりたいから社会福祉法人」という順番なら分かりますが、障害福祉サービスの多くはNPO法人でも株式会社でも指定を受けられます。法人格は、やりたい事業と、お金の集め方から逆算して決めるものです。迷ったら、事業の中身を先に固めてください。

<ご相談時にお持ちいただくもの>やりたい事業の内容と規模/資金の当て(自己資金・借入・寄付)/関わる人の人数。60分無料相談はこちら

第一種と第二種で、できる主体が違います

社会福祉法には第一種社会福祉事業第二種社会福祉事業があります。特別養護老人ホームなどの入所系は第一種に分類され、特別養護老人ホーム等を除けば、NPO法人や株式会社など多様な事業主体が社会福祉事業に取り組めると豊中市の手引きも説明しています。

障害福祉サービスや障害児通所支援の指定は、法人格の種類を問いません(個人事業主は不可)。「社会福祉法人でないとできない事業かどうか」を最初に確かめるのが、法人格選びの出発点です。

選び方の3つの問い

  • やりたい事業は、社会福祉法人でなければできないか——できるなら、より軽い法人格で始められます。
  • 10人の社員を集められるか——NPO法人は社員10人以上が設立と維持の要件です。
  • お金はどこから来るか——寄付・助成・行政の委託が軸ならNPO法人の情報公開と認定制度が効きます。給付費と自己負担で回るなら、身軽な法人格が向きます。

📗 一般社団法人との比較はNPO法人と一般社団法人の違い、障害福祉でNPOが効く場面は障害福祉でNPO法人が有利になる6つの場面にまとめています。

この記事で扱っていないこと

社会福祉法人の設立には、資産(基本財産)の要件、役員の構成、評議員会の設置など、社会福祉法と審査基準で定められた細かな要件があります。本記事では金額や人数の要件までは確認していません(要確認)。実際に検討する場合は、所轄庁が公表している「社会福祉法人の設立の手引き」と審査基準を取り寄せてください。社会福祉法人の設立支援は、所轄庁との事前協議が中心になるため、早い段階で窓口に相談することをおすすめします。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で検討するとき

NPO法人の所轄庁は、事務所が1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長、それ以外は都道府県知事です。千葉県内なら、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事になります。社会福祉法人の所轄庁は原則として主たる事務所のある都道府県で、事業が市の区域を越えない場合は当該市とされています。したがって「松戸市内だけで事業を行う社会福祉法人」と「県内の複数市で事業を行う法人」では、窓口が変わります。社会福祉法人を検討する場合は、事業の実施地域を先に決めてから窓口に相談してください(2026年9月23日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「福祉だから社会福祉法人ですよね」と聞かれることがありますが、実際にはそうとは限りません。やりたい事業がどの区分に入るかで、選べる法人格が変わります。私はまず、事業の内容を紙に書き出すところからご一緒しています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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