— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人と合同会社、どちらで始めるべきですか?
「お金を誰のものにしたいか」「何人で決めるか」「いつまでに要るか」の3つで決まります。NPO法人は認証手数料も登録免許税も0円ですが、社員10人以上と役員4人を集めて所轄庁の認証(縦覧2週間+審査)を受け、設立まで3〜4か月かかり、利益は分配できず、毎年の事業報告書は誰でも閲覧でき、解散時の残余財産は定款で定めた帰属先にしか渡せません。合同会社は登録免許税6万円(松戸市の特定創業支援等事業なら3万円)、1人で定款を作って1〜2週間で登記でき、利益を社員に分配でき、決算公告の義務もありません。障害福祉サービスの指定は法人であればどちらでも受けられます。自分と家族の資金で始めて利益を戻したいなら合同会社、親の会や地域の団体が母体で寄附・委託・会費で回すならNPO法人、非営利で少人数なら一般社団法人が中間の選択肢です(2026年9月28日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 設立費用が安い法人格として、NPO法人と合同会社の両方を候補にしている方
- 「NPOは信用がある」「合同会社は安い」と聞いて、どちらか決めかねている方
- 障害福祉の事業所を、個人で開くか団体で開くか迷っている方
結論——「非営利で信用を取るか、少人数で速く動くか」で分かれます
NPO法人と合同会社は、設立の法定費用がどちらも小さい(NPO0円、合同会社6万円)点で似ていますが、設立にかかる人数と期間、利益の扱い、情報公開、意思決定の仕組みが正反対です(制度。特定非営利活動促進法、会社法、登録免許税法(2026年9月28日確認))。
| 項目 | NPO法人 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 特定非営利活動促進法 | 会社法 |
| 設立の入口 | 所轄庁の認証(縦覧2週間+審査)→登記 | 定款作成(認証不要)→登記 |
| 設立までの期間 | 3〜4か月(千葉県は申請から認証まで約2か月+登記) | 1〜2週間(実務の目安) |
| 法定費用 | 認証手数料0円・登録免許税0円 | 登録免許税6万円(資本金×0.7%と比べて高いほう)。松戸市の特定創業支援等事業で3万円 |
| 必要な人数 | 社員10人以上、理事3人以上・監事1人以上 | 社員(出資者)1人から |
| 利益の分配 | できない(非営利)。役員報酬・給与は払える | 社員に分配できる |
| 活動の範囲 | 20分野の特定非営利活動が主目的 | 制限なし(定款の目的の範囲) |
| 意思決定 | 社員総会(議決権は1人1個)・理事会 | 社員の過半数(定款で自由に設計) |
| 情報公開 | 毎年の事業報告書等を所轄庁に提出・誰でも閲覧可 | 決算公告の義務なし(株式会社と違う) |
| 税金 | 収益事業の所得のみ法人税。均等割は免除申請で免除される自治体が多い | 全所得に法人税。均等割あり |
| 解散時の残余財産 | 定款で定めた帰属先(他のNPO法人・国・地方公共団体など)にしか渡せない | 社員に分配できる |
| 向く事業 | 委託・寄附・会費・助成金で回る事業、地域の複数の人と運営する事業 | 自分(と家族)の資金と融資で回し、自分で決めたい事業 |
この記事で分かることは、①上の表の各行が実務でどう効くか、②「非営利」と「儲からない」は別だということ、③障害福祉の開業ではどちらが選ばれるか、④迷ったときの3つの問いです。
差が実務で効く4つの場面
- ①設立の速さと人数:合同会社は1人で1〜2週間。NPO法人は10人と役員4人を集めて3〜4か月。「来月から始めたい」ならNPO法人は間に合いません(制度)。
- ②お金の出口:合同会社は利益を社員に分配でき、持分を譲渡して事業を売ることもできる。NPO法人は分配できず、解散しても残余財産は定款で定めた帰属先にしか渡せない(NPO法第11条第3項・第32条)。自分の投資を回収したい事業にNPO法人は向きません。
- ③信用のされ方:行政の委託・指定管理、寄附、助成金、地域の協力者を集める場面では、NPO法人の情報公開と非営利性が信用になります。合同会社は「何の会社?」と聞かれることがあり、事業所名で信用を作る必要があります(当事務所の見解)。
- ④縛りの強さ:NPO法人は毎年の事業報告書提出、役員の親族制限、社員10人の維持、役員2年ごとの改選と登記が続きます。合同会社は決算公告の義務すらなく、続けるコストが軽い(制度)。
「非営利」は「儲けてはいけない」ではありません
NPO法人の非営利とは「利益を構成員に分配しない」ことで、事業で利益を出すこと、役員に報酬を払うこと、職員に給与を払うことは認められています(制度。NPO法第2条第2項)。役員報酬を受け取れるのは役員総数の3分の1以下、という制限があるだけです。逆に合同会社は「営利」ですが、利益を出さなくても存続できます。営利/非営利の違いは「稼げるか」ではなく「稼いだお金を誰のものにできるか」です(当事務所の見解)。
障害福祉の開業ではどちらが選ばれるか
放デイ・グループホーム・就労支援の指定は法人であれば法人格を問わないため、NPO法人でも合同会社でも取れます。実務では、自分と家族の資金で始める開業者は合同会社か株式会社、地域の団体や親の会が母体になる開業はNPO法人を選ぶことが多いです(当事務所の見解。指定の法人要件は障害者総合支援法第36条第3項第1号・児童福祉法第21条の5の15第3項第1号)。
| 場面 | 向く法人格 | 理由 |
|---|---|---|
| 個人が自己資金と創業融資で放デイを開く | 合同会社(または株式会社) | 1人で速く設立でき、利益を自分に戻せる。指定申請の日程に合う |
| 親の会・地域の団体が母体で、寄附と委託で回す | NPO法人 | 非営利性と情報公開が委託・寄附の信用になる。会員で運営できる |
| 将来、事業を売却・承継する可能性がある | 合同会社(株式会社) | 持分・株式の譲渡で承継できる。NPO法人は残余財産の帰属先が限られる |
| 開業まで半年以上あり、10人の賛同者がいる | どちらでも。目的次第 | NPO法人の認証3〜4か月を日程に組み込めるなら選択肢になる |
NPO法人で障害福祉サービス事業を行う場合、その事業は法人税法上の収益事業に当たりうるため「NPOだから法人税がかからない」とは言えません(税務は税理士の領域)。税を理由にNPO法人を選ぶのは避けてください(当事務所の見解)。
— この段階でご相談いただく理由 —
「合同会社は安いから」「NPOは信用があるから」だけで決めると、設立後に「利益を戻せない」「10人を維持できない」「来月開業に間に合わない」で困ります。当事務所はNPO法人設立サポート(200,000円・税込)と障害福祉の指定申請サポート(220,000円〜・税込)の両方を扱い、法人格の選択から指定申請の日程までを一体で組みます。合同会社・株式会社の登記は提携司法書士に引き継ぎます。
準備物:やりたい事業、資金の出どころ、一緒にやる人の数、開業希望時期。60分の無料相談 →
迷ったときの3つの問い
- お金は誰のものにしたいか——自分に戻したいなら合同会社。事業に残す・地域に還すならNPO法人。
- 何人で決めるか——1人か家族なら合同会社。10人以上で運営するならNPO法人。
- いつまでに要るか——1か月以内なら合同会社。半年あるならNPO法人も選べる。
3つとも「合同会社」なら合同会社、3つとも「NPO」ならNPO法人です。割れるときは、一般社団法人(非営利で少人数・2週間で設立)が間の選択肢になります(NPO法人と一般社団法人の違い)。
📗 株式会社との比較はNPO法人とは?わかりやすく、障害福祉での法人格の比較は株式会社・合同会社・一般社団・NPO、どの法人格で開業する?、NPO法人のデメリットはNPO法人のデメリット12にまとめています。
参考にした一次資料
- e-Gov法令検索「特定非営利活動促進法」第2条(定義・非営利)・第10条(設立の認証)・第11条(定款・残余財産)・第28条〜第30条(事業報告書等の提出・閲覧)(2026年9月28日確認)
- e-Gov法令検索「会社法」第575条以下(持分会社の設立)・第621条(利益の配当)(2026年9月28日確認)
- e-Gov法令検索「登録免許税法」別表第一(合同会社の設立登記:資本金の額の1000分の7、最低6万円)(2026年9月28日確認)
- 松戸市「松戸市の創業支援」チラシ(特定創業支援等事業による登録免許税の軽減)(2026年9月28日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|松戸・千葉県内で法人を作る方へ
NPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県(県民生活課)です。合同会社の登記は主たる事務所を管轄する法務局(松戸市なら千葉地方法務局松戸支局)で、松戸市の特定創業支援等事業の証明書があれば登録免許税が3万円になります(松戸市内に本店登記する場合)。当事務所はNPO法人の認証申請と障害福祉の指定申請を担い、合同会社・株式会社の登記は提携司法書士へ、税務は提携税理士へつなぎます(2026年9月28日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「安いほうで」と言われたら、「安いのはどちらも同じです」とお答えしています。違うのは、集める人の数と、稼いだお金の行き先。私自身、10人を集めてNPO法人を作った経験から言えるのは、10人を集める過程そのものが事業の土台になる、ということです。それが要らない事業なら、合同会社で1週間で始めてください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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