— 30秒でわかる結論 —

Q. 障害福祉の事業所を開くなら、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれがよいですか?

指定を受けられるかどうかで差はありません。障害福祉サービスの指定は「法人であること」が条件で、法人の種類は限定されていません(障害者総合支援法第36条第3項第1号・児童福祉法第21条の5の15第3項第1号)。違いが出るのは設立の費用と日数、信用、資金の集め方、意思決定、税です。法定費用は合同会社6万円、一般社団法人約11万円、株式会社約18〜20万円、NPO法人0円で、NPO法人だけは所轄庁の認証に3〜4か月かかります。松戸市の特定創業支援等事業の証明書を受けて松戸市内に本店登記すれば、株式会社・合同会社の登録免許税は半額(15万円→7.5万円、6万円→3万円)です。自分と家族の資金と融資で回すなら株式会社か合同会社、委託・寄附・会費で回すならNPO法人、非営利で少人数なら一般社団法人が目安です(2026年9月27日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 放デイ・児発・グループホーム・就労支援の開業を考え、法人をこれから作る方
  • 「合同会社は安いけれど信用が心配」と迷っている方
  • NPO法人で障害福祉を始めたいが、指定申請の日程が読めない方

指定に「この法人格でなければならない」という決まりはありません——条件は「法人であること」です

障害福祉サービスの指定は法人であれば受けられ、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれでも申請できます(制度。障害者総合支援法第36条第3項第1号、児童福祉法第21条の5の15第3項第1号は申請者が「法人」であることを要件とし、法人の種類は限定していません(2026年9月27日確認))。個人事業主は申請できません。つまり法人格の選択は、指定が取れるかどうかではなく、設立にかかる費用と日数、信用のされ方、資金の集め方、意思決定の速さで決める問題です(当事務所の見解)。

この記事で分かることは3つです。①4つの法人格の設立費用と日数を同じ物差しで並べた表、②障害福祉の開業で実際に差が出る5つの軸、③松戸市の特定創業支援等事業で登録免許税が半額になる条件。当事務所は障害福祉の指定申請と法人設立を一体で扱い、定款の目的の文言で指定申請が止まる場面を何度も見てきました。その経験から、法人格より先に決めるべきことも書きます。

4つの法人格を、設立費用・日数・人数で並べると

設立の法定費用がいちばん安いのは合同会社(登録免許税6万円)とNPO法人(0円)で、株式会社は約20万円、一般社団法人は約11万円が目安です(制度。登録免許税法別表第一、公証人手数料令(2026年9月27日確認))。日数はNPO法人だけが桁違いに長く、認証の縦覧2週間と審査を含めて3〜4か月かかります。

法人格法定費用の目安(税込)設立までの日数設立時に必要な人数意思決定
株式会社登録免許税15万円(資本金×0.7%と比べて高いほう)+定款認証3〜5万円(資本金額で変動)。電子定款なら印紙4万円不要。合計約18〜20万円登記申請から完了まで1〜2週間程度(実務の目安)発起人1人、取締役1人から出資割合で決まる。株主総会・取締役
合同会社登録免許税6万円(資本金×0.7%と比べて高いほう)。定款認証は不要。合計6万円+実費登記申請から完了まで1〜2週間程度(実務の目安)社員(出資者)1人から原則、社員の頭数で決まる。定款で自由に設計できる
一般社団法人登録免許税6万円+定款認証5万円。合計約11万円登記申請から完了まで1〜2週間程度(実務の目安)社員2人以上、理事1人以上社員総会・理事。出資はなく、基金で集める
NPO法人登録免許税0円・認証手数料0円。実費のみ所轄庁の認証に縦覧2週間+審査(千葉県は申請から認証まで約2か月)+登記。合計3〜4か月社員10人以上、理事3人以上・監事1人以上社員総会(議決権は1人1個)・理事

株式会社の定款認証の手数料は、資本金100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です(制度。公証人手数料令第35条(2026年9月27日確認))。障害福祉の開業では運転資金を厚くするため資本金300万円以上にすることが多く、その場合は5万円です(実務の目安)。上の表の「実費」には、法人実印の作成費、登記事項証明書(1通600円)、印鑑証明書などが別にかかります。

松戸市の「特定創業支援等事業」を使うと、登録免許税は半額になります

松戸市の特定創業支援等事業の証明書を受けた個人が、松戸市内に本店を置く株式会社・合同会社を設立すると、登録免許税が資本金×0.7%から0.35%に軽減されます(制度。産業競争力強化法に基づく松戸市の創業支援等事業計画。松戸市商工振興課の案内(2026年9月27日確認))。株式会社なら最低税額15万円が7.5万円、合同会社なら6万円が3万円になります。

  • 対象:これから創業する人、または創業から5年を経過していない個人。会社法上の発起人で、かつ設立する会社の代表者になる本人が証明を受ける必要があります(制度)。
  • 受け方:松戸市の案内では、松戸スタートアップオフィスでの創業相談・専門家相談・創業継続相談(いずれも1か月以上かつ4回以上)、または「まつど創業塾」(全8回中6回以上出席)などが特定創作支援等事業に当たります(制度(2026年9月27日確認))。
  • 使い方:設立登記の申請時に証明書の原本を法務局に提出します。登記が終わってからでは受けられません(制度)。
  • 注意:一般社団法人とNPO法人はこの軽減の対象外です(対象は株式会社と合同会社)。また、松戸市が交付した証明書は松戸市内に本店登記する場合が対象で、他の市で登記する場合は使えません(制度)。

証明書には日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の貸付利率の引下げ、創業関連保証の特例(事業開始の6か月前から利用可)といった特典もあります(制度(2026年9月27日確認))。指定申請と創業融資を同時に進める障害福祉の開業では、証明書を先に取ってから法人を作る順番にすると、税と金利の両方で効きます(当事務所の見解)。松戸市以外の市町村にも同様の事業があるため、本店予定地の市の商工担当課で確認してください。

障害福祉の開業で、法人格の差が実際に出る5つの軸

費用と日数だけで決めると後悔します。差が出るのは、①信用のされ方、②資金の集め方、③意思決定と親族、④税と会計、⑤将来の売却・承継の5つです(当事務所の見解)。

軸株式会社合同会社一般社団法人NPO法人
①信用(保護者・相談支援・金融機関)最も一般的。説明不要「合同会社って何?」と聞かれることがある。事業所名で信用を作れば支障はない(実務の目安)非営利の印象。福祉分野では受け入れられやすい非営利・情報公開が法律で担保され、行政や寄附者に説明しやすい
②資金の集め方出資(株式)と融資出資(社員)と融資基金と融資。出資はない寄附・会費・助成金と融資。出資はない
③意思決定・親族出資割合で決まる。家族経営に向く定款で自由。家族経営に向く社員2人以上。理事の親族制限は原則なし社員10人・議決権平等・役員の親族制限(各役員の親族は1人まで、かつ役員総数の3分の1以下)。家族経営には向かない
④税と会計全所得に法人税全所得に法人税非営利型なら収益事業のみ課税(要件あり)収益事業のみ課税。障害福祉サービス事業は収益事業に当たりうる(税理士に確認)
⑤売却・承継株式の譲渡で可能持分の譲渡(他の社員の同意が原則必要)持分なし。理事の交代で承継持分なし。残余財産は限られた帰属先にしか渡せない

一般社団法人とNPO法人は「非営利」ですが、役員報酬や職員の給与は払えます。払えないのは利益の分配です。「自分の生活費が出ない法人格」と誤解して避ける必要はありません(制度)。

法人格より先に決めること——定款の「目的」と、指定申請の締切からの逆算

どの法人格でも、定款の目的に予定する障害福祉サービスの事業が書かれていないと、千葉県は指定申請を受理しません(制度。千葉県の指定申請の手引きの運用(2026年9月27日確認))。株式会社や合同会社を先に作ってから「目的に入っていなかった」と気づくと、定款変更と変更登記(登録免許税3万円)で1か月近く遅れます。設立前に目的の文言を確定させるのが、法人格の選択より先です(当事務所の見解)。

逆算の目安は次のとおりです(千葉県・障害児通所支援の場合。実務の目安(2026年9月27日確認))。

  • 指定日の4〜5か月前:市町村への事前説明。この時点で法人はなくても相談できますが、法人名・目的が決まっているほうが話が早い。
  • 指定日の4か月前の末日:県への事業相談シート提出。
  • 指定日の2か月前の末日:指定申請書類の提出(厳守)。この時点で法人の登記事項証明書と定款が必要です。

株式会社・合同会社・一般社団法人なら、申請の1か月前に設立に着手すれば間に合います。NPO法人は認証に3〜4か月かかるため、指定申請の締切の少なくとも5か月前に認証申請を出す必要があります。NPO法人で放デイや生活介護を始める方は、ここで日程が破綻することが多い(当事務所の見解)。

— この段階でご相談いただく理由 —

法人格と定款の目的は、指定申請の締切から逆算して決める必要があります。当事務所は指定申請サポート(220,000円〜・税込)の中で、定款の目的の文言・法人格の選択・特定創業支援等事業の使い方までを一体で組み立てます。登記の申請は司法書士の業務なので、提携司法書士に引き継ぎます。

準備物:予定するサービスの種類と定員、開業予定月、出資者・役員の予定、本店予定地(市町村)。60分の無料相談で日程表を作ります →

当事務所のおすすめ——迷ったら、この順で考えてください

判断の順番は「誰のお金で回すか→誰が決めるか→いつまでに指定が要るか」です(当事務所の見解)。

  1. 自分と家族のお金と融資で回し、自分で決めたい→株式会社か合同会社。費用を抑えるなら合同会社、対外的な説明の手間を減らすなら株式会社。
  2. 行政の委託・寄附・会費・助成金が主な収入で、地域の複数の人と運営したい→NPO法人。ただし指定申請の締切から5か月以上前に認証申請を。
  3. 非営利にしたいが、10人集められない・意思決定を速くしたい→一般社団法人。

法人格は後から変えられますが、株式会社⇄合同会社は組織変更登記、NPO法人⇄他法人格は解散と新設になり、指定は原則として引き継げません。最初の選択が指定の継続にも効くので、設立前に決めてください(制度・当事務所の見解)。

📗 定款の目的の書き方は指定申請は定款の目的で止まります、開業準備の全体像は法人設立から創業融資・採用・指定申請までの全体像、NPO法人と一般社団法人の比較はNPO法人と一般社団法人の違いにまとめています。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|松戸市で法人を作る方へ

松戸市の特定創業支援等事業は、松戸商工会議所・千葉県信用保証協会・日本政策金融公庫松戸支店などと連携して実施され、窓口は松戸市役所 商工振興課(047-711-6377)です。証明書は松戸市内に本店登記する場合に登録免許税の軽減に使えます。柏市・流山市・市川市・船橋市にも同種の事業があるため、本店予定地の市で確認してください。法人の設立登記の申請は司法書士の業務、税務の判断(非営利型の要件や収益事業の該当)は税理士の業務です。当事務所は定款の目的・法人格の選択・指定申請の日程を担い、登記と税務は提携先と分担します(2026年9月27日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「安いから合同会社」「なんとなく株式会社」で決めた方が、あとで定款の目的で止まる場面を何度も見ました。法人格の差より、目的の文言と締切からの逆算のほうが、開業できるかどうかを左右します。松戸市の証明書で登録免許税が半額になることも、知っている人だけが使っている制度です。法人を作る前に、一度だけ日程表を一緒に引かせてください。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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