— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の監事は何をする人ですか?理事や職員と兼ねられますか?
監事は理事の業務執行と法人の財産を監査し、不正や重大な違反があれば社員総会又は所轄庁に報告し、必要なら総会を招集できる役員です(第18条)。理事又は職員を兼ねることはできません(第19条)。NPO法人には理事三人以上及び監事一人以上が必要です(第15条、2026年10月4日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人の設立で監事を誰に頼むか迷っている方
- 事務局の人や家族を監事にしようとしている方
- 設立後の事業報告や役員変更の届出を監事と一緒に見直したい方
監事は「置かないといけない役員」で、理事と職員は兼ねられません
NPO法人には、役員として理事三人以上及び監事一人以上を置かなければなりません(特定非営利活動促進法第15条)。そして監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならないとされています(第19条)。つまり監事は、法人の中で唯一「経営をしない、働かない、でも見る」人です(制度。同法(2026年10月4日確認))。
設立のとき、監事は「とりあえず誰かにお願いする枠」になりがちです。ところが法律は、監事に具体的な5つの職務を書いています。
法律が決めている監事の5つの職務(第18条)
| 号 | 職務(条文の要旨) | 現場での意味 |
|---|---|---|
| 一 | 理事の業務執行の状況を監査する | 理事会・総会の議事録、契約、事業の実施状況を見る |
| 二 | 法人の財産の状況を監査する | 会計帳簿・通帳・計算書類・財産目録を突き合わせる |
| 三 | 不正の行為や法令・定款違反の重大な事実を発見したら、社員総会又は所轄庁に報告する | 理事に遠慮して黙る、ができない |
| 四 | その報告のために必要があれば、社員総会を招集する | 理事が総会を開かなくても、監事が開ける |
| 五 | 理事の業務執行や財産の状況について、理事に意見を述べる | 年1回の監査報告だけでなく、途中でも言える |
三号と四号が肝です。監事は、理事に不正や重大な違反があれば所轄庁に報告でき、そのために総会を招集できる。理事を監督する立場なので、理事や職員と兼ねられない(第19条)のは当然の作りです(制度。同法(2026年10月4日確認))。
人事15年の目で見ると
現場で起きやすいのは「事務局の人が監事」「代表の配偶者が監事」の2つ。前者は第19条(職員との兼職禁止)、後者は第21条(それぞれの役員について配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれないこと等)に当たります。設立前に役員名簿を家系図と組織図に重ねて確認してください。
「形だけの監事」が招くこと
毎事業年度の初めの三月以内に、前事業年度の事業報告書・計算書類・財産目録・年間役員名簿などを作り(第28条)、毎事業年度一回、所轄庁に提出します(第29条)。この計算書類を、監事が実際に見ているかどうかが問われます。三年以上にわたって事業報告書等を提出しないと、所轄庁は設立の認証を取り消すことができます(第43条)。監事が形だけだと、提出漏れに誰も気づかないまま年を越します(制度。同法(2026年10月4日確認))。
また、役員の氏名・住所に変更があれば遅滞なく所轄庁に届け出る必要があり(第23条)、届出をしなかったとき等は理事・監事・清算人が二十万円以下の過料の対象です(第80条)。監事自身の住所変更も対象です。役員の任期は二年以内で定款で定める期間(第24条)なので、監事の重任手続も任期ごとに回ってきます(制度。同法(2026年10月4日確認))。
監事をお願いするときの3つの確認
まず、兼職と親族。理事・職員でないこと、配偶者や三親等以内の親族の制限(第21条)に当たらないこと。次に、欠格事由(第20条)に当たらないこと。設立時には、各役員が第20条各号に該当せず第21条に違反しないことを誓約し就任を承諾する書面を出します(第10条第1項第2号ロ)。あと、年1回、帳簿と通帳を見てもらう時間を取れる人であること。ここが一番大事で、一番抜けます。
役員のうち報酬を受ける者は役員総数の三分の一以下(第2条第2項第1号ロ)なので、監事に報酬を出すかどうかも、理事の報酬と合わせて設計します。理事又は監事のうち定数の三分の一を超える者が欠けたときは遅滞なく補充しなければならない(第22条)ので、監事一人の法人で監事が辞めると、すぐ補充が要ります(制度。同法(2026年10月4日確認))。
📗 役員構成の全体はNPO法人の役員は何人必要?、総会・理事会・監事の機関設計はNPO法人の機関設計をどうぞ。
— この段階でご相談いただく理由 —
監事は「誰でもいい枠」ではなく、設立認証・毎年の事業報告・役員変更の届出に関わる役員です。当事務所は役員名簿を兼職・親族・欠格の3点で確認し、設立から毎年の事務まで伴走します。
当事務所からの視点
監事は、法人が小さいうちほど「見てくれる人」の価値が出ます。理事が見落とす提出期限と帳簿のズレを、年1回、別の目で見る。それだけで、認証取消や過料のような「知らなかった」が減ります。
参考にした一次資料
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|所轄庁
千葉県内なら、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県(県民生活課)が所轄庁です。当事務所は自分でゼロから社員10人を集めてNPO法人を設立した経験があり、役員名簿の兼職・親族・欠格の確認から全国オンラインで対応します(2026年10月4日確認)。
※2026年10月4日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
監事をお願いする相手には、この5つの職務(第18条)をそのまま印刷して渡すことをおすすめしています。「何をすればいいの?」が「これならできる」に変わる、いちばん短い説明だからです。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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