— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の設立が不認証になるのは、どんな場合ですか?
所轄庁は認証の基準に適合すれば認証しなければならず(NPO法第12条)、審査は書面が原則なので、正式な「不認証」は多くありません。多いのは受理前の「差し戻し」で、1回で数週間かかります。基準は8項目——①特定非営利活動を主目的とすること②営利を目的としないこと③社員の資格の得喪に不当な条件を付さないこと④報酬を受ける役員が3分の1以下⑤宗教・政治活動を主目的としないこと⑥特定の公職者・政党の推薦等を目的としないこと⑦暴力団等の統制下にないこと⑧社員10人以上(内閣府NPOホームページ・2026年9月13日確認)。引っかかりやすいのは、目的が抽象的で20分野に読み込めない、入会に理事会承認などの条件を付けている、理事3人・監事1人のうち2人が報酬を受けている(4人中2人=2分の1)、そして定款・事業計画書・活動予算書の事業名がずれているという形式要件です。受理後の縦覧2週間では定款・趣旨書・計画書・予算書などが公開されるため、公開される前提で書いてください。出す前に、所轄庁の定款例との条文単位の突合、役員の報酬と親族の数え直し、3書類の事業名の完全一致を確認すれば、差し戻しの大半は防げます。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人の書類を作り終え、出す前に引っかかる場所がないか確認したい方
- 所轄庁から差し戻されて、どこを直せばよいか分からない方
- 縦覧で何が公開されるのか知らずに書類を作っている方
不認証は「珍しい」が、差し戻しは「普通」です
NPO法人の設立認証は、所轄庁が認証基準に適合すると認めるときには認証しなければならないとされています(NPO法第12条)。審査は書面が原則です。だから、正式に「不認証」の決定が出ることは多くありません。
その代わり、申請の受理前に書類の補正を求められること(差し戻し)はごく普通に起きます。補正のたびに数週間かかり、受理が遅れれば縦覧の開始が遅れ、認証も登記も後ろにずれます。この記事は、認証の基準8項目と形式要件のそれぞれで、どんな書き方・組み方が引っかかるのかを整理したものです(内閣府NPOホームページ「認証制度について」・2026年9月13日確認)。
基準ごとの、引っかかる書き方と直し方
| 認証の基準 | つまずく書き方・組み方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 特定非営利活動を主たる目的とすること | 定款の目的が抽象的で、20分野のどれに当たるか読めない。事業の大半が「その他の事業」 | 目的を「誰の・どんな課題に・何をして」の形にし、事業の中心を特定非営利活動に係る事業に置く |
| 営利を目的としないこと | 定款や趣旨書に、構成員への利益還元と読める記述がある。役員報酬の額が事業規模に対して過大 | 剰余金の分配を行わない旨を定款に明記。役員報酬は規程で定め、金額の根拠を持つ |
| 社員の資格の得喪に不当な条件を付さないこと | 「理事会の承認を要する」「特定の資格を持つ者に限る」など、入会を制限する条件 | 入会は書面の申込みで足りる形に。退会も自由に。合理的な条件(活動への賛同)は可 |
| 報酬を受ける役員が3分の1以下 | 理事3人・監事1人で、理事2人が報酬を受ける形(4人中2人=2分の1) | 報酬を受ける役員を1人にするか、役員を増やす。職員給与と役員報酬を区別する |
| 宗教・政治活動を主目的としないこと | 趣旨書や事業に、特定の宗教・政党・候補者への支持と読める記述 | 施策の提言は可。特定の政党・候補者の支持・反対は不可。表現を確認する |
| 暴力団等の統制下にないこと | 確認書の記載漏れ、役員の欠格事由の確認漏れ | 役員全員の誓約書と確認書を揃える |
| 10人以上の社員 | 名簿は10人あるが、住所・氏名の記載が不完全。設立総会に出席した記録がない | 社員名簿と設立総会議事録の出席者を整合させる |
| (形式)申請書・定款が法令に適合 | 定款の必要記載事項(法第11条)の漏れ、事業年度・公告方法の未記載、定款と計画書・予算書の事業名のずれ | 所轄庁の定款例と突き合わせ、3書類の事業名を完全一致させる |
いちばん多いのは、最後の行の形式要件です。定款の事業名と、事業計画書・活動予算書の事業名が微妙に違う。所轄庁はこの3つを突き合わせて審査します。「学習支援事業」と「学習支援活動」の違いで差し戻されることもあります。
縦覧2週間で、何が見られているのか
申請書を受理した所轄庁は、書類の一部(定款、役員名簿(住所を除く)、設立趣旨書、事業計画書、活動予算書など)を2週間、公衆の縦覧に供し、インターネットで公表します。市民の目からも点検される、という制度設計です。
実務上、縦覧で市民から意見が出て認証が止まることは稀です。ただ、縦覧に出る書類は「公開される前提で書く」必要があります。設立趣旨書に特定の個人・団体への批判を書く、事業計画書に個人情報を書く、活動予算書に説明のつかない支出を書く——これらは縦覧で誰でも見られます。所轄庁も、公開される書類として内容を見ています。
差し戻しを避ける、出す前の3つの確認
- 所轄庁の定款例と、自分の定款を条文単位で突き合わせる——必要記載事項の漏れは、これで潰せる。独自の条文を入れるときは、所轄庁の事前確認で聞く
- 役員名簿・報酬の有無・親族関係を、基準に当てはめて数える——報酬役員が3分の1以下か、親族制限(役員総数5人以下なら親族不可)に触れていないか
- 定款・事業計画書・活動予算書の事業名を、一字一句そろえる——3つの書類を横に並べて確認する。予算書に定款にない事業の収入・支出がないか
申請書類10点の作り方と書く順番は設立認証の申請書類10点にまとめています。
介護・障害福祉の事業者の方へ
指定申請を予定しているNPO法人は、定款の目的・事業に根拠法と事業名が法令の用語で入っていないと、認証は通っても指定申請で差し戻されます。設立認証と指定申請の両方を見据えた定款はNPO法人で介護・障害福祉事業を始める順番にまとめています。
「出す前に、引っかかる場所がないか見てほしい」という方へ
差し戻しの往復は、1回あたり数週間です。出す前に上の表で自己点検していただき、判断に迷う項目があれば所轄庁の事前確認を使ってください。それでも不安な方は、60分の無料相談で、作成済みの定款・趣旨書・計画書・予算書を拝見し、基準ごとに引っかかる可能性のある箇所をお伝えします。
当事務所では60分の無料相談をお受けしています。NPO法人設立サポートは税込200,000円(設立登記は提携司法書士が担当・報酬別途。お見積りは登記報酬を含む総額を書面でお出しします)。設立の可否の段階でのご相談は、ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応しています。詳しくはNPO法人設立サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 内閣府NPOホームページ「認証制度について」(認証の基準8項目、公告及び書類の縦覧、認証又は不認証の決定。2026年9月13日確認)
- 特定非営利活動促進法 第10条(申請書類)、第11条(定款の記載事項)、第12条(認証の基準)、第21条(役員の親族等の排除)
- 当事務所のNPO法人設立サポートでの書類作成・所轄庁対応の実務
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県の所轄庁と事前確認
千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市、それ以外は千葉県(県民生活課NPO法人班043-223-4137)です。申請前に定款案や書類案の事前確認を受けられます。差し戻しの往復を減らすには、定款案と役員構成が固まった段階で一度確認を受けるのが確実です。松戸・市川・流山からのご相談はオンラインでもお受けしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
差し戻しの相談で書類を拝見すると、直すべき箇所はたいてい小さいのです。事業名の一文字、報酬の有無の丸の位置、入会規定の一文。でもその小さな箇所を見つけるのに、当事者は何日も悩んでいる。所轄庁の指摘は簡潔で、どこをどう直せばよいかまでは書いてくれません。第三者が横から見ると数分で見つかる。そういう役割だと思っています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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