— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の設立趣旨書には何を書けばよいですか?
設立趣旨書は設立認証申請の添付書類の一つで(NPO法第10条第1項第5号)、「1 趣旨」と「2 申請に至るまでの経過」の2項目で書きます。所轄庁の様式例では、趣旨に①定款の目的・事業に係る社会経済情勢とその問題点、②法人の事業が不特定かつ多数の者の利益に寄与する理由、③法人格が必要となった理由を、経過に④設立を発起し申請するに至った動機や経緯(活動実績があればその具体的内容)を書きます(京都府の様式例)。末尾に日付・法人名・設立代表者の氏名を記載し、押印なし・住所なし・2部提出とする所轄庁が多いですが、部数と様式は提出先の所轄庁の手引きで確認してください。この書類は所轄庁が受理から2週間縦覧に供し、誰でも読めるため(法第10条第2項)、定款・事業計画書・活動予算書と内容をそろえ、活動実績は事実だけを年月・回数・人数で書きます(2026年9月27日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人の認証申請書類を自分で作っていて、設立趣旨書で手が止まっている方
- 所轄庁から設立趣旨書の補正を求められた方
- 縦覧で市民に読まれる文書として、どこまで書くべきか迷っている方
設立趣旨書とは、認証申請の添付書類の1つで、縦覧で市民に読まれる「法人化の理由書」です
設立趣旨書とは、NPO法人の設立認証を申請するときに定款などとともに所轄庁へ提出する書類で、「趣旨」と「申請に至るまでの経過」の2つの項目で、なぜこの活動を法人として行うのかを説明するものです(制度。特定非営利活動促進法第10条第1項第5号(2026年9月27日確認))。所轄庁は申請を受理した日から2週間、定款・役員名簿・設立趣旨書・事業計画書・活動予算書を縦覧に供し(法第10条第2項)、誰でも読める状態にします。設立趣旨書は、審査官だけでなく市民に向けて書く文書です(制度・当事務所の見解)。
この記事で分かることは、①所轄庁の様式例が求める記載事項、②認証の基準(法第12条)との対応、③差し戻される書き方の類型、④当事務所の書き方の手順です。当事務所は、自らゼロから10人を集めてNPO法人の設立認証を受けたときに設立趣旨書を書き、その後の依頼でも縦覧で読まれることを前提に書いています(作る側の経験。法人名・時期は書きません)。
様式例が求める記載事項——「趣旨」に3つ、「経過」に1つ
所轄庁の様式例(京都府の例)は、「1 趣旨」に①定款に定めた目的や事業に係る社会経済情勢やその問題点、②法人の行う事業が不特定かつ多数の者の利益に寄与する理由、③法人格が必要となった理由、を書くよう示しています。そして「2 申請に至るまでの経過」には、④設立を発起し申請するに至った動機や経緯(活動実績があればその具体的内容)を書きます(制度。京都府「設立趣旨書 様式例・記載例(法第10条第1項第5号関係)」(2026年9月27日確認))。末尾に日付・法人名・設立代表者氏名を書き、押印はせず、住所は書かず、2部提出です(京都府の例。部数・押印の要否は所轄庁で確認)。
| 項目 | 書くこと | 認証の基準との対応(法第12条第1項) |
|---|---|---|
| ①社会経済情勢と問題点 | 活動分野で何が起きていて、何が足りないか。数字や公的資料があれば1つ | 特定非営利活動(20分野)を主目的とすることの前提 |
| ②不特定かつ多数の者の利益に寄与する理由 | 誰のために、どんな利益を、どう届けるか。会員や特定の人だけでないこと | 法第2条第2項「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与」 |
| ③法人格が必要となった理由 | 任意団体では何ができないか(契約・口座・雇用・委託・助成金の受け皿など) | 設立の手続・定款が法令に適合し、営利を目的としない団体であること |
| ④動機・経緯・活動実績 | いつ誰が始め、どんな活動をしてきて、なぜ今法人化するか | 宗教・政治活動を主目的としない、暴力団の統制下にないこと(第12条第1項第3号)の裏付けになる |
所轄庁の様式例は都道府県ごとに少しずつ違いますが、記載事項の骨格は全国共通です(内閣府「特定非営利活動法人の設立・管理運営の手引」が記載例を示し、各所轄庁がそれに準じている。制度(2026年9月27日確認))。提出先の所轄庁の手引きを必ず確認してください。
差し戻される書き方の5類型
差し戻しや補正の指示が出やすいのは、①定款の目的・事業と趣旨書の内容がずれている、②「不特定多数の利益」の説明がなく会員向けの活動に読める、③法人格が必要な理由が書かれていない、④経過が「思い立った」だけで具体性がない、⑤宗教・政治・特定の企業の宣伝と読める記述がある、の5つです(当事務所の見解。縦覧と審査で見られる点は認証の基準8項目ごとの引っかかる書き方で整理)。
| 類型 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| ①定款とのずれ | 趣旨書は子どもの居場所づくりなのに、定款の事業に高齢者向けが並ぶ | 定款の「目的」「特定非営利活動の種類」「事業」を先に確定し、趣旨書はその語をそのまま使う |
| ②不特定多数の説明がない | 「会員の交流と親睦を図る」が中心。共益的な活動に読める | 誰でも利用できること、対象を限定しない理由を1文で書く |
| ③法人格の理由がない | 「信頼されたい」だけ | 任意団体で困った具体例(代表個人名義の契約・口座、委託の受け皿になれない、雇用契約が結べない)を書く |
| ④経過が抽象的 | 「以前から関心があり、設立を決意した」 | 年月・場所・回数・人数を入れる。「20XX年X月から月1回、松戸市内で学習支援、延べXX人」のように |
| ⑤宗教・政治・営利の匂い | 特定の宗教団体の教えの普及、特定の政党の支持、特定の企業の商品の宣伝 | 宗教的・政治的な語を活動の目的から外す。企業名は協力先として事実だけ書く |
当事務所の書き方の手順——定款を先に、趣旨書は最後に
設立趣旨書は、定款・事業計画書・活動予算書が固まってから最後に書きます(当事務所の運用)。趣旨書は他の書類の要約であり、先に書くと定款と食い違います。
- 定款の「目的」と「事業」を確定する。20分野のどれに当たるか、事業の名称、その他の事業の有無まで決める。
- 2年分の事業計画書と活動予算書を作る。何を、どのくらいの規模で、いくらでやるかが数字になる。
- 「趣旨」の①〜③を、A4で1枚以内に書く。①は公的統計や自治体の計画から1つ引用、②は対象と届け方、③は任意団体でできないこと。
- 「経過」の④を、年表の形で書く。活動実績がない設立準備段階でも、準備会の開催、賛同者集め、行政や地域との相談の経緯は書ける。
- 縦覧で読む市民の目で読み直す。「この団体に寄附したいか」「うちの子を通わせたいか」と読んで答えが出る文章になっているか。
- 設立総会で趣旨書を含む書類を承認し、議事録に残す。総会後に趣旨書を書き換えると議事録と食い違う。
長さの目安はA4で1〜2枚(当事務所の運用)。長ければよいわけではなく、所轄庁の記載例も1枚程度です。
— この段階でご相談いただく理由 —
設立趣旨書は、定款・事業計画・予算と一体で審査され、縦覧で市民にも読まれます。趣旨書だけを直しても、定款とずれていれば補正になります。当事務所のNPO法人設立サポート(200,000円・税込・登記は司法書士別途)は、目的の設計から趣旨書・計画・予算まで10点を一体で作り、縦覧と審査中の補正対応も含みます。全国オンライン対応です。
準備物:やりたい活動の内容、これまでの活動があればその記録(年月・回数・人数)、任意団体で困ったこと、役員候補と社員10人の目処。60分の無料相談 →
縦覧2週間で何が起きるか——書いたことは公開され、意見が出ることがあります
所轄庁は申請を受理した日から2週間、設立趣旨書を含む5点を縦覧に供し、その後2か月以内(条例で短縮している所轄庁もある)に認証か不認証かを決めます(制度。法第10条第2項、第12条第2項(2026年9月27日確認))。縦覧中に市民から意見が出た場合、所轄庁が申請者に確認することがあります。趣旨書に書いた活動実績や協力先は、事実と確認できるものだけにしてください。「協力予定」を「協力している」と書くと、縦覧で指摘されることがあります(当事務所の見解)。
認証後も、設立趣旨書は法人の原点として残ります。事業報告書や助成金の申請で「設立の趣旨」を引用する場面は多く、寄附者や委託元が最初に読む文書にもなります。審査を通すためだけでなく、5年後に読み返して恥ずかしくない文章を目指してください(当事務所の見解)。
📗 認証申請の10点の書類は設立認証に必要な申請書類10点、定款の目的の書き方はNPO法人の定款は「あとで直す」が効きません、20分野の選び方はNPO法人が行える「20分野」の一覧にまとめています。
参考にした一次資料
- e-Gov法令検索「特定非営利活動促進法」第2条(定義)・第10条(設立の認証・添付書類・縦覧)・第12条(認証の基準・審査期間)(2026年9月27日確認)
- 京都府「設立趣旨書 様式例・記載例(法第10条第1項第5号関係)」(趣旨の3項目・経過・押印なし・2部)(2026年9月27日確認)
- 和歌山県「NPO法人の設立・管理運営の手引き」第2章(認証申請の添付書類10点・認証の基準)2025年6月(2026年9月27日確認)
- 内閣府NPOホームページ「NPO法人制度の概要」(2026年9月27日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|提出先の所轄庁の手引きを必ず確認してください
設立趣旨書の様式・部数・押印の要否は所轄庁ごとに違います。本記事の記載事項は京都府の様式例と内閣府の手引きに基づく全国共通の骨格で、千葉県(県民生活課)や千葉市の手引きも同じ項目立てですが、提出前に提出先の記載例で確認してください。千葉県内は千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県が所轄庁です。当事務所は全国オンライン対応で、所轄庁の手引きを取り寄せて様式に合わせます(2026年9月27日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
自分の法人の設立趣旨書を書いたとき、いちばん時間がかかったのは「法人格が必要な理由」でした。任意団体のままでは代表個人の名前で契約するしかない、という一文にたどり着くまで、何度も書き直しました。縦覧で読まれる文書です。審査官より先に、寄附してくれるかもしれない人の目で読み直してください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
プロフィールを見る →