— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の社員を、特定の地域(丁目や地区)の住民に限ってもよいですか?

「社員は地元の人だけに」と考えて定款の書き方で迷っている方へ。社員を市(区)町村在住者に限ることは、通常、「不当な条件」には当たらないと考えられています。一方、「△△丁目」といった極めて限定された地域の住民以外の加入を一切拒否するなら、「不当な条件」とならざるを得ない、とされています(内閣府NPO法Q&A 2-1-8、特定非営利活動促進法 第2条第2項第1号イ(2026年10月11日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 町内や地区の活動をNPO法人にしたいが、社員を地元の人だけにしてよいか迷っている方
  • 定款の「社員の資格」の書き方で、所轄庁から補正を求められないか不安な設立準備中の方
  • 外の人が入って活動の方向が変わるのを心配している、地域団体の代表の方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の60分の無料相談で、目的・事業・社員の資格の3つを並べ、地域の限定が事業内容と合っているかを一緒に見ます
  2. ご依頼後は、定款の案と設立総会の議案をつくり、所轄庁の事前相談に出せる形に整えます
  3. その後は、認証後の会員の入会・退会の手続と、毎年の総会の運営まで同じ定款で回るかを見直します

「うちの町内の人だけで社員を固めたい。定款に『〇丁目在住者に限る』と書いてもいい?」と迷っている方へ。市町村単位なら通常は問題なく、丁目単位で他の人を一切拒否すると「不当な条件」になります

地域の見守りや防災、通学路の安全など、身近な地域の活動をNPO法人にしようとすると、「社員はこの地区の人だけにしたい」という声がよく出ます。外の人が入ってきて、活動の方向が変わるのが心配だからです。内閣府のNPO法Q&Aにも、この質問がそのまま載っています。「社員を「○○町△△丁目、○○町□□地域在住者に限る」とすることは、「不当な条件」に当たりますか。」

答えはこうです。社員の資格を特定の地域の住民に限る場合でも、その制限が事業内容等との関連から見て合理的なものであれば、「不当な条件」に当たらない場合もあると考えられます。社員を最小行政単位である市(区)町村在住者に限ることは、通常、「不当な条件」には当たらないものと考えられます(制度。内閣府NPO法Q&A 2-1-8(2026年10月11日確認))。

一方で、例えば「△△丁目」といった極めて限定された地域の住民以外の者が社員として加入することを、一切拒否する場合は別です。Q&Aは、実質的に共益的・親睦会的な団体運営を意図するものとして、「不当な条件」とならざるを得ない、としています(同)。

そもそも「不当な条件」とは——法律の要件と、定款の書き方

ひとことで言うと、NPO法人の社員(総会で議決権を持つ人)の入口を、合理的な理由なく狭めてはいけない、というルールです。特定非営利活動促進法は、NPO法人の要件として「社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと」を定めています(第2条第2項第1号イ)。社員の資格の得喪に関する事項は、定款に必ず書く事項です(第11条第1項第5号)。

千葉県の手引きの定款作成例は、正会員をもって法上の社員とし、入会について「特に条件を定めない」としたうえで、理事長は、正当な理由がない限り、入会を認めなければならない、としています。注では、社員(正会員)以外の会員の入会には任意の条件を定めることができるが、社員(正会員)の資格取得については、不当な条件を付けてはならない、と書いています(千葉県の手引き(2026年10月11日確認))。

地域の限定の仕方ごとの早見表

結論として、どこまで限定してよいかは一律に決まらず、地域の限定の仕方と事業内容との相関関係で判断されます(内閣府NPO法Q&A 2-1-8)。Q&Aと、同じページに載っている内閣府の回答を、限定の狭い順に並べました。

社員の資格の書き方扱い根拠
「○○市在住者に限る」(市(区)町村の単位)通常、「不当な条件」には当たらない内閣府Q&A 2-1-8
「この法人の活動に賛同し、かつ常時活動に参加できる者」(地域の人を念頭に、他地域の人の参加の余地を残す)望ましいとされる書き方内閣府Q&A 2-1-8
「まちづくりに関わる業務又は、当法人の事業に、自ら率先し積極的に参加できるもの」(中心市街地の活性化の法人)所轄庁が認証している例内閣府Q&A 2-1-8
「△△丁目の住民に限る」として、それ以外の人の加入を一切拒否「不当な条件」とならざるを得ない内閣府Q&A 2-1-8
活動の対象が「向こう三軒両隣」のような範囲不特定多数の要件を充足するとは言い難い平成18年ブロック会議 内閣府回答

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-1-8と、同ページの【参考】平成18年ブロック会議 内閣府回答(2026年10月11日確認))

— この段階でご相談いただく理由 —

「地域の人だけで」という思いは、定款の書き方しだいで、認証に通る形にも、補正を求められる形にもなります。目的・事業・社員の資格の3つを並べて、所轄庁に出す前に整えます。

NPO法人設立・運営のサポートを見る

社員の資格とは別に、活動が「不特定かつ多数」に向いているか

結論として、社員の資格の書き方を整えても、活動そのものが会員のためだけなら、別の問題が残ります。法律は、特定非営利活動を「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」としています(第2条第1項)。Q&Aも、社員の資格の地域性の問題とは別に、誰でもが会員になれないような条件を付した会員の互助的な活動は「特定非営利活動」に当たらない、と注意しています(2-1-8)。

地域の広さの目安について、内閣府の回答は、最小独立行政単位である市(区)町村を対象とするような場合であれば、問題なく「不特定多数」と言える、としています。ポイントは、当該対象地域それ自体が、そこに住む個々人を超えて一つのまとまりをもった「社会」と言えるかどうか、です(平成18年ブロック会議 内閣府回答)。

あわせて、単に「会員制」ということだけをもって不特定多数の要件を満たさないと判断することは妥当ではない、ともしています。会費を徴収する場合でも、受益者を明確にする等の目的で、閉鎖的なものではないことが前提です。そのうえで、金額が活動に要する実費等と比較して高額とは言えないような場合は、不特定多数性の趣旨を失わせるものではない、とされています(同)。会費の決め方はNPO法人の会費の決め方にまとめています。

作った当事者の目で見ると

自分で社員を集めてNPO法人の認証を取った立場から言うと、「外の人に入ってほしくない」という気持ちは、活動を大事にしている証拠だと思うんです。ただ、それを定款の入口で止めようとすると、法律の要件とぶつかります。外の人が入ってきても方向がぶれないようにするのは、入口の制限より、目的の書き方と総会の運営のほうです。目的に「〇〇地区の通学路の安全」と具体的に書いておけば、それに賛同する人が集まります(当事務所の見解)。

定款を書く前に確かめる順番

ひとことで言うと、「目的」→「活動の対象」→「社員の資格」の順に決めると、ぶつかりにくくなります(当事務所の見解)。

確かめる順番中身根拠
1 目的と事業どの地域の、何のための活動かを具体的に書く。地域の限定は事業内容との関連で判断される内閣府Q&A 2-1-8
2 活動の対象その地域が、個々人を超えて一つのまとまりをもった「社会」と言えるか。市(区)町村単位なら問題なく「不特定多数」平成18年ブロック会議 内閣府回答・第2条第1項
3 社員の資格住所で一律に切らず、「活動に賛同し参加できる者」の形で、他地域在住者の参加の余地を残す内閣府Q&A 2-1-8・第2条第2項第1号イ
4 入会の手続正当な理由がない限り入会を認め、認めないときは理由を付した書面で通知する形(千葉県の作成例)千葉県の手引き
5 所轄庁に確認所轄庁が各地域の実情を踏まえて柔軟に運用しているため、書き方は事前に所轄庁に確認する内閣府Q&A 2-1-8

(制度。特定非営利活動促進法 第2条・第11条、内閣府NPO法Q&A 2-1-8、千葉県「特定非営利活動法人申請・届出の手引き」の定款作成例(2026年10月11日確認))

Q&Aによると、認証事務を行う所轄庁は、各地域の実情を踏まえて、柔軟に運用しています。そのため、地域内で活動しているNPO法人も地方には相当実例がある、としています(2-1-8)。そのぶん、どこまでの書き方を認めるかは所轄庁の判断になります。定款の案ができたら、申請の前に所轄庁の事前相談で見てもらうのが確実です(要確認)。認証されなかった理由の典型はNPO法人が認証されない理由にまとめています。

今日やること——3つだけ

まず、定款の案の目的に、どの地域の何のための活動かが具体的に書けているかを見ます。で、社員の資格が住所だけで一律に切る形になっていないかを確かめます。最後に、その案を持って所轄庁の事前相談の予約を取ります。この3つで、「地域の人だけで」という思いを、認証に通る形に置き換えられます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。千葉県の手引きの定款作成例は、入会について「特に条件を定めない」とし、社員(正会員)の資格取得に不当な条件を付けてはならない、と注記しています(2026年10月11日確認)。

※2026年10月11日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「地元の人だけでやりたい」という相談は、活動への愛着の裏返しだと思っています。入口を閉じるより、目的をはっきり書いて「この目的に賛同する人なら歓迎」と開いておく。そのほうが、結果として地元の人が中心の団体になりやすいんですよね。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

プロフィールを見る →