— 30秒でわかる結論 —

Q. 認定NPOの「3,000円以上の寄附者100人」は、どう数えるのですか?

実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の総額が3,000円以上である寄附者の数の合計を、年平均100人以上あるかで判定します(NPO法第45条第1項第1号ロ)。数えるときの原則は3つです。①氏名または名称と住所が明らかな寄附者のみを数える(匿名・募金箱は数えられません)。②寄附者本人と生計を一にする者も含めて「一人」として数える——夫2,000円・妻1,000円なら合計3,000円で寄附者に含められますが、人数は1人です。③申請法人の役員および役員と生計を一にする者は寄附者数に含めない。判断は寄附をしたときの現況で行い、外形的には姓と住所が同一かで判断して差し支えありません。対価性のない民間助成金は寄附者1人として数えられますが、国等からの補助金は絶対値基準では数えられません(内閣府NPOホームページQ&A 3-4-1〜3-4-12。2026年9月19日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 認定NPO法人を目指していて、寄附者数が基準に届くか数えたい方
  • 寄附者名簿をどこまで作ればよいか分からない方
  • これからNPO法人を設立し、将来の認定を視野に受付の仕組みを整えたい方

絶対値基準とは、3,000円以上の寄附者が年平均100人以上いるかどうかの基準です

認定NPO法人になるための最初の関門がパブリック・サポート・テスト(PST)で、その一つが絶対値基準です。内閣府の定義はこうです——実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者の数の合計数が、年平均100人以上であること(制度。NPO法第45条第1項第1号ロ。内閣府NPOホームページQ&A 3-4-1。2026年9月19日確認)。休眠預金等交付金関係助成金を受け取っている場合は、3,000円にその助成金の額を加算した金額以上となります。

ここで多くの法人が「では100人集めよう」と動き出します。けれど実務でつまずくのは集める前の段階——誰を1人と数えるか、という定義のほうです。数え方を知らずに集めると、集めた人数と数えられる人数がずれます(当事務所の見解)。

数え方の3原則——これを知らずに集めると人数が合いません

内閣府は寄附者数のカウントについて、3つの注意点を挙げています(制度。Q&A 3-4-1。2026年9月19日確認)。

原則内容実務での意味
①氏名・住所が明らか氏名または名称、および住所または主たる事務所の所在地が明らかな寄附者のみを数える募金箱・匿名寄附は数えられない。受付の様式に住所欄を必ず置く
②生計を一にする人は合わせて1人寄附者本人と生計を一にする者も含めて一人として数える夫婦・同居家族から別々にもらっても「1人」。人数を増やすなら世帯を広げる
③役員とその生計を一にする者は除外申請法人の役員および役員と生計を一にする者が寄附者である場合、寄附者数に含めない理事が自腹で入れた寄附は、金額は入っても人数には入らない

②は誤解されやすいので、内閣府の具体例をそのまま引きます。近所のご夫婦から夫2,000円・妻1,000円を受領した場合、寄附者単位では3,000円未満に見えますが、生計を一にする者を合わせて判定するため合計3,000円となり、絶対値基準の寄附者に含められます。ただし人数は「一人」です(Q&A 3-4-10)。金額の判定では合算が有利に働き、人数の判定では不利に働く、という二面性があります。

「生計を一にする」とは、日常生活の資を共通にしていることです

内閣府は、生計を一にする者を「日常生活の資を共通にしている者」と定義しています。同居していなくても、仕送り等により日常生活の資を共通にしていれば該当します(制度。Q&A 3-4-5。2026年9月19日確認)。

具体的には、勤務・修学・療養などの都合で日常の起居を共にしていない親族でも、余暇には起居を共にすることを常例としている場合、または常に生活費・学資金・療養費等の送金が行われている場合は生計を一にするものとされます。逆に、同一の家屋に起居している親族は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、生計を一にするものとされます。

実務上ありがたいのは、内閣府が外形的な判断でよいと明記している点です。寄附者名簿など外形的な情報でカウントする場合、生計を一にするかどうかの一義的な判断は姓および住所が同一かどうかで判断して差し支えないとされています(Q&A 3-4-4)。名簿を姓と住所でソートすれば、重複の候補はすぐ見えます。

判断の時点も決まっています。役員かどうか、生計を一にするかどうかは寄附をしたときの現況で判断します。したがって事業年度末に役員であっても、寄附をした時点で役員でなければ人数に含めて差し支えありません(Q&A 3-4-4)。設立初期に役員が入れ替わる法人では、この一点で数人変わることがあります。

数えられるもの・数えられないもの

「寄附らしきもの」がすべて数えられるわけではありません。よく問題になる7つを整理します(制度。内閣府Q&A 3-4-6〜3-4-12。2026年9月19日確認)。

ケース絶対値基準での扱い
口座振込による寄附氏名および住所が明らかで、寄附者名簿に記載できるなら寄附金として扱える
振込手数料を法人が負担した場合3,000円の寄附として1人にカウントできる。寄附者名簿の金額も領収書の金額も3,000円
対価性のない民間助成金寄附金(寄附者の1人)として扱える
国等からの補助金絶対値基準の判定では寄附金に含められない(相対値基準では寄附金等収入金額に含められる)
理事と同居する家族が代表を務める団体からの寄附寄附者はあくまで当該団体なので、寄附者数に含められる
同一人物が年度をまたいで分割して寄附事業年度ごとに合計して3,000円以上かを判定する(前年度8,000円→1人、当年度2,000円→カウントせず)
企業が従業員・顧客から集めて寄附住所・氏名・寄附年月日・金額が全て載った明細があれば明細の人数、明細がなければ1社として1人

このなかで実務の分かれ目になるのが国等からの補助金です。補助金を受けている法人が「これも寄附として数えられるはず」と見込んでいると、申請の段階で人数が足りなくなります。絶対値基準では数えられず、相対値基準では収入金額に含められる——この違いが、どちらの基準で申請するかの判断材料になります。

寄附者名簿は「3,000円以上だけ」ではありません

寄附者名簿は、NPO法第44条第2項第1号で「各事業年度に申請法人が受け入れた寄附金の支払者ごとに、氏名、住所、寄附金額、受け入れ年月日を記載した書類」とされています。したがって絶対値基準に関係するかを問わず、少額寄附を含めて受け入れた寄附金すべてを記載するのが基本です(制度。Q&A 3-4-3。2026年9月19日確認)。

ただし内閣府は現実的な扱いも示しています。イベント参加者からの寄附や募金箱による寄附など氏名・住所が不明な寄附は、不明事項の裏付けをしてまで記載を求めるものではなく、把握している金額と受け入れ年月日だけの記載で足ります。匿名寄附や1,000円未満の少額寄附は「匿名寄附 ●口 計●●●●円」といった省略表記で差し支えありません。

そのうえで、3,000円以上の寄附者を抽出した資料を別に作っておくことが勧められています。法令上、名簿への区別の明記は必要とされていませんが、所轄庁から寄附者数の算出方法を確認される場合があるため、算出方法が分かる資料の作成・保管をお願いしますとされています(Q&A 3-4-2)。

設立時に決めておくと、あとが楽になること

ここまでを設立の側から見ると、認定を視野に入れる法人が設立時に整えておくべきものは「寄附の受付様式」と「名簿の作り方」だと分かります(当事務所の見解)。

①受付様式に住所欄を必ず置く——氏名だけの寄附は数えられません。イベントで現金を受け取る場面ほど、ここが抜けます。②名簿を最初から「姓・住所」でソートできる形にする——生計を一にするかどうかの外形判断がそのままできます。③年間合計で3,000円に届く設計にする——月250円の継続寄附なら年3,000円です。年1回3,000円より、継続のほうが翌年も数えられます。④会費と寄附を分けて経理する——対価性のある会費は寄附として扱えないため、入口で分けておくほうが安全です。

私自身、学生時代に大学でNPO・非営利組織の経営を学び、その後ゼロから社員10人を集めて設立認証を取った経験があります。そのときに実感したのは、お金より先に「誰の名前と住所を、どの紙で受け取るか」を決めておくかどうかで、あとの事務量が何倍も変わるということでした。認定は、この地味な設計の延長線上にあります。

📗 特例認定(PST免除)を先に取って本認定へ進む5年の線表は認定NPO法人は設立日から設計するもので扱っています。

数えてみて、足りなかったときに考えること

絶対値基準で足りない場合、選択肢は3つあります。①相対値基準(経常収入金額のうち寄附金等収入金額の割合が5分の1以上)で申請する。②条例個別指定(所轄する都道府県・市区町村の条例で個人住民税の寄附金税額控除の対象法人として個別に指定を受ける)を狙う。③特例認定(PSTを免除。設立後5年以内に1回限り・有効期間3年)を先に取り、その間に寄附者を積む。

どれが向くかは、収入の構成で決まります。補助金や委託が収入の柱なら絶対値基準は不利になりますし、小口の支援者が多い法人なら絶対値基準のほうが早いこともあります。数えてみないと、どちらが近いかは分かりません。まず直近2事業年度の寄附を、この記事の3原則で数え直してみてください。

なお、寄附をした個人・法人の側の税務(寄附金控除や損金算入)は税理士の業務領域です。当事務所は所轄庁に出す書類の観点からご説明し、税務の判断が必要な部分は提携する税理士におつなぎします。

認定を視野に入れたご相談を承ります

なぜ個別にしか答えられないかというと、同じ寄附者名簿でも、役員の就任時期・同居の状況・会費の性質によって数えられる人数が変わるからです。数え方の適用は、名簿を見ながらでないと確定しません。

当事務所はNPO法人の設立サポートを一式200,000円(税込。設立登記は提携司法書士・報酬別途)で承っています。認証の手続きと期間はNPO法で全国共通のため、全国オンラインで対応しています。60分の無料相談では、設立前の方には「認定を取るなら設立時にこう決めておく」の整理を、すでに運営中の方には直近2期の寄附者名簿から数え直す手順をご案内します。ご用意いただきたいのは、①寄附者名簿(または入金記録)②役員名簿と就任日③会費の規定の3点です。

60分無料相談を申し込む → NPO法人設立サポート →

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|所轄庁の見分け方(千葉県の場合)

認定・特例認定の申請先は所轄庁です。事務所が1つの都道府県内にのみある場合はその都道府県知事、事務所が1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長が所轄庁になります。千葉県内なら、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長松戸市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事が所轄庁です。認定の申請は設立認証と同じ所轄庁に出すため、事務所をどこに置くかは、将来の認定申請の窓口も決めていることになります。移転で所轄庁が変わる場合は手続きが増えるため、設立時に見通しを立てておくと安心です。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

寄附を「集める」話はよく語られますが、「数える」話はあまり語られません。けれど私が見てきた限り、認定に届かない法人の多くは、集めた量ではなく受け取り方の設計でつまずいています。住所欄が1つあるかどうか、名簿を姓と住所で並べられるかどうか。派手さのない工夫ですが、3年後にいちばん効いてくるところだと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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