— 30秒でわかる結論 —
Q. 障害福祉事業所の物件の図面は、どこを見ればよいですか?
間取りではなく基準への当てはめで見ます。自分で確認できる10項目は、①用途変更する部分の床面積の合計(200㎡超で確認申請)②訓練室・活動室・居室の面積と定員の関係(数値は指定権者の手引きで確認)③相談室の独立性・事務室・トイレ・手洗い④2方向避難と出入口⑤送迎車の駐車・乗降スペース⑥バリアフリー(段差・廊下幅・浴室)⑦窓(採光・換気・無窓階)⑧既存の消防設備の位置と点検記録⑨医療的ケア・重度対応の設備⑩周辺環境。そのうえで、指定権者の事前相談→消防署の予防担当→建築指導課または建築士の順に、契約前に同じ図面で回ります。3つの窓口は互いに連絡を取り合わないので、回答を自分で記録し突き合わせる必要があります。見落とされやすいのは、床面積の「合計」(1フロアだけで判断しない)、無窓階(図面だけでは分からない)、相談室の「独立」(パーティションでは問われる)の3つです。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 物件の内見を始めたが、図面のどこを見ればよいか分からない方
- 指定権者・消防・建築のどこに何を聞くべきか整理したい方
- 内見で「使いやすそう」だけで判断しそうになっている方
図面は「間取り」ではなく「基準への当てはめ」で見ます
物件の内見で間取りを見るとき、私たちは「使いやすそうか」で見てしまいます。指定申請ではそうではありません。指定権者は図面を設備基準への当てはめで見ます。訓練室の面積は定員に対して足りているか、相談室は独立しているか、避難経路は2方向あるか、トイレと手洗いはどこか。消防署は用途区分と設備の要否で、建築指導課は用途変更と法適合で見ます。
この記事は、放課後等デイサービス・児童発達支援・生活介護・障害者グループホームの物件を検討するときに、図面を持って窓口に行く前に自分で確認できる10項目と、誰にどの順番で見せるかを整理したものです。数値基準は類型と指定権者によって違うため、本記事では「何を確認するか」に絞り、数値は指定権者の手引きで確認していただく形にしています。
図面チェック10項目
| # | 図面で見る項目 | 何を確認するか | 詰まったときの対処 |
|---|---|---|---|
| 1 | 用途変更する部分の床面積 | 200㎡を超えるか(確認申請の要否)。使う階の合計で判定 | 使う部分を200㎡以下に絞れるか、建築士に相談 |
| 2 | 訓練室・活動室・居室の面積と、定員との関係 | 指定基準・指定権者の手引きが求める面積(1人あたりの基準)を満たすか。数値は指定権者の手引きで確認 | 定員を減らすか、部屋の使い方を変える |
| 3 | 相談室・事務室・トイレ・手洗い・洗面 | 独立した相談室があるか、事務室と兼用できるか、トイレの数と手洗いの位置 | 間仕切りの追加は比較的安価。給排水の移設は高い |
| 4 | 避難経路(2方向避難)と出入口 | 各室から2方向に避難できるか、避難経路が家具で塞がれない設計か、出入口の幅 | 避難器具・バルコニー・外階段の有無で判断が変わる |
| 5 | 送迎車の駐車・乗降スペース | 送迎車を停めて安全に乗降できる場所があるか(放デイ・児発・生活介護) | 近隣の月極駐車場、乗降場所の動線設計 |
| 6 | バリアフリー(段差・手すり・浴室・廊下幅) | 車いす利用者・重度の方を受け入れる場合の段差解消と廊下幅、浴室の構造 | 受入れ対象を見直すか、改修の範囲を決める |
| 7 | 窓(採光・換気・無窓階の判定) | 無窓階に当たると消防設備の要件が重くなる。採光・換気は建築基準 | 建築士・消防署に図面を見せる |
| 8 | 消防設備の位置(既存) | 自動火災報知設備・消火器・誘導灯の有無と位置、点検記録 | 既存が使えるかを消防設備業者に確認 |
| 9 | 医療的ケア・重度対応の設備 | 医療的ケア児を受け入れるなら電源・給水・処置スペース、重度対応なら個室の配置 | 対象児童・利用者像を先に決める |
| 10 | 近隣・周辺環境 | 学校・病院・公園との距離、騒音、送迎の交通量、コンビニ・スーパーの有無 | 見学・体験時の保護者の目線で確認 |
2番の面積基準は、類型ごとに指定基準(省令)または指定権者の手引きで定められています。「1人あたり◯㎡」の数値は指定権者によって解釈や独自基準があり、千葉県と千葉市・船橋市・柏市でも扱いが異なる場合があります。図面を持って事前相談に行き、定員に対して足りているかを直接確認してください。生活介護の人員・設備基準はこちら、放デイ・児発の物件選定はこちらで整理しています。
図面を、誰に、どの順番で見せるか
| 順番 | 誰に・何を見せるか | ゴール |
|---|---|---|
| ① | 自分で、上の10項目を図面に書き込む | 「分からない項目」を明確にする |
| ② | 指定権者の事前相談(図面持参) | 設備基準の面積・部屋の要否・定員の妥当性を確認する |
| ③ | 消防署の予防担当(図面持参) | 用途区分と消防用設備等の要否を確認する |
| ④ | 建築指導課または建築士(図面・検査済証持参) | 用途変更の要否と法適合の見通しを確認する |
| ⑤ | 改修の見積り(工事業者・消防設備業者) | 初期費用を確定する |
| ⑥ | 融資の申込み→物件契約 | 資金を確保してから契約する |
ポイントは、②③④を契約の前に、同じ図面で回すことです。指定権者・消防・建築の3つの窓口は互いに連絡を取り合いません。ひとつずつ回って、それぞれの回答を記録し、矛盾があれば自分で突き合わせる必要があります。当事務所が同席する場合も、この3窓口を1本の記録にまとめるのが仕事の中心です。
図面で見落とされやすい3つ
- 床面積の「合計」——用途変更の200㎡判定は使う部分の合計。1フロアだけ見て「200㎡以下」と判断し、2階も使う計画で超えていた例があります(用途変更の200㎡)
- 無窓階——窓が小さい、開かない、面していない部屋が多いと「無窓階」と判定され、消防設備の要件が重くなります。図面だけでは分からないので消防署に確認
- 相談室の「独立」——パーティションで区切った一角を相談室と考えていて、指定権者から独立性を問われる例。プライバシーが確保される構造かどうかが見られます
「この図面で、どこが詰まりそうか」を先に知りたい方へ
当事務所では60分の無料相談で、候補物件の図面と用途・面積・階数から「どこで詰まりそうか」を先に洗い出し、消防署・建築指導課・指定権者のどこに何を聞くべきかを整理します。指定申請サポート(220,000円〜/税込)をご依頼いただく場合は、消防・建築の事前相談への同席もお受けしています。ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応。お問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 障害者総合支援法・児童福祉法にもとづく各サービスの指定基準(設備基準)および指定権者の手引き
- 国土交通省 住宅局建築指導課長通知(国住指第661号・用途変更の確認申請が必要な規模200㎡超。2026年9月13日確認)
- 総務省消防庁「グループホームなど小規模社会福祉施設の消防法令の一部改正について」(2026年9月13日確認)
- 当事務所の指定申請サポートでの図面確認・3窓口の事前相談同席の実務
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で物件を探している方へ
千葉県の障害児通所支援の事前相談は来庁制で、物件の図面と消防の確認状況を持参します。松戸・市川・流山は県指定、千葉市・船橋市・柏市は各市が指定権者で、設備基準の解釈が異なる場合があります。図面チェックの10項目を埋めてから事前相談に行くと、持ち帰りが減り、指定日を守りやすくなります。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
内見に同行すると、皆さん「明るいですね」「広いですね」とおっしゃいます。私はその横で、避難経路の数と、窓の位置と、相談室にできる部屋があるかを数えています。感覚で選んだ物件が基準に合っていることもありますが、合っているかどうかを確かめずに契約するのは、図面を見ていないのと同じです。10項目は、その確かめ方を書いたものです。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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