— 30秒でわかる結論 —

Q. 自己資金が少ない(ゼロに近い)のですが、創業融資は申し込めますか?

申し込めます。日本政策金融公庫の現行制度「新規開業・スタートアップ支援資金」に自己資金の要件はありません(旧「新創業融資制度」にあった創業資金総額の10分の1以上という要件は、同制度の廃止に伴いなくなりました)。ただし、要件がないことと見られないことは別で、審査では自己資金の額と貯まり方(通帳の履歴)が確認されます。公庫の調査でも創業者の自己資金は創業資金総額のおおむね2割程度とされています。少ない場合に代わりに示せるのは6つです。①経験(同業での年数と担当工程を事業内容と1対1で結ぶ)②契約の内諾・見込み客 ③必要資金そのものを小さくする(中古・リース・居抜き。借入額が下がれば返済負担も審査のハードルも下がる)④生活費の裏づけ ⑤共同経営者・出資者 ⑥制度融資との併用(ただし自治体は自己資金の要件を設けている場合がある)。逆に、親族からの一時的な入金、直前の口座の集約、カードローンでの調達、計画書で多めに書くことは、通帳と信用情報で確認されるため避けてください。ほぼゼロなら、数か月かけて積み立てた履歴を作るほうが近道なことが多いです(2026年9月15日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 自己資金が少なくて創業融資をあきらめかけている方
  • 「3分の1必要」と聞いて計画を止めている方
  • 親族から資金を借りて自己資金にしようとしている方

「自己資金がないと借りられない」は、もう正確ではありません

創業融資の相談で、いちばん多い不安が自己資金です。「3分の1は必要と聞いた」「ゼロだと門前払いですよね」——どちらも、いまの制度では正確ではありません。

日本政策金融公庫の現行制度「新規開業・スタートアップ支援資金」には、自己資金の要件がありません。旧「新創業融資制度」にあった「創業資金総額の10分の1以上」という要件は、同制度の廃止に伴ってなくなりました(2026年9月15日確認)。

現行制度の事実内容
自己資金の要件現行の「新規開業・スタートアップ支援資金」に自己資金の要件はありません(旧「新創業融資制度」の10分の1以上の要件は、同制度の廃止に伴いなくなりました)
とはいえ審査では見られる公庫の調査でも、創業者の自己資金は創業資金総額のおおむね2割程度とされています
見られているもの金額そのものより、どう貯めたか(通帳の履歴)と、足りない分をどう補うか

ただし、要件がないことと、見られないことは別です。審査では自己資金の額と貯まり方が確認されます。そして見られているのは金額そのものより、「計画的にお金を扱える人か」という点です。

自己資金が少ないときに、代わりに示せるもの

自己資金が少ないときに、代わりに示せるもの示し方
経験同業での勤務年数、担当していた工程、売上や顧客数の実績。創業計画書の「経営者の略歴等」と事業内容を1対1で結ぶ
契約の内諾・見込み客取引の内諾書、紹介の約束、前職からの引き継ぎ(競業避止に触れない範囲で)。口頭なら、相手・時期・見込み金額をメモにする
必要資金そのものを小さくする中古設備、リース、居抜き物件、自宅開業。借入額が小さいほど返済の負担も小さく、審査の見え方も変わる
生活費の裏づけ配偶者の収入、退職金、貯蓄。事業が立ち上がるまでの生活費が別にあることを示す
共同経営者・出資者共同経営なら、それぞれの役割と資金の出どころを明確に。夫婦・共同での創業融資
制度融資との併用自治体の制度融資は自己資金の要件を設けている場合があるため、要件を確認してから組み合わせる

この中で最も効くのは3行目(必要資金そのものを小さくする)です。自己資金を増やすのは時間がかかりますが、必要資金を減らすのは今日から設計できます。中古設備にする、車両をリースにする、居抜きを探す、開業時期を調整して家賃の発生を遅らせる。借入額が小さくなれば、返済の負担も、審査で問われるハードルも下がります

2行目も軽視されがちですが、創業計画書の「取引先・取引関係等」の欄が埋まっているかどうかで、計画の現実味がまったく変わります。口頭の内諾でも、相手・時期・見込み金額をメモにして持参してください。

やってはいけない補い方

やってはいけない補い方なぜ
親族から一時的に借りて入金する通帳の履歴で確認され、見せ金と判断される。返す前提のお金は自己資金ではなく借入金
複数の口座から直前に集める経緯を説明できなければ同じ扱い。口座を集約するなら、申込みの数か月前に済ませる
カードローンで作る信用情報で確認される。事業を始める前から生活資金が足りないと読まれる(申し込む前にやってはいけない5つ
自己資金の額を計画書で多めに書く通帳と突き合わせられる。数字の食い違いは、事業の数字の信頼性にも波及する

共通しているのは、通帳の履歴と信用情報で確認できてしまうことです。面談で発覚すると、その事実そのものより「言わなかったこと」が評価を下げます。自己資金が少ないなら、少ないまま正直に出し、上の表で補うほうが確実です。

「少ない」の程度によって、打ち手は変わります

  • 必要資金の1〜2割ある——実務上の目安の範囲です。貯まった経緯を通帳で示し、経験と契約の内諾で補強すれば、十分に検討の土俵に乗ります
  • 1割未満——必要資金を減らす設計を先に。借入額を下げ、開業後の固定費を軽くする計画に組み替えます
  • ほぼゼロ——申込みを急がず、数か月かけて貯める期間を作るほうが結果的に近道なことが多いです。毎月一定額を積み立てた履歴そのものが、計画性の証拠になります

障害福祉の開業のように給付費の入金が約2か月後になる業種では、自己資金の厚みがそのまま運転資金の余裕になります(4類型の開業資金比較)。

要確認:融資制度の内容・要件は日本政策金融公庫の最新の案内でご確認ください。自己資金の平均に関する数値は公庫の新規開業実態調査にもとづくもので、当事務所は二次情報で確認しています。審査の基準は公表されておらず、本記事の「実務上の目安」は当事務所の創業融資サポートでの経験にもとづく整理です。自治体の制度融資は自己資金の要件を設けている場合があります。本記事は2026年9月15日時点の整理です。

介護・障害福祉の事業者の方へ
給付費の入金が提供月の約2か月後になる障害福祉の開業では、自己資金の厚みがそのまま運転資金の余裕になります。自己資金が少ない場合ほど、必要資金そのものを小さくする設計(車両のリース化、居抜き、指定月の選び方)が効きます。類型別の必要資金は4類型の開業資金比較をご覧ください。

「いま申し込むか、少し貯めてからか」を一緒に決めます

自己資金の相談で私がいちばん多くお伝えするのは、「急いで申し込まないほうがいい場合があります」ということです。3か月待って積み立てた履歴を作るほうが、通る確率も借りられる金額も上がることがあるからです。一方で、物件や許認可の都合で待てない場合もあります。

当事務所では60分の無料相談で、いまの自己資金の額と貯まり方、必要資金、開業の時期を伺い、いま申し込むか、設計を変えるか、少し置くかを一緒に決めます。通帳(直近6か月分が分かるもの)と、必要資金の内訳をご用意いただけると精度が上がります。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。創業融資・資金調達サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|松戸・市川・流山で開業する方へ

千葉県・松戸市の制度融資には創業支援のメニューがあり、公庫と併用(協調融資)できます。ただし自治体の制度は自己資金や居住・開業の要件を設けている場合があるため、要綱を先に確認してください。当事務所の無料相談では、公庫と制度融資のどちらを主軸にするか、いま申し込むか少し置くかを、通帳と必要資金の内訳を見ながら一緒に決めます。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「自己資金がなくて恥ずかしい」とおっしゃる方がいます。でも私が通帳を見て気にしているのは、額ではなく動き方です。毎月3万円ずつ2年積み立てた通帳は、額が小さくても強い。逆に、どこからか来た大きな入金が1つあるだけの通帳は、額が大きくても弱い。お金の使い方は人柄より雄弁で、そしてそれは、これからでも作れます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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