— 30秒でわかる結論 —

Q. 事業所を移転すると、指定は引き継げますか?報酬は下がりますか?

移転先が今の指定権者の管轄内なら変更届で済み、指定番号は変わらず、報酬も変わりません(千葉県は変更の日から10日以内に変更届。定員を増やす場合は前月15日までに指定変更申請)。移転先で指定権者が変わる場合(例:松戸市→千葉市・船橋市・柏市、県外)は移転先で新規の指定申請が必要で、現在の指定権者には廃止届(1か月前まで)を出します。この新規指定が令和8年6月1日以降に行われると、応急的な報酬単価(基本報酬が放デイは1000分の982、児発988、就労B型984、GH972)の対象になります(厚生労働省・こども家庭庁 令和8年度報酬改定Q&A VOL.1 問5)。従たる事業所の追加・単位の追加・定員の増加・GHの住居追加は新規指定ではないため対象外(問13)、就労A型からB型への転換は対象(問14)です。医療的ケア区分や強度行動障害児支援加算などを算定する利用者、主として重症心身障害児を通わせる事業所、離島・中山間地域や公募で設置する事業所は配慮措置で対象外になります(2026年9月27日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 手狭になった・賃料が上がったなどで、放デイ・児発・B型・GHの移転を考えている経営者の方
  • 千葉県内の別の市へ移転したいが、指定を引き継げるか分からない方
  • 移転で「新規指定扱い」になって報酬が下がると聞き、確かめたい方

結論——同じ指定権者の中での移転は「変更届」、指定権者が変わる移転は「新規指定」です

事業所の移転で指定がどうなるかは、移転先が今の指定権者の管轄内かどうかで決まります(制度。千葉県の変更届の運用、厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(2026年9月27日確認))。

移転のパターン手続き指定番号令和8年6月以降の「応急的な報酬単価」
同じ指定権者の管轄内(例:松戸市→流山市、いずれも千葉県)変更届(事業所の所在地・平面図等)を変更の日から10日以内に提出変わらない対象外(新規指定ではないため)
指定権者が変わる(例:松戸市→千葉市、松戸市→船橋市・柏市、県外へ)移転先で新規の指定申請+現在の指定権者へ廃止届(1か月前まで)新しい番号対象(令和8年6月1日以降の新規指定に当たる)。ただし配慮措置に該当すれば対象外
同じ建物内での部屋の変更・増床変更届(平面図・設備)。定員が増える場合は前月15日までに指定変更申請変わらない対象外

「対象」の意味は重いです。放課後等デイサービスなら基本報酬が所定単位数の1000分の982、児童発達支援は1000分の988、就労継続支援B型は1000分の984、共同生活援助は1000分の972になります(制度。令和8年度改定事項(2026年9月27日確認))。移転先の選び方ひとつで、令和9年度報酬改定まで基本報酬が1.2〜2.8%下がるかどうかが決まります。

千葉県内は「県」と「4市」で指定権者が分かれています

千葉県内では、千葉市・船橋市・柏市(および障害福祉サービスは中核市)が自ら指定権者で、松戸市・市川市・流山市・野田市・我孫子市などは千葉県が指定権者です(制度(2026年9月27日確認))。同じ「千葉県内の移転」でも、松戸市から流山市へは変更届で済み、松戸市から柏市へは新規指定になります。移転先の物件を探す段階で、まず指定権者が変わるかどうかを確かめてください。

指定権者が変わる移転では、移転先の指定申請と現在の事業所の廃止を同じ月に切り替える必要があります。千葉県の障害児通所支援は指定日が毎月1日で、申請書類は開設予定月の2か月前の末日まで、その前に市町村への事前説明(4〜5か月前)と県への事業相談シート(4か月前の末日)が必須です(制度。千葉県、令和8年1月指定分から(2026年9月27日確認))。廃止届は廃止日の1か月前までです。利用者の受給者証は事業所の指定番号に紐づいているため、相談支援事業所と市町村への連絡も並行します。

令和8年6月以降、「新規指定」は基本報酬が下がります——移転が新規指定に当たるかの判断基準

応急的な報酬単価は、令和8年6月1日以降に障害者総合支援法第36条第1項・児童福祉法第21条の5の15第1項の指定が行われた事業所に適用されます(制度。Q&A VOL.1 問5(2026年9月27日確認))。Q&Aは、どの手続きが「新規指定」に当たるかを次のように整理しています。

手続き応急的な報酬単価根拠
従たる事業所の追加、単位の追加、定員の増加、GHの住居追加(サテライト含む)対象外(新規指定ではない)Q&A VOL.1 問13
就労継続支援A型からB型への種別変更対象(新規指定を要する)Q&A VOL.1 問14
グループホームの種別変更(介護サービス包括型⇄日中サービス支援型など)対象外(届出で足りる)Q&A VOL.1 問14
事業譲渡・吸収合併等で指定手続の簡略化や実績の通算を行った場合対象外Q&A VOL.1 問12
既存の多機能型事業所に、6月以降に新しいサービスを追加追加したサービスだけ対象。既存のサービスは対象外Q&A VOL.1 問17
共生型・基準該当の新規申請対象外Q&A VOL.1 問16

問13の見出しは「事業所移転に伴う新規指定」ですが、答えの中身は「新規指定の場合に限る」という原則の確認です。同じ指定権者の中での移転は変更届であって新規指定ではないため対象外、指定権者が変わる移転は新規指定なので対象、というのがこの原則からの帰結です(制度の当てはめ。当事務所の見解)。指定権者をまたぐ移転で「実績の通算」が認められるかどうかは、問12の事務連絡(令和6年6月21日「障害福祉サービス事業者等の吸収合併等に伴う事務の簡素化について」)が対象とする事業譲渡・合併とは場面が違うため、移転前に指定権者へ照会してください。

Q&Aはもう一つ、「新規開設を予定していた事業者が、改定を受けて急きょ事業所追加等で対応する場合も、人員配置基準や設備基準を満たし支援が行き届く体制かを確認したうえで届出を受理していただきたい」と指定権者に求めています(問13)。変更届だから審査が軽い、ということはありません。

配慮措置に当たれば、新規指定でも従前の単価です

重度障害児者を受け入れる事業所と、サービスが不足する地域の事業所は、新規指定でも応急的な報酬単価の適用対象外です(制度。Q&A VOL.1 問8・22・24(2026年9月27日確認))。

  • 重度への配慮(利用者単位):放デイ・児発では医療的ケア区分1〜3の基本報酬、強度行動障害児支援加算、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定している利用者。B型・GHでは医療連携体制加算(Ⅳ)など。その月に1日でも算定があれば、その利用者のその月は対象外(問9〜11)。
  • 重度への配慮(事業所全体):主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算。
  • 地域への配慮:離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所、公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所(運営補助や人材確保の補助は含まない。問24)。

千葉県内で特別地域加算の対象地域は限られます。松戸・柏・流山・船橋・千葉市の市街地はいずれも該当しません(制度の当てはめ。厚生労働省告示第176号の地域区分に基づく。当事務所の確認(2026年9月27日確認))。

— この段階でご相談いただく理由 —

移転先を決める前に、指定権者が変わるか・新規指定になるか・配慮措置に当たるかを確かめる必要があります。契約してから「新規指定で報酬が下がる」「廃止と指定の月がずれて1か月無収入」と分かった相談が、令和8年6月以降に増えました。当事務所は移転の日程表(変更届か新規指定か、廃止届・事前説明・事業相談シート・申請の各期限)と、設備基準・消防の事前確認をまとめて組みます。

準備物:現在の指定通知書、移転先候補の住所と図面、予定する定員、移転希望月。60分の無料相談で「変更届で済むか」をその場で判定します →

変更届で済む移転でも、設備基準と消防は新規と同じ目で見られます

同じ指定権者の中の移転は変更届で済みますが、指導訓練室の面積・相談室・洗面所・便所などの設備基準と、消防法令・建築基準法への適合は、新しい物件で改めて満たす必要があります(制度)。千葉県は障害児通所支援の変更届に、事業所の平面図・建物の安全性等の状況(参考様式11)・賃貸借契約書の写しなどの添付を求めており、指定申請と同じく図面の事前確認を受けるのが実務です(制度・実務の目安。千葉県「変更届提出の際に必要な添付書類一覧」(2026年9月27日確認))。

  1. 契約前:図面を指定権者に事前確認(千葉県の図面事前確認は回答まで3週間程度)。消防署に用途と収容人員を伝えて必要設備を確認。用途変更の要否を建築担当課で確認。
  2. 移転月の前月15日まで:定員を増やすなら指定変更申請(変更届では足りない)。加算の追加・変更があれば体制届。
  3. 移転日から10日以内:変更届(所在地・平面図・設備・備品一覧・運営規程の所在地条項など)。令和8年4月以降はちば電子申請サービスで提出。
  4. 同時に:児童福祉法第34条の3の変更届(1か月以内)、国保連への事業所情報の変更、利用者・相談支援事業所への周知、送迎ルートの再設定。

移転の前後で職員の配置が崩れると人員欠如減算、定員を超えて受け入れれば定員超過利用減算が別に動きます。移転は「引っ越し」ではなく、指定の要件をもう一度満たし直す手続きだと考えてください(当事務所の見解)。

📗 新規指定の報酬引下げと配慮措置の詳細は令和8年6月から新規指定の放デイ・児発・B型・GHは基本報酬が下がります、定員の増やし方は放デイ・児発の定員は増やせる?、物件の図面の見方は図面チェック10項目にまとめています。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の指定権者の見分け方

障害児通所支援と障害福祉サービスの指定権者は、千葉市・船橋市・柏市は各市(障害福祉サービスは中核市として、障害児通所支援も各市が指定)、松戸市・市川市・流山市・野田市・我孫子市・鎌ヶ谷市・浦安市などは千葉県です。県の窓口は障害福祉事業課(障害児通所支援は障害児支援事業指定班 043-223-2336)。移転先の市が上の3市に当たるかどうかで、変更届か新規指定かが決まります。船橋市の障害児通所支援の指定・変更は福祉サービス部指導監査課が担当します。市の指定権者は書類の様式・提出方法・スケジュールが県と異なるため、移転先の市のページで確認してください(2026年9月27日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「引っ越すだけなのに、なぜ新規指定なんですか」と聞かれるたびに、指定は建物と職員と法人の組み合わせに与えられているのだと説明しています。令和8年6月からは、その新規指定に報酬の差がつきました。移転先の市を決める前に、一度だけ指定権者を確かめてください。それだけで、令和9年度まで続く1〜3%の差を避けられることがあります。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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