— 30秒でわかる結論 —
Q. 障害福祉の常勤換算は、どうやって計算しますか?
従業者の勤務延べ時間数を、その事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で割ります。例えば常勤が月160時間勤務すべき事業所なら、160時間勤務した人は1.0、80時間の人は0.5です。計算上のルールは3つあります。小数点第2位以下は切り捨てること、分母は1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とすること、1人につき算入できる勤務延べ時間数は常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限であることです。したがって残業した分で1.2人分と数えることはできません。また常勤かどうかは正規・非正規の別を問わず、時間数に達しているかで判断します(厚生労働省Q&A 平成21年3月12日 障害福祉vol.1 問1-2)。育児・介護の短時間勤務制度を利用している職員は、利用者の処遇に支障がない体制が整っている場合、週30時間以上の勤務で常勤として扱う緩和があります(2026年9月21日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 人員基準ぎりぎりでシフトを組んでいる事業者の方
- 兼務や短時間勤務の職員が多い事業所の方
- 加算の「常勤換算で◯人以上」の要件を確認したい方
式はひとつ、「時間÷時間」です
常勤換算方法とは、従業者の勤務延べ時間数を、その事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除して、従業者の員数を常勤の員数に換算する方法です。人数を数えるのではなく、時間を割り算します。
計算上のルールは3つです(制度。栃木県「指定申請について 人員配置に係る用語の定義」。2026年9月21日確認)。
- 小数点第2位以下は切り捨てます。
- 分母の「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は、1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とします。
- 従業者1人につき勤務延べ時間数に算入できるのは、常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限です。
| 常勤が勤務すべき時間数 | その人の勤務時間 | 常勤換算 |
|---|---|---|
| 月160時間 | 160時間 | 1.0 |
| 月160時間 | 80時間 | 0.5 |
| 月160時間 | 200時間(残業等) | 1.0(上限は常勤の時間数) |
3行目が実務でよく誤解されるところです。たくさん働いた人を1.2人分として数えることはできません。残業で人員基準を埋めることはできない、という設計になっています。
分子に入れてよい時間、入らない時間
勤務延べ時間数は、勤務表上、そのサービスの提供に従事する時間帯として明確に位置づけられている時間、または提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む)として明確に位置づけられている時間の合計です。
ポイントは「勤務表上、明確に位置づけられている」という部分です。実際に働いていても、勤務表でその事業のサービス提供時間として整理されていなければ、説明がつきません。複数の事業を兼務している職員がいる事業所では、ここが運営指導で必ず見られます。
— この段階でご相談いただく理由 —
人員基準は「人数」ではなく「時間の設計」です。シフトの組み方ひとつで、基準を満たしたり割ったりします。とくに兼務・短時間勤務・残業が混ざる事業所では、勤務形態一覧表の作り方で結論が変わります。加算の要件にも直結します。
<ご相談時にお持ちいただくもの>直近の勤務形態一覧表/就業規則(所定労働時間がわかる部分)/兼務している職員の一覧。60分無料相談はこちら
「常勤」は正規・非正規を問いません
常勤とは、その事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していることをいいます。雇用形態の名称は関係ありません。
厚生労働省のQ&A(平成21年3月12日、障害福祉vol.1 問1-2)でも、常勤とは各事業所において定められる常勤の従業者が勤務すべき時間数に達している従業者であり、正規・非正規の別は問わないと示されています。所定労働時間が週40時間の事業者であれば、正規・非正規を問わず40時間勤務している者を「常勤」として扱う、という説明です。
つまりパート契約でも、所定の時間数に達していれば常勤です。逆に、正社員でも時間数に達していなければ常勤にはなりません。加算の要件で「常勤で配置されている従業者」と書かれている場合、見るのは契約の名前ではなく時間です。
育児・介護の短時間勤務には緩和があります
仕事と育児・介護の両立を進める観点から、常勤・常勤換算の要件には緩和が設けられています。
従来は、育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用している職員について、利用者の処遇に支障がない体制が整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことが可能とされていました。これが見直され、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める形に広がっています(制度。香川県が公表する人員基準の考え方の資料。2026年9月21日確認)。
採用や定着の観点からは、この緩和を知っているかどうかで採れる人の幅が変わります。育児中の有資格者を週30時間で常勤として迎えられるなら、求人の条件設計が変わるからです。
📗 人員が欠けたときの初動はサビ管・児発管が突然辞めたら——人員欠如を最小化する「最初の1週間」、児発管・サビ管の要件はサービス管理責任者の要件——実務経験は「年数×180日」にまとめています。
計算を間違えると、どうなるか
人員基準を満たしていない状態は、人員欠如減算の対象になります。基準を割った状態で報酬を受け取っていれば、返還につながります。また、加算の多くが「常勤換算で何人以上」「常勤で何人」という形で要件を定めているため、計算の誤りは加算の誤請求に直結します。
実務では、次の3点を毎月確認しておくと事故が減ります。
- 分母(常勤の従業者が勤務すべき時間数)を就業規則と一致させているか。32時間を下回っていないか。
- 1人あたりの算入時間が、常勤の時間数を超えていないか。
- 兼務者の時間が、事業ごとに勤務表上で分けて位置づけられているか。
小数点以下の扱い(第2位以下切り捨て)も、ぎりぎりの配置では効いてきます。2.0人必要なところで1.9…になっていないか、余裕をもって設計してください。
参考にした一次資料
- 栃木県「指定申請について/人員配置に係る用語の定義」常勤換算方法・勤務延べ時間数・常勤(2026年9月21日確認)
- 栃木県「人員配置に係る用語の定義(研修資料)」小数点第2位以下切り捨て(2026年9月21日確認)
- 香川県「人員基準における両立支援への配慮等【全サービス】」常勤・常勤換算の緩和(2026年9月21日確認)
- 大阪府「常勤と所定労働時間について」厚生労働省Q&A(平成21年3月12日 障害福祉vol.1 問1-2)の引用(2026年9月21日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で確認するとき
常勤換算の考え方は全国共通の基準省令・解釈通知に基づくものですが、運用の細部は指定権者に確認するのが確実です。松戸市・市川市・流山市など県所管エリアの事業所は千葉県障害福祉事業課(サービス別に地域生活支援班・障害者福祉サービス事業指定班・障害児支援事業指定班の3班)、千葉市・船橋市・柏市から指定を受けている事業所は各市の担当課が窓口です。勤務形態一覧表の様式も指定権者ごとに配布されています。指定申請時や変更届の際は、その様式に合わせて作成してください。運営指導では、勤務形態一覧表・出勤簿・シフト表・賃金台帳の4点が突き合わされます。4つが同じ事実を示しているかを、日ごろから確認しておくと安全です(2026年9月21日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
常勤換算は算数なのですが、実務では「うちの分母は何時間でしたっけ」というところから始まることが少なくありません。就業規則と勤務形態一覧表の分母がずれていると、そこから先の数字が全部ずれます。私は、最初に就業規則の所定労働時間を一緒に確認するようにしています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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