— 30秒でわかる結論 —
Q. 役員や社員が集まらず、解散の理事会や総会が開けないNPO法人は、どうすれば解散できますか?
人が集まらず解散の総会が開けずに困っている方へ。社員がいるなら書面や代理人による表決で総会の決議ができ、社員が一人もいなければ社員の欠亡で解散できます。役員が一人もいなければ、まず所轄庁に仮理事を選任してもらい、総会を招集します(内閣府NPO法Q&A 2-6-1・2-6-6、特定非営利活動促進法 第17条の3(2026年10月30日確認))。
この記事は制度の解説です。NPO法人の総会・解散・継続的なご相談は、料金と流れを専用のページでご案内しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 活動が止まり、役員や社員が集まらないまま解散したいNPO法人の理事・社員の方
- 解散の総会を開こうとしたが、総社員の4分の3に届きそうにない方
- 役員がいなくなってしまい、誰が手続を始めればよいか分からない方
ご相談いただくと、こう進みます
- 最初の30分の無料相談で、定款と社員名簿・退会届を一緒に読み、4つのどの道で進めるかを決めます
- ご依頼後は、総会の書面表決の書類、所轄庁への届出・認定の申請書、仮理事の相談の資料をそろえます。登記は司法書士と分担します
- その後は、清算人の届出と官報の公告、清算結了の届出までの段取りを一緒に追います
役員や社員が集まらず、解散の総会が開けないNPO法人へ。道は4つあります。書面・代理人の表決、社員の欠亡、成功の不能の認定、仮理事の選任です
NPO法人の活動が止まって何年か。会員も役員も減り、もう解散したい。でも、理事会を開こうにも人が来ない。総会は総社員の4分の3の賛成が要ると聞いて、そこで手が止まる。内閣府のQ&Aにも、ほぼそのままの質問が載っています。
「自主解散をしたいのですが、役員や社員が集まらず、解散に関する理事会及び総会の開催が困難である法人は、どのようにすれば解散することができますか。」(内閣府NPOホームページ「NPO法Q&A 認証 解散・合併」2-6-1(2026年10月30日確認))。答えは、社員がいるか、役員がいるかで分かれます。
この記事では、Q&Aの答えに、書面による表決(Q&A 2-6-6)と、法律の条文を足して、4つの道を並べます(当事務所の見解)。
NPO法人の解散事由とは——法律が決めた7つの事由のどれかで解散する
ひとことで言うと、NPO法人の解散事由とは、特定非営利活動促進法 第31条第1項が定める7つの事由のことです。特定非営利活動法人は、次に掲げる事由によって解散する、として、社員総会の決議、定款で定めた解散事由の発生、目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能、社員の欠亡、合併、破産手続開始の決定、設立の認証の取消し、が挙げられています(制度。特定非営利活動促進法 第31条第1項(2026年10月30日確認))。
人が集まらないときに使えるのは、このうち社員総会の決議、事業の成功の不能、社員の欠亡の3つです。社員総会の決議は、総社員の四分の三以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない、とされています(第31条の2)。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない、とも定めています(同)。まず定款の解散の条文を開くのが最初の一歩です(当事務所の見解)。7つの事由と残余財産の全体像はNPO法人の解散と残余財産にまとめています。
| 今の法人の状態 | 使える道 | 必要になるもの | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 社員はいるが、総会に来ない | 社員総会の決議(書面・代理人の表決を使う) | 総社員の4分の3以上の賛成(定款に別段の定めがあればそれ) | 第31条の2、第14条の7、Q&A 2-6-6 |
| 役員はいるが、社員が一人もいない | 社員の欠亡 | 解散登記に、社員の欠亡を証明する書類(全社員の退会届等) | 第31条第1項第4号、Q&A 2-6-1 |
| 目的の事業が客観的にできなくなった | 事業の成功の不能 | 成功の不能を証明する書類を所轄庁に出し、認定を受ける | 第31条第2項・第3項、Q&A 2-6-1 |
| 社員はいるが、役員が一人もいない | 仮理事を選任してもらい、総会を招集 | 所轄庁による仮理事の選任→新たな役員の選任→解散議決 | 第17条の3、Q&A 2-6-1 |
(制度。特定非営利活動促進法 第14条の7・第17条の3・第31条・第31条の2、内閣府NPO法Q&A 2-6-1・2-6-6(2026年10月30日確認))。上から順に、使える道が狭くなり、所轄庁が関わる場面が増えます。社員がいるなら、まず1行目で解散できないかを考えます(当事務所の見解)。
道1 社員はいるが集まらない——書面・代理人の表決は、解散の総会でも使える
結論として、総会の会場に人が集まらなくても、書面や代理人による表決で解散の決議ができます。法律は、社員総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって表決をすることができる、と定めています(制度。特定非営利活動促進法 第14条の7第2項(2026年10月30日確認))。Q&Aも、この表決は、毎年1回開催される通常総会だけではなく、法人の合併、解散時の総会においても同様に認められます、としています(Q&A 2-6-6)。
注意したいのは、4分の3は出席者ではなく「総社員」の4分の3だという点です(第31条の2)。名簿上の社員に、連絡のつかない人が多いと届きません。書面の表決書を全社員に送り、返ってきた数を数えます。定款で定めるところにより、電磁的方法により表決をすることもできます(第14条の7第3項)。ただし、前三項の規定は、定款に別段の定めがある場合には、適用しない、とされています(同第4項)。書面表決を使えるかは、定款の総会の条文で確かめます(当事務所の見解)。総会の招集と定足数の段取りはNPO法人の総会の招集と定足数に書いています。
道2・道3 社員がいない、事業ができない——社員の欠亡と、成功の不能の認定
ひとことで言うと、社員が一人もいなければ、総会を開かなくても解散事由になります。Q&Aは、非社員である者(役員)は存在するが、社員が一人も存在しない状況である場合、社員の欠亡を理由として解散をすることができます、としています(Q&A 2-6-1(2026年10月30日確認))。法務局で解散登記をする際は、社員の欠亡を証明する書類(全社員の退会届等)が必要となります(同)。退会の届が手元に残っているかが、ここでの分かれ目です(当事務所の見解)。
もう1つは、目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能です。この事由による解散は、所轄庁の認定がなければ、その効力を生じない、とされ、認定を受けようとするときは、事由を証する書面を所轄庁に提出しなければならない、と定められています(第31条第2項・第3項)。Q&Aは、認定後、法務局において解散登記を行う際には、成功の不能を証明する書面及び所轄庁の認定書が必要となる、としています(Q&A 2-6-1)。
千葉市の手引きは、解散認定申請書は、特定非営利活動に係る事業が、客観的に実施が不可能となった場合に申請、自主的に解散できる法人については、「解散届出書」を提出、としています(千葉市「特定非営利活動法人 申請・届出の手引き」令和8年1月改訂(2026年10月30日確認))。申請書には、事業の成功の不能となるに至った理由及び経緯と、残余財産の処分方法を書きます(同 様式第8号)。「人が集まらない」だけでは「客観的に実施が不可能」とは言いにくく、道1が使えるならそちらが先です(当事務所の見解)。
— この段階でご相談いただく理由 —
定款の解散と総会の条文、社員名簿、退会届の有無を一緒に読み、4つのどの道で進めるかを決めます。所轄庁への届出や認定の申請書をそろえます。登記は司法書士につなぎます。
道4 役員が一人もいない——まず所轄庁に仮理事を選任してもらう
結論として、役員がいないと総会を招集する人もいないため、先に仮理事を置きます。Q&Aは、社員は存在するが、役員が一人も存在しない状況である場合は、定款に基づく社員総会の開催(役員の選任)や解散登記等も出来ない状況である、としています(Q&A 2-6-1(2026年10月30日確認))。そのうえで、法第17条の3に基づき、まずは所轄庁に仮理事を選任してもらい、社員総会を招集し、新たな役員を選任した上で、解散議決を得ることが考えられます、と答えています(同)。
法律は、理事が欠けた場合において、業務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、仮理事を選任しなければならない、と定めています(特定非営利活動促進法 第17条の3)。請求できるのは利害関係人なので、社員の一人が所轄庁に相談するところから始まります(当事務所の見解)。仮理事が必要になる場面は役員の任期切れと仮理事にも書いています。
作った当事者の目で見ると
法人を作るときは、10人の社員を集めるところで力を使い切りがちで、「やめるときの人数」までは考えません。でも、解散で困るのは、社員名簿が古いまま、退会の届も残っていない法人です。作った側から言えるのは、毎年の総会で社員名簿を確かめ、退会の申し出は口頭で済ませず紙かメールで残す、という地味な習慣が、最後の解散の手間をいちばん減らすということです。設立の時に定款で書面表決や電磁的方法の表決を使えるようにしておくと、人が減ったあとでも総会が成り立ちます(当事務所の見解)。
解散したあと——清算人、届出、官報の公告
ひとことで言うと、解散は終わりではなく、清算の始まりです。京都府のページは、NPO法人が解散したときは、理事がその清算人になります、と説明しています(定款に別の定めがあるとき又は社員総会において理事以外の者を選任したとき及び破産手続開始の決定による解散の場合を除く。)(京都府「NPO法人の解散、合併」(2026年10月30日確認))。
清算人は、社員総会の決議、定款で定めた解散事由の発生、社員の欠亡、破産手続開始の決定の事由によって解散した場合には、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない、とされています(第31条第4項)。千葉市の手引きは、債権の申出の公告は、1回以上(官報掲載の日から少なくとも2カ月間)官報に掲載する必要があり、官報の掲載には約4万円の費用がかかります、と書いています(千葉市の手引き(2026年10月30日確認))。解散を決めた後も、清算が終わるまで数か月は手続が続くと考えておきます(当事務所の見解)。
今日やること——3つだけ
まず、定款の「解散」「総会」「表決」の条文を開き、解散の決議の要件と、書面表決や電磁的方法の表決の定めを確かめます。で、社員名簿と退会届を並べ、今の社員が何人いて、連絡がつくのは何人かを数えます。最後に、4つの道のどれになるかを決め、社員はいるのに役員がいない場合は、所轄庁に仮理事の選任について相談します。この3つで、「集まらないから解散できない」が「この道で、この順番で解散する」に変わります。
参考にした一次資料
- 内閣府NPOホームページ「NPO法Q&A 認証 解散・合併」(2-6-1・2-6-6)(2026年10月30日確認)
- 特定非営利活動促進法(第14条の7・第17条の3・第31条・第31条の2。e-Gov法令検索)(2026年10月30日確認)
- 千葉市「特定非営利活動法人 申請・届出の手引き」(令和8年1月改訂。解散に関する手続き・様式第8号)(2026年10月30日確認)
- 京都府「NPO法人の解散、合併」(2026年10月30日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁
千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。解散の届出や解散認定申請書、仮理事の選任の相談は、所轄庁の窓口で様式と手順を確認します(2026年10月30日確認)。
※2026年10月30日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
解散の相談は、言い出しにくい話だと思います。でも、止まったまま法人を残しておくより、きちんと閉じるほうが、関わった人たちへの誠実さになります。まずは定款と社員名簿を机に出して、今、社員が何人いるかを数えるところから始めてみてください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。