— 30秒でわかる結論 —

Q. 建設業許可も補助金も、頑張れば自分で申請できますよね?

できます——行政書士の私が言うのだから間違いありません。手引きを読み込み、窓口に通う時間と根気があれば、多くの手続きは自力で可能です。だからこそ判断基準は「できるか」ではなく「社長がそれをやるべきか」。①失敗したときに失うものの大きさ、②その手続きを今後も繰り返すか、③かかる数十時間で本業なら何を生めるか——この3つで測ってください。一度きり・失敗が高くつく・本業が忙しいの三拍子がそろう手続きほど、外注の合理性が高くなります。

同業の方に叱られそうな書き出しですが、正直に言います。許認可も補助金も契約書も、制度上はご自身で対応できます。役所の手引きは無料で公開され、窓口は丁寧に教えてくれます。では、私たち専門家に頼む価値はどこにあるのか。売り手の立場を離れて、経営判断としての「内製か外注か」を整理してみます。

判断軸①——失敗コスト:しくじったら何を失うか

最初に測るべきは、その手続きに失敗したときの損失です。オンラインで完結する軽い届出なら、ミスしても出し直せば済みます。一方、指定申請が差し戻されて開業が2か月遅れれば、家賃と人件費が売上ゼロのまま出ていきます。補助金なら、要件の読み違いや手続き違反が交付取消・返還につながることも。契約書は、トラブルが起きたときに初めて品質が試される書類で、失敗コストが数年後に顕在化します。「出し直せば済む手続き」か「失敗が経営に刺さる手続き」か——この見極めが仕分けの第一歩です。

判断軸②——再現性:一度きりか、毎年やるか

次に、その手続きを繰り返すかどうか。建設業許可の取得は一度きりでも、決算変更届は毎年、更新は5年ごとに続きます。毎年続く手続きを毎回外注するのか、それとも最初の1回をプロと一緒にやって社内に型を作り、2回目からは内製するのか——後者は私自身がよくご提案する形です。逆に、会社設立や事業承継の認可のような一度きりの手続きは、社内にノウハウを残す意味が薄く、外注との相性が良い領域。「学習投資に見合う手続きだけ学ぶ」のが、小さな会社の合理的な戦い方ではないでしょうか。

判断軸③——社長の時間単価:その30時間で何を生めるか

慣れない申請書類の作成は、初めての方だと調査も含めて数十時間かかることが珍しくありません。問うべきは「報酬を払うか、自分でやって浮かすか」ではなく、「その数十時間を本業に使ったら、いくら生めるか」です。月商数百万円の会社の社長の1時間は、決して安くありません。しかも慣れない事務作業は、本業の集中力まで削ります。逆に、閑散期で時間がある、手続きそのものを学びたい——という状況なら、内製の価値は上がります。時間単価は状況で変わる変数として、その都度当てはめてみてください。

外注の隠れた価値——「書類作成」の外側にあるもの

公平のために、専門家側の価値も正直に書きます。報酬の対価は書類の清書ではありません。①要件判断——そもそもこの計画で許可が取れるか、どの制度が最適かという入口の見立て。②期限管理——更新・報告・届出を落とさない仕組み。③行政との対話——事前相談や補正対応の勘所。④隣接領域への接続——融資・登記・労務など、士業の業際をまたぐ論点の交通整理。書類はその成果物にすぎない、というのが実感です。だからこそ、見積りを取るときは「何をどこまでやってくれるのか」の範囲を確認することをおすすめします。

実践——手続きの棚卸しマトリクス

最後に、今日からできる整理法を。自社に関わる手続きを書き出し、縦軸に失敗コスト(高/低)、横軸に頻度(一度きり/繰り返し)の4象限に置いてみてください。「失敗コスト高×一度きり」は外注本命、「失敗コスト低×繰り返し」は内製本命、「失敗コスト高×繰り返し」は初回外注→型化して内製または顧問で継続管理、「失敗コスト低×一度きり」はお好みで。この一枚があるだけで、外注費は「なんとなくの出費」から設計された投資に変わります。当事務所の契約書サポートや顧問契約も、この仕分けのご相談から始めていただいて構いません。

💬 目加多のひとこと

「全部お任せください」と言わない行政書士でありたい、と思っています。内製できるものは型をお渡しして内製化を応援する。その方が信頼していただけて、本当に難しい局面で声をかけていただける。長い目で見れば、それが一番の営業だと信じています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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