— 30秒でわかる結論 —

Q. 居酒屋で人気の日本酒をボトルのままお客様に売りたいのですが、何か必要ですか?

必要です。客席で飲んでいただくのは飲食店営業許可の範囲ですが、未開栓のボトルを持ち帰り用に販売するのは『酒類の小売』にあたり、税務署の一般酒類小売業免許が必要です。無免許での酒類販売は酒税法違反になり得ます。さらに全国のお客様へ発送する通販となると、別の通信販売酒類小売業免許が必要で、扱える銘柄にも制限があります。「出す」と「売る」で許認可の世界が変わる——ここが飲食店のお酒まわりで一番の落とし穴です。

「お客様に『この日本酒、買って帰れないの?』と言われるんです」——飲食店のオーナーから本当によくいただくご相談です。喜ばれるなら売りたい。その気持ちに水を差すようですが、ここには明確な許認可の線があります。知らずに越えると無免許販売。知っていれば、免許を取って堂々と売れる。違いは知識だけです。

「出す」の世界——飲食店営業許可でカバーされる範囲

グラスで、ボトルで、客席で飲んでいただく分には、飲食店営業許可(保健所)の範囲です。開栓してお客様に提供する行為は「飲食の提供」であって「酒類の販売」ではない、というのが基本的な整理。カクテルを作るのも、ボトルキープも、この世界の中の話です。

「売る」の世界——税務署の酒類販売業免許

一方、未開栓のお酒をそのまま持ち帰ってもらう・発送するのは「酒類の小売」で、酒税法にもとづく酒類販売業免許が必要になります。管轄は保健所ではなく税務署。店頭での持ち帰り販売なら一般酒類小売業免許です。免許には販売場(店舗)ごとの申請、経営基礎要件、販売管理者の選任などの要件があり、申請から免許までは標準的に2か月程度の審査を見込みます(時点により異なるため申請時に要確認)。テイクアウト需要をきっかけに免許を取る飲食店は増えており、料理のテイクアウト・通販と並ぶ「第二の売上」の柱になり得ます。

通販はさらに別免許——しかも扱える銘柄に制限がある

「全国のファンにうちの酒を届けたい」となると、今度は通信販売酒類小売業免許の世界です。2都道府県以上の広域の消費者を対象にインターネット等で販売する形態がこれにあたります。そして最大の注意点が銘柄の制限——通販免許で扱える国産酒は、原則として課税移出数量3,000kl未満の製造者が造るお酒等に限られます。ざっくり言えば、大手メーカーの定番商品は通販免許では売れないということです(輸入酒には数量制限なし)。地酒や地ビール、クラフト系との相性がよい免許、と理解すると分かりやすいのではないでしょうか。

深夜営業との関係——0時以降「主として酒類」なら警察へ届出

お酒まわりでもうひとつ忘れてはならないのが、深夜0時以降に主として酒類を提供する営業(バー・居酒屋等)に必要な、警察署への深夜酒類提供飲食店営業の届出です。食事が主体のレストランが深夜まで営業する場合は不要とされる一方、酒類提供が主体なら必要——業態の実態で判断されます。保健所(営業許可)・税務署(販売免許)・警察(深夜届出)と、お酒は三つの役所にまたがるジャンル。開業時にやりたい業態を全部書き出して、必要な許認可を一枚の地図にするのが安全です。

売り方別・必要な許認可の早見

整理すると——①客席で提供:飲食店営業許可。②未開栓ボトルの店頭持ち帰り販売:+一般酒類小売業免許。③全国への通販:+通信販売酒類小売業免許(銘柄制限あり)。④深夜0時以降に主として酒類提供:+警察への届出。⑤自家製の梅酒などを提供・販売する場合や酒類を製造する場合は、また別の特例・免許の世界になるため個別にご相談ください。当事務所では飲食店の開業支援として、営業許可から酒類免許・深夜届出までまとめて設計しています。

📍 千葉県ローカルメモ|お酒の手続き、窓口はどこ?

飲食店営業許可の窓口は店舗所在地の保健所で、松戸市・流山市・我孫子市なら千葉県松戸保健所の管轄です。一方、酒類販売業免許の申請先は販売場の所在地を管轄する税務署(松戸市なら松戸税務署)で、深夜酒類提供の届出は所轄の警察署。同じ一軒のお店でも、書類の行き先が保健所・税務署・警察署と三方向に分かれるのが酒類ビジネスの特徴です。当事務所ではこの三方向をまとめて段取りします。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

お酒の許認可は「知らなかった」が通用しにくい分野です。でも裏を返せば、免許を取れば合法的に売上の柱を増やせる分野でもあります。お客様の「買って帰りたい」は最高の需要調査。その声を、無免許のリスクではなく免許取得のきっかけに変えましょう。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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