— 30秒でわかる結論 —
Q. 外国籍(定住者)の個人事業主でも、日本政策金融公庫の融資は申し込めますか?
申し込めます。公庫は外国籍であること自体を理由に融資を断りませんが、日本人と違って2つの点が必ず見られます。①在留資格:永住者・特別永住者は在留期間に定めがなく最も有利、定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等は身分系で事業に制限がなく日本人と同様に審査され、経営・管理や高度専門職も事業を経営できる資格ですが、経営・管理は当初1年の在留期間が多く返済期間との関係で条件が付く場合があります。技術・人文知識・国際業務や留学、家族滞在は原則として事業経営が認められず対象になりにくいです。②在留期間と返済期間:在留期間より長い返済期間を申し込む場合、これまでの更新実績、日本での生活基盤、事業の継続性(取引先・売上・契約)、次回更新の見込みで説明できるかが問われます。海外から仕入れる事業は、海外側の請求書・契約書・領収書に日本語の参考訳を添え、送金記録・通関書類・販売実績で仕入れから販売までの資金の流れを1枚で追えるようにしておくと審査が速くなります。面談では日本で事業を続ける理由と見通し、在留資格の更新予定、自己資金の出所が聞かれます。最終的な可否は公庫支店の判断です。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 外国籍で日本で個人事業を営んでいて、公庫の融資を検討している方
- 輸入卸・越境ECなど海外仕入れがあり、証憑の見せ方に悩んでいる方
- 外国籍のお客様から融資の相談を受けた税理士・行政書士の方
「外国籍だから公庫は無理」は誤解——ただし、見られる場所が2つ違う
「外国籍の個人事業主ですが、日本政策金融公庫の融資は申し込めますか」——この質問に、公庫の実務上の答えは「外国籍であること自体で断られることはない」です。公庫は中小企業・小規模事業者の振興が目的で、国籍要件はありません。ただし、日本人の申込みと違って2つの点が必ず見られます。①在留資格(日本で事業を経営できる資格か)、②在留期間と返済期間の関係です。
①在留資格——「事業を経営できる」資格かどうか
| 在留資格 | 公庫融資の扱い(実務上の整理) |
|---|---|
| 永住者・特別永住者 | 在留期間に定めがなく、日本人と同様に審査される。最も有利 |
| 定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等 | 身分系の在留資格で、就労・事業に制限がない。日本人と同様に審査されるが、在留期間(1年・3年・5年)と返済期間の関係が論点になる |
| 経営・管理、高度専門職1号ハ・2号 | 事業を経営できる在留資格。経営・管理は当初1年の在留期間が多く、返済期間との関係で条件が付く場合がある。高度専門職2号は在留期間に定めがない |
| 技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在 など | 原則として事業経営が認められない(資格外活動許可の範囲を除く)ため、事業融資の対象になりにくい。在留資格の変更を先に検討 |
在留資格の確認は在留カードで行い、申込時にコピーを求められます。定住者・永住者・日本人の配偶者等をお持ちなら、入口で止まることはまずありません。
②在留期間と返済期間——ここが実務の論点
公庫は「返済期間中、日本で事業を続けられるか」を見ます。在留期間が1年の方が7年返済の融資を申し込むと、「更新できなければ返済が続かない」という懸念が生じます。実務上は、身分系の在留資格(定住者・配偶者等)で更新実績があり、事業の継続性が示せる場合、在留期間より長い返済期間でも融資が実行された例があります。判断材料になるのは次のようなものです。
- これまでの在留期間の更新実績(何年・何回更新してきたか)
- 日本での生活基盤(家族・住居・納税)
- 事業の継続性(取引先・売上・店舗や倉庫の契約)
- 次回更新の見込み(更新予定時期と要件の充足)
逆に言えば、「在留期間が短い=不可」ではなく、「更新の見込みを説明できるか」が問われます。事業計画書の中で、在留の安定性をどう示すかを設計してください。
③海外仕入れがある事業は、証憑の「見せ方」で差がつく
輸入卸・輸入販売・越境ECなど、海外から仕入れる事業は、公庫が取引の実在性と資金の流れを確認したがります。韓国・中国など海外側の請求書・契約書・領収書は、そのままでは審査担当者が読めません。
| 書類 | 準備の仕方 |
|---|---|
| 海外側の請求書・契約書・領収書 | 原本(またはPDF)に日本語の参考訳を添える。金額・数量・支払条件・相手先が対応していることが分かる形に |
| 送金記録 | 銀行の海外送金明細、為替レート、送金日と請求書の対応 |
| 輸入通関の書類 | インボイス・パッキングリスト・通関許可通知書など。数量と金額が請求書と一致していることが確認材料 |
| 販売実績 | 日本国内の卸先・ECの売上データ(月次)。仕入れと販売の粗利が計算できる形 |
| 取引先の情報 | 海外メーカー・仕入先の会社概要、取引年数、独占・非独占の別 |
面談では「なぜこの商品か」「なぜこの仕入先か」「粗利はいくらか」「在庫はどのくらい持つか」が聞かれます。仕入れから販売までの資金の流れが1枚で追えるように整理しておくと、審査が速くなります。
④面談で外国籍の方が特に聞かれること
- 日本で事業を続ける理由と見通し——「なぜ日本で」「今後も日本で」を言葉にする
- 在留資格の更新予定——次回更新の時期と、更新に問題がない根拠
- 日本語での意思疎通——面談は原則日本語。書類は日本語(参考訳可)。通訳や支援者の同席は支店に事前確認
- 自己資金の出所——海外からの送金で自己資金を作った場合、その経緯と記録(自己資金の作り方・見せ方)
申込みまでの流れ
- 在留カードで在留資格・在留期間を確認し、返済期間との関係を整理
- 事業計画書(開業済みなら直近の確定申告書・試算表)と資金使途の内訳
- 海外仕入れの証憑に日本語参考訳を付け、資金の流れを1枚に
- 公庫支店へ事前相談→申込→面談→審査(通常2〜4週間程度)→実行
当事務所の関わり方
外国籍の個人事業主・法人の公庫融資について、在留資格と返済期間の整理、事業計画書・資金使途の設計、海外仕入れの証憑の見せ方、面談の想定問答までをお受けしています(スポット:着手金33,000円+成功報酬 実行額の3.5%・最低110,000円、税込。顧問クライアントは着手金0円)。千葉市・松戸市など千葉県内は対面も、全国オンラインでも対応します。事業拡大の大きな融資は2,000万円規模の考え方も。融資・資金繰りサポートへ。
参考にした一次資料
- 日本政策金融公庫 国民生活事業「融資制度一覧」「お申込みに必要な書類」(公式サイト)
- 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
- 当事務所の相談実務での整理(在留資格別の扱いは実務上の一般論であり公庫の公式要件表ではない)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉市・松戸市など千葉県内の方へ
千葉県内の公庫支店(千葉支店・松戸支店・船橋支店など)は、事業所の所在地で決まります。千葉市の個人事業主は千葉支店が窓口です。当事務所(松戸市)は千葉県内の対面相談と、全国のオンライン相談に対応しています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
外国籍のお客様の融資相談で、私が最初にお願いするのは在留カードを見せていただくことです。在留資格と在留期間で、事業計画書の書き方が変わるからです。そして海外仕入れの書類は、日本語で「読める」形にする。それだけで、公庫の担当者の反応が変わります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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