— 30秒でわかる結論 —
Q. すでに開業している個人事業主が、事業拡大のために公庫で2,000万円を借りるには何が必要ですか?
創業融資と違い、開業済みの融資は実績で判断されます。見られるのは直近1〜2期の確定申告書と試算表、売上と利益の推移、既存借入の返済状況、拡大後の売上増加の根拠(受注・取引先・EC実績)です。制度は一般貸付(融資限度4,800万円・特定設備資金は7,200万円)などが念頭になります。2,000万円は「何にいくら」で組み立て、内装・什器・機器などは設備資金(業者の見積書が根拠)、在庫・広告・人件費などは運転資金(月次の収支計画が根拠。運転資金は月商の数か月分で妥当性を見る)に分け、混ぜると減額されます。7年返済なら年約290万円+利息の返済額を、拡大後の利益+減価償却で賄えることを収支計画で示せないと金額が削られます。先に整えるのは、確定申告書・試算表、月次の売上の証拠、需要が先にあることを示す引き合い・受注、既存借入の返済状況、自己資金の残高。審査は申込から実行まで通常2〜4週間程度で、急ぐなら申込前の書類準備を短くするしかありません。2,000万円が難しい場合は、金額を分ける、制度融資との併用、補助金との組み合わせを提案します。融資の可否は公庫の審査によります。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 開業済みで、事業拡大のために1,000万〜3,000万円規模の融資を考えている個人事業主・法人の方
- 輸入卸・EC・ショールームなど、在庫と設備の両方に資金が要る事業の方
- 急いで申し込みたいが、何から揃えればいいか分からない方
「創業融資」と「事業拡大の融資」は、見られるものが違う
すでに開業している個人事業主や法人が、事業拡大のために公庫で2,000万円前後を借りたい——このとき、創業融資と同じ感覚で「計画の熱意」を語っても通りません。開業済みの融資は、実績で判断されます。何を見られるのか、どう準備するのかを整理します。
| 項目 | 創業融資(開業前〜開業直後) | 事業拡大の融資(開業済み) |
|---|---|---|
| 主に見られるもの | 創業計画書の妥当性、自己資金、経験 | 直近の決算・確定申告(1〜2期)、試算表、売上と利益の推移、既存借入の返済状況 |
| 制度の例 | 新規開業・スタートアップ支援資金(融資限度7,200万円・うち運転資金4,800万円) | 一般貸付(融資限度4,800万円・特定設備資金は7,200万円)、経営環境変化対応資金 など |
| 自己資金 | 創業時の自己資金要件は撤廃されたが、審査では見られる | 自己資金より返済能力(利益+減価償却)と使途の妥当性 |
| 金額の根拠 | 設備の見積と開業後の収支計画 | 拡大後の売上増加の根拠(受注・取引先・EC実績)と、それに必要な投資 |
2,000万円は「何にいくら」で組み立てる
公庫は資金使途を設備資金と運転資金に分けて審査します。「内装・設備・在庫・広告・EC運営・運転資金」と並べて2,000万円と言うだけでは、審査担当者は判断できません。次のように分けます。
| 使途 | 区分 | 根拠書類 |
|---|---|---|
| 内装工事・什器・ショールームの設備 | 設備資金 | 業者の見積書(複数)、図面、賃貸借契約書 |
| 機器・システム(EC構築・POS等) | 設備資金 | 見積書、仕様書 |
| 在庫(仕入れ) | 運転資金 | 仕入先の見積・契約書、月次の仕入計画、粗利 |
| 広告宣伝費 | 運転資金 | 媒体・期間・金額の計画、過去の広告効果(CPA等) |
| 人件費・家賃など経常的な支出 | 運転資金 | 月次の収支計画。運転資金は通常「月商の◯か月分」で妥当性を見る |
ポイントは2つ。①設備資金は見積書が根拠、運転資金は月次収支が根拠——混ぜると減額されます(設備資金と運転資金の区分)。②2,000万円の年間返済額(例:7年返済なら年約290万円+利息)を、拡大後の利益+減価償却で賄えることを収支計画で示す。ここが示せないと、金額が削られます。
金額を「確保」するために、先に整えるもの
- 直近の確定申告書と試算表——申告していない・赤字が続いている場合は、理由と改善を説明できるように。
- 売上の証拠——ECの売上データ、卸先との契約・請求書、入金記録。月次で並べる。
- 拡大の根拠——「ショールームを作れば売れる」ではなく、既存の引き合い・受注・問い合わせ数など、需要が先にあることを示す。
- 既存借入の返済状況——遅延がないこと。他行借入があれば返済予定表。
- 自己資金の残高——要件ではなくても、手元資金があるほど金額は通りやすい。
「急ぎ」の場合の現実的な線表
公庫の審査は、申込から実行まで通常2〜4週間程度(支店・時期・案件により変わる)。急ぐなら、申込前の書類を揃える期間を短くするしかありません。当事務所では、初回相談で「今ある書類」と「足りない書類」を仕分けし、足りないものの調達に並行して事業計画書を書き始めます。書類が揃っていれば、相談から1〜2週間で申込みに進めることもあります(保証はできません)。
2,000万円が難しいと判断したとき
正直に言うと、実績や返済能力から見て2,000万円が難しい場合があります。そのときは、①金額を分ける(今回は設備分、在庫と広告は実績が出てから追加)、②制度融資(自治体+信用保証協会)との併用、③補助金との組み合わせで自己負担を減らす、といった組み立てを提案します。「通る額で、次に繋がる形」にするのも、専門家の仕事です(追加融資を断られたときの次の一手)。
当事務所の関わり方
事業拡大の融資について、決算・試算表の整理、資金使途の設備/運転への分解、拡大の根拠の組み立て、面談の想定問答までをお受けしています(スポット:着手金33,000円+成功報酬 実行額の3.5%・最低110,000円、税込。2,000万円なら33,000円+700,000円=733,000円が目安。顧問クライアントは着手金0円)。千葉市・松戸市など千葉県内は対面も、全国オンラインでも対応します。外国籍の方は在留資格と返済期間の整理もあわせて。融資・資金繰りサポートへ。
参考にした一次資料
- 日本政策金融公庫 国民生活事業「一般貸付」「新規開業・スタートアップ支援資金」「お申込みに必要な書類」(公式サイト)
- 当事務所「補助金申請 実務ガイド」「融資の実務整理」(2026年8月版)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉市・松戸市など千葉県内の方へ
千葉県内の公庫支店は事業所の所在地で決まります(千葉市は千葉支店)。千葉市・松戸市には制度融資(市の融資制度+信用保証協会)があり、公庫との併用で総額を組める場合があります。当事務所は千葉県内の対面相談と全国オンラインに対応しています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「2,000万円借りたい」という相談で、私がまず紙に書くのは「年間返済額」です。7年で約290万円。この数字を、拡大後の利益で払えるかどうか。ここが説明できる計画は通り、できない計画は削られる。金額の確保は、熱意ではなく、この1行で決まります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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