— 30秒でわかる結論 —
Q. 社員の昇給額は、どうやって決めればいいですか?
まず「定期昇給」と「ベースアップ」を分けることから始めてください。定期昇給=個人の成長・評価に応じて賃金テーブルの中を上がる昇給、ベースアップ=物価や市場に合わせてテーブル自体を底上げする改定——性質が違うお金です。そのうえで、①簡単でいいので等級×号俸の賃金テーブルを作り、②評価結果と昇給号数を対応させ(例:A評価は4号、B評価は2号)、③原資は労働分配率と利益計画から逆算。「なぜこの額か」を説明できる昇給が、定着への最大の投資になります。
「今年もみんな一律3,000円で」——その決め方、実は一番高くつきます。頑張った人には「差がつかない会社」と映り、市場価値のある人から静かに転職サイトを開く。昇給を仕組みにする方法を、最小限の道具立てで解説します。
定期昇給とベースアップ——混ぜると説明できなくなる
ニュースで聞く「ベア」と、社内の昇給は別の話です。定期昇給は、個人が経験・評価を積んでテーブルの階段を上がること。ベースアップは、最低賃金の上昇・物価・採用市場に対応して階段そのものを底上げすること。この2つを混ぜて「今年は5,000円上げた」と言うと、個人の頑張りの評価分がいくらなのか誰にも分からなくなります。「ベアで2,000円、あなたの評価で3,000円」と分けて伝える——それだけで昇給面談の納得感は別物になります。
小さな会社の賃金テーブル——A4一枚で作れる
大企業のような精緻な表は不要です。最小構成は、①等級(3〜5段階。例:一般→中堅→リーダー→管理職)、②各等級の給与レンジ(下限〜上限)、③レンジ内を刻む号俸(例:1号=1,500円)。これだけで「いま自分はどこにいて、次に何をすれば、いくら上がるか」が全員に見えます。既存社員の現在給与をテーブルに当てはめてみると、説明のつかない逆転や头打ちが見つかる——それ自体が、これまでの「気分の昇給」の棚卸しになります。
評価との接続——昇給は評価制度の「出口」
テーブルができたら、評価結果と昇給号数を対応させます(例:S=6号、A=4号、B=2号、C=0号)。ここで大切なのは、差をつけること自体から逃げないこと。全員B評価の「事なかれ運用」は、一律昇給と同じメッセージになります。評価基準の言語化・評価者の目線合わせとセットで運用してこそ、テーブルは生きる——昇給制度とは、突き詰めれば評価制度の出口なのです。
原資の計算——「上げたい」と「上げられる」をつなぐ
昇給原資は気合いではなく計算で出します。①来期の粗利計画を立てる、②目標とする労働分配率(人件費÷粗利。中小企業は概ね50〜70%が目安)から人件費の枠を決める、③枠から社会保険料の会社負担増(昇給額の約15%が連動して増える)も含めた昇給原資を逆算。「原資が足りない」なら、賃上げの前に粗利改善(値決め・生産性)の打ち手を——昇給の持続性は、財務の設計力です。当所は人事と財務の両面から、テーブル設計と原資計画をセットでお手伝いします。
💬 目加多のひとこと
賃金テーブルを初めて作ったお客様が「社員に給与の話をするのが怖くなくなった」と言われたのが忘れられません。説明できる仕組みは、経営者自身を守る道具でもあるのです。まずは現状の給与一覧を並べるところから——1枚のExcelから始めましょう。
まとめ
昇給は定昇とベアを分け、等級×号俸のテーブルと評価をつなぎ、労働分配率から原資を逆算する——説明できる仕組みが定着への投資です。テーブル設計から原資計画まで一体で支援します。初回相談60分無料。松戸・柏・流山・船橋・市川をはじめ首都圏の中小企業を支援しています(オンラインで全国対応も可)。
※就業規則・賃金規程の変更手続きは提携社会保険労務士と連携して対応します。