— 30秒でわかる結論 —
Q. 放デイや児発など障害福祉の事業所で、職員サーベイは定着に効きますか?
結果を職員に返し、何かを1つ直すところまでやれば効きます。効く理由は、離職の予兆が見えること、経営者と現場のズレが数字になること、処遇改善加算の職場環境等要件(やりがい・働きがいの醸成、両立支援などの区分)に取組として接続できること、児発管・サビ管の負担を把握できることです。一方で、結果を返さない、匿名にならない(10人の事業所で職種や勤続年数を聞く)、一般企業向けの設問をそのまま使う、人事評価に流用すると逆効果になります。小規模事業所には年2回・10問以内・結果は全員に返す・直すのは1つ・属性を聞かないという型を提案しています(制度ではなく実務上の提案)。なおストレスチェック(労働安全衛生法・常時50人以上の事業場で義務)は個人の健康を扱う別の制度です(2026年9月24日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 放デイ・児発・就労支援など障害福祉の事業所で、職員の定着に悩んでいる経営者の方
- サーベイを取ったものの、どう活かすか決めかねている方
- 処遇改善の職場環境等要件を実のある取組にしたい方
意義は「測ること」ではなく「返すこと」にあります
職員サーベイ(アンケート)を定着やモチベーションのために使う事業所が増えています。私は、意義はあると考えています。ただし条件があります。結果を職員に返し、何かを1つ直すところまでやることです。小規模な障害福祉の事業所では、ここを外すと逆効果になります。
| 効き方 | 中身 |
|---|---|
| 離職の予兆が見える | 障害福祉の離職は「突然」に見えて、数か月前に兆しがあることが多い。感情労働と人手不足が重なる現場ほど、口に出せない |
| 経営者と現場のズレが数字になる | 「処遇は上げた」と経営者は思い、現場は「業務量と評価」に不満、という食い違いがよく起きる |
| 処遇改善加算と接続できる | 職場環境等要件は「やりがい・働きがいの醸成」「両立支援」などの区分から取組を選ぶ仕組み。サーベイを起点にした改善は、計画書に書ける取組になりうる(どの項目に当たるかは通知の一覧で確認) |
| 児発管・サビ管の状態が見える | 辞められると減算に直結する職種の負担を、管理者が把握できる |
失敗する型のほうが多い
- 聞いただけで終わる——結果が返ってこないと、次から本音を書かなくなる。1回目でこれをやると、2回目は取れない。
- 匿名にならない——職員10人の事業所で「職種・勤続年数」を聞けば、誰かが分かる。
- 一般企業向けの設問をそのまま使う——利用者との関係、シフト、送迎、保護者対応など、福祉固有の負荷が測れない。
- 人事評価に使われると疑われる——管理者が結果を個人の特定に使った瞬間に、制度として終わる。
企業の人事にいた頃、サーベイが形だけになる組織を何度も見ました。共通していたのは「取ること」が目的になっていたことです。
— この段階でご相談いただく理由 —
採用にかける費用より、定着に効く小さな改善を毎期1つ積むほうが安いというのが、人事の実感に近いです。サーベイはそのための「どれから直すか」を決める道具です。設問の作り方、匿名の担保、結果の返し方まで、事業所の規模に合わせて一緒に設計できます。
<ご相談時にお持ちいただくもの>職員の人数と職種/直近の退職者数と理由(分かる範囲で)/今年度の処遇改善計画書。60分無料相談はこちら
小規模事業所での現実的な型
| 項目 | 提案 |
|---|---|
| 頻度 | 年2回。多いと答える側が疲れる |
| 設問 | 10問以内。「この事業所を友人に勧めるか」1問+自由記述だけでも成立する |
| 返し方 | 結果は全員に返す。定例会議(虐待防止委員会などと同じ場)で「今回はこれを直します」と宣言し、次回に再測定 |
| 直す数 | 1つ。全部直そうとすると、何も直らない |
| 匿名性 | 属性を聞かない。集計は外部(顧問など)が行う |
| 位置づけ | ストレスチェック(労働安全衛生法・常時50人以上の事業場で義務)とは別物。あちらは個人の健康、こちらは組織の状態 |
年2回・10問・直すのは1つ。これは制度ではなく、私の提案です。続けられる形にすることを最優先にした数字です。
設問の例(福祉向けに置き換える)
- 利用者への支援で、困っていることを相談できる相手がいますか。
- シフトや送迎の負担は、この半年で重くなりましたか、軽くなりましたか。
- 保護者・家族への対応で、ひとりで抱えていると感じることはありますか。
- 自分の仕事が、事業所でどう評価されているか分かりますか。
- この事業所を、福祉で働く友人に勧めますか。
「満足度」を聞くより、「困っているか」「ひとりで抱えていないか」を聞くほうが、次に直すことが見えます。
📗 採用が難しい職種の要件はサービス管理責任者の要件、突然の退職への初動はサビ管・児発管が突然辞めたら、処遇改善の配り方は処遇改善加算の「配り方」4つの縛りにまとめています。
顧問の型に組み込むなら
「年2回サーベイ → 定例会議で1テーマ改善 → 処遇改善計画書の職場環境等要件に反映」という一連の流れは、手続きだけの支援では出てこないものです。当事務所では、指定申請や加算の期限管理と同じ年間カレンダーに、この2回を組み込む形でお手伝いしています。人が定着すれば、加算も減算も安定します。人と手続きは、別の話ではありません。
参考にした一次資料
- 厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」職場環境等要件の6区分(2026年9月24日確認)
- 厚生労働省「ストレスチェック制度」(労働安全衛生法・常時50人以上の事業場)(2026年9月24日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|松戸周辺の事業所で始めるなら
当事務所では、指定申請や加算の期限管理と同じ年間カレンダーに、年2回のサーベイを組み込む形でお手伝いしています。集計は当事務所が行うため、職員の匿名性を保ちやすく、結果を定例会議(虐待防止委員会などと同じ場)で返す段取りまで含めます。処遇改善計画書の職場環境等要件に取組として書く場合は、令和8年度通知の項目一覧との対応を確認したうえで記載します。就業規則や評価制度の変更は社会保険労務士の業務なので、必要に応じて分担します(2026年9月24日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
人事にいた頃、サーベイが形だけになる組織をたくさん見ました。共通していたのは、取ることが目的になっていたことです。障害福祉の事業所なら、1つ直して次回また聞く、を続けられれば十分です。数字より、その往復が信頼になります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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