— 30秒でわかる結論 —

Q. 里親支援センターを運営するために、NPO法人を設立できますか?定款はどう書けばいいですか?

里親支援センターは令和4年の児童福祉法改正で制度化され2024年4月1日に施行された児童福祉施設で、第二種社会福祉事業です。設置主体は都道府県・指定都市・児童相談所設置市のほか社会福祉法人等が想定され、報道では現在フォスタリング機関を担う乳児院・児童養護施設・NPO法人などが運営主体の候補に挙げられているため、NPO法人での参入は制度上の想定に入っています。NPO法人で目指す場合、決定的なのは設立時の定款です。あとから定款を変えるには社員総会の決議と所轄庁の認証(数か月)が必要なため、目的に里親支援と家庭養育の推進を明記し、特定非営利活動の種類は「子どもの健全育成を図る活動」「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」などを選び、事業に「児童福祉法に基づく里親支援センターの運営」を将来の事業として書き、あわせて普及啓発・研修・相談支援など実際に始められる事業も入れます。夫婦で立ち上げる場合は役員の親族制限に注意し、役員総数を含めて設計してください。職員配置は報道ベースで登録里親60世帯以下を基準にセンター長・里親等支援員・研修担当・リクルーターの4人専任が目安です。設立認証申請から法人成立まではおおむね3〜4か月です。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 里親支援センターの運営を目指して法人設立を検討している方
  • 児童養護施設・乳児院・児童発達支援などで働き、独立して社会的養護に関わる法人を作りたい方
  • 都道府県と協議しながら法人設立を進めている方

里親支援センターは、2024年4月に生まれた「児童福祉施設」

里親支援センターは、令和4年(2022年)の児童福祉法改正で制度化され、2024年4月1日に施行された新しい児童福祉施設です。里親支援事業を行うほか、里親・ファミリーホームの養育者、その養育される子ども、里親になろうとする人からの相談その他の援助を行い、家庭養育を推進することを目的としています。児童福祉法上の第二種社会福祉事業に位置づけられ、設置主体は都道府県・指定都市・児童相談所設置市のほか、社会福祉法人等が想定されています。

「等」に何が入るのか。福祉新聞の報道でも、現在フォスタリング機関を担う乳児院・児童養護施設・NPO法人などが運営主体の候補に挙げられています。つまり、NPO法人での参入は制度上の想定に入っている——これが、これから法人を作る方にとっての出発点です。

NPO法人で目指す場合、最初に決めるのは「定款の目的」

里親支援センターの運営を将来の目的にするなら、設立時の定款で、そこに繋がる目的と事業を書いておくことが決定的に重要です。あとから定款を変えるには、社員総会の決議に加えて所轄庁の認証(定款変更認証)が必要で、認証には数か月かかります。県との協議が進んでから「定款に書いていなかった」と気づくと、公募のタイミングを逃します。

定款の項目書き方の考え方
目的社会的養護を必要とする子どもと里親家庭の支援、家庭養育の推進を掲げる。「里親支援」という言葉を目的に明記し、児童福祉法の趣旨に沿う表現に
特定非営利活動の種類NPO法上の20分野から選ぶ。「子どもの健全育成を図る活動」「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」が中核。研修を行うなら「社会教育の推進」、他団体の運営支援なら「NPO活動の連絡・助言・援助」も検討
特定非営利活動に係る事業「児童福祉法に基づく里親支援センターの運営」を明記(将来の事業として)。加えて、里親制度の普及啓発、里親等への研修、相談支援、レスパイト調整、当事者交流など、実際に始められる事業も書く
その他の事業収益を伴う事業(講演・書籍販売など)を行うなら記載。特定非営利活動に係る事業に支障がない範囲で
事業年度県の公募・委託の年度に合わせる(4月〜3月が無難)
社員・役員社員10人以上、理事3人以上・監事1人以上。親族制限(役員のうち親族が一定割合を超えない)に注意——ご夫婦で理事に入る場合は、役員全体の人数設計が必要

特に最後の親族制限は、ご夫婦で立ち上げるケースで必ず論点になります。役員に配偶者を入れる場合、役員総数によっては認められないことがあるため、設立の初期段階で役員構成を設計してください。

里親支援センターの職員配置(報道ベースの目安)

制度の骨格として報じられているのは、登録里親家庭60世帯以下を基準に、里親支援センター長・里親等支援員・里親研修等担当者(トレーナー)・里親リクルーターの4人を専任配置し、20世帯増えるごとに里親等支援員を1人加える、という考え方です。設備は事務室と、里親・子ども・里親になろうとする人が訪問できる相談室等。児童福祉施設として位置づけられるため、第三者評価を受けることになります。

職員の要件には、里親としての経験や児童福祉施設での養育経験(5年以上など)、里親制度への理解とソーシャルワークの視点が挙げられています。里親支援専門相談員や児童養護施設・児童発達支援での実務経験は、そのまま人員要件と説得力になります

要確認:里親支援センターの設置基準(職員配置・設備・資格要件)と設置主体の範囲は、児童福祉法および児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)、こども家庭庁の通知で定められ、実際の認可・公募の要件は都道府県が定めます。本記事の職員配置は報道および公開資料にもとづく整理で、正式な基準は原典と都道府県の要綱で確認してください。参入の可否・時期・選定方法は都道府県の判断によります。本記事は2026年9月8日時点の情報です。

県との協議を見据えた、設立の進め方

「NPO法人を作ってから県に相談する」でも「県に相談してから作る」でもなく、並行して進めるのが現実的です。県は「誰が・どういう体制で・いつから」を見ています。法人がまだ無い段階でも、設立の準備状況(定款案・役員候補・事業計画)を示せると、協議が具体化します。

時期法人設立側県との協議側
準備期定款案・事業計画・役員/社員候補の確定。目的と事業に里親支援センターを織り込む設立準備の状況を報告。定款案を見てもらえるなら見てもらう
設立申請所轄庁へ設立認証申請→縦覧2週間審査2か月以内→認証認証見込みの時期を共有
登記認証後2週間以内に設立登記(登録免許税は非課税)。登記完了後、所轄庁へ成立届出法人格取得を報告。公募要領が出れば要件の突合
事業開始初年度の事業(普及啓発・研修・相談など)で実績を作る公募・委託の要件(実績・人員・設備)に照らして準備

設立認証申請から法人成立まで、おおむね3〜4か月を見込んでください(所轄庁の運用により変動)。10月に県へ報告する予定があるなら、その時点で「定款案と役員が固まり、申請時期が言える状態」を目指すのが現実的です。

準備しておく書類・情報

  • 役員(理事3人以上・監事1人以上)と社員10人以上の名簿——氏名・住所・生年月日。親族関係を整理
  • 役員の就任承諾書・誓約書、住民票
  • 定款案(目的・事業・事業年度・役員構成)
  • 設立趣意書(なぜこの活動が必要か。現場での経験を言葉に)
  • 事業計画書・活動予算書(設立年度と翌年度の2期分)
  • 設立総会の議事録
  • 事務所の所在地(賃貸なら使用の可否)
  • 県との協議の経緯メモ(誰と・いつ・何を話したか)

共通の考え方はNPO法人で福祉事業を始める、定款の目的は目的の書き方をご覧ください。

費用

NPO法人の設立認証申請に手数料はかからず、設立登記の登録免許税も非課税です。かかるのは、登記事項証明書などの実費と、専門家に依頼する場合の報酬。当事務所のNPO法人設立サポートは税込200,000円(日行連の令和7年度報酬額統計の最頻値と同額)で、設立登記は提携司法書士が担当し報酬は別途です(見積りは登記報酬を含めた総額で書面)。詳しくは費用の相場を。

当事務所の関わり方

里親支援センターの運営を見据えたNPO法人の設立を、定款の目的の設計からお受けしています。設立趣意書・事業計画・活動予算の作成、所轄庁との事前相談、認証申請と補正対応、認証後の登記(提携司法書士)と成立届出まで。県との協議の時期に合わせて、どこまで進めておくべきかの線表も一緒に引きます。NPO法人の設立・運営支援をご覧ください。当事務所は千葉県松戸市。県内は対面、全国オンラインでも対応します。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で里親支援センターを目指す方へ

千葉県内でNPO法人を設立する場合、事務所が千葉市内のみなら千葉市長、それ以外は千葉県知事が所轄庁です。里親支援センターの認可・公募は千葉県(児童家庭課等)が所管します。設立の所轄庁と、事業の所管課は別なので、両方と並行して話を進めてください。当事務所(松戸市)は千葉県内の対面相談と全国オンラインに対応しています。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

里親支援センターの相談で、私が最初に見るのは定款の「目的」と「事業」です。ここに書いていないことは、法人はできません。県との協議が進んでから定款変更となると、認証にまた数か月。現場の経験がある方ほど、事業の中身は語れるのに、定款の一行で足止めされる。その一行を、最初に一緒に作ります。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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