— 30秒でわかる結論 —

Q. 認定NPO法人になると、どんな税制優遇がありますか?

大きく3方向です。第一に寄附した個人は、寄附金控除(所得控除。特定寄附金の合計額から2千円を控除した額を総所得金額等から控除)と、認定NPO法人等寄附金特別控除(税額控除。2千円を控除した金額の40%相当額を所得税額から控除)のいずれか有利なほうを選択できます。条例で個別に指定された寄附金なら、個人住民税の税額控除((寄附金−2千円)×10%、総所得金額等の30%が限度)も受けられます。第二に寄附した法人は、一般寄附金の損金算入限度額とは別枠の特別損金算入限度額の範囲で損金算入できます。第三に認定NPO法人自身に、みなし寄附金があります。収益事業に属する資産のうちから収益事業以外の特定非営利活動に係る事業に支出した金額を、その収益事業に係る寄附金の額とみなす制度で、損金算入限度額は所得金額の50%または200万円のいずれか多い額です。特例認定NPO法人には適用されません(2026年9月21日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 認定NPO法人を目指している、または取得済みの方
  • 収益事業を行っていて、本来の活動に資金を回している法人の方
  • 寄附を呼びかけるときの説明材料を整理したい方

優遇は3方向に効きます

認定NPO法人になると税制優遇が受けられる、とよく言われます。中身を分けると3つの方向があります。

誰に効くか内容
寄附した個人寄附金控除(所得控除)または認定NPO法人等寄附金特別控除(税額控除)を選択適用(措法41の18の2①②)。条例で指定されていれば個人住民税の税額控除も
寄附した法人一般寄附金の損金算入限度額とは別枠の特別損金算入限度額の範囲で損金算入
認定NPO法人自身みなし寄附金(収益事業から非収益事業への支出を寄附金とみなす)

寄附を集めるための制度だと思われがちですが、3つめは法人自身の法人税に効くものです。収益事業を行っている法人ほど効いてきます。

みなし寄附金——自分の中のお金の移動が、寄附になる

認定NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちから、収益事業以外の事業で特定非営利活動に係る事業に支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなされます。これがみなし寄附金です(制度。香川県の案内。2026年9月21日確認)。

損金算入の限度額は、所得金額の50%または200万円のいずれか多い額までの範囲です。そして特例認定NPO法人には適用されません

具体的にいうと、物販や受託事業などの収益事業で利益が出て、その資金を本来の特定非営利活動(たとえば無料の相談事業や居場所づくり)に回した場合、その支出を寄附金とみなして、収益事業の所得から差し引けるということです。外部に寄附したわけではなく、自分の団体の中でお金を動かしただけなのに、税務上は寄附と同じ扱いになります。

— この段階でご相談いただく理由 —

この制度は、収益事業と非収益事業を分けて経理していることが前提になります。どんぶり勘定では、いくらを非収益事業に支出したのか示せません。認定を目指す段階から、会計の区分と資金の動かし方を設計しておくと、認定を取ったときにそのまま使えます。

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寄附した個人は、2つの控除から選べます

個人が認定NPO法人等に対し、その法人が行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附(寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます)をした場合、次のいずれか有利なほうを選択できます。

  • 寄附金控除(所得控除)——その年中に支出した特定寄附金の額の合計額から2千円を控除した金額を、その年分の総所得金額等から控除します。
  • 認定NPO法人等寄附金特別控除(税額控除)——寄附金の額の合計額から2千円を控除した金額の40%相当額を、その年分の所得税額から控除します。

加えて、都道府県・市区町村が条例で個別に指定した寄附金については、個人住民税の税額控除を受けられます。算式は(寄附金−2千円)×10%で、寄附金の合計は総所得金額等の30%相当額が限度とされています(地方税法第37条の2、第314条の7)。

寄附を呼びかけるときに、「税額控除なら、2千円を超えた分の約4割が戻ります」と説明できるかどうかで、相手の受け止めは変わります。制度を知っているのは法人側の仕事です。

認定・特例認定・条例指定は、別の制度です

混同されやすいので整理しておきます。

制度内容PST
認証法人格の取得に必要な手続き。所轄庁の認証後、登記をして成立
認定運営組織・事業活動が適正で公益の増進に資するものとして所轄庁が認めるもの必要
特例認定設立の日から5年を経過しない法人が対象。3年に限り税制優遇等免除
条例指定個人住民税の寄附金控除の対象となる法人を、都道府県・市区町村が条例で個別に指定自治体により異なる

認定の基準は8項目(PST、活動の対象、運営組織・経理、事業活動、情報公開、事業報告書等の提出、不正行為等がないこと、設立後1年超)で、特例認定はこのうちPSTが免除される形です(制度。相模原市の制度説明資料。2026年9月21日確認)。

そしてみなし寄附金は特例認定には適用されません。特例認定の3年間は「寄附者側の優遇は使えるが、法人自身の優遇は本認定から」と整理しておくと分かりやすくなります。

📗 認定の取り方は認定NPO法人は、設立日から設計するもの、寄附者数の数え方は認定NPOの「3,000円×100人」は、集め方より数え方で決まる、更新は認定NPO法人の有効期間は5年にまとめています。

税務は税理士、制度設計は行政書士

ここまでの内容は制度の説明です。実際の申告や損金算入の計算は税理士の業務ですので、具体的な金額の判断は顧問税理士にご確認ください。当事務所では、認定を取るための要件の整理、寄附者名簿や情報公開の体制づくり、所轄庁への申請書類をお手伝いしています。

実務の順番としては、会計の区分を整える → 寄附の受け方と記録を整える → PSTの見通しを立てる → 認定申請となります。税制優遇は認定を取ったあとの話ですが、取るための準備は会計と記録から始まります。そこは制度側の設計なので、行政書士がお役に立てる部分です。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で条例指定を確認するとき

個人住民税の寄附金控除は、都道府県・市区町村が条例で個別に指定した寄附金が対象です。制度を設けるかどうか、基準をどうするかは各自治体の任意のため、千葉県、および事務所のある市町村(松戸市・市川市・千葉市など)の両方で、条例指定の制度の有無と基準を確認する必要があります。県と市の両方で指定を受ければ、寄附者は住民税の県民税分・市民税分の双方で控除を受けられる形になります。なお、認定の所轄庁は、事務所が1つの都道府県内にのみある場合はその都道府県知事、1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長です。千葉県内なら、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長、それ以外は千葉県知事が所轄庁になります。条例指定の窓口とは別なので、あわせて確認してください(2026年9月21日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

認定の話をすると、多くの方が寄附者側の控除に目が向きます。ただ、すでに収益事業を回している法人にとっては、みなし寄附金のほうが効くことがあります。どちらが効くかは、決算書を見れば見当がつきます。税務の判断は税理士の領域ですが、どの制度をねらうかの整理はご一緒できます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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