— 30秒でわかる結論 —
Q. 認定NPO法人になるための基準は何ですか?寄附者100人を集めれば認定されますか?
されません。認定の基準はNPO法第45条第1項の8つで、寄附者100人(絶対値基準)はそのうち1号のパブリック・サポート・テスト(PST)を満たす方法の一つにすぎません。残りの7つは、②共益的な活動の割合が50%未満、③運営組織と経理が適正(役員の親族等・特定の法人の役員等がそれぞれ役員総数の3分の1以下、区分経理、帳簿の備付け)、④事業活動の内容が適正(宗教活動・政治活動をしない、役員・社員・寄附者等に特別の利益を与えない、営利事業者等へ寄附しない、特定非営利活動に係る事業費が80%以上、受入寄附金の70%以上を事業に充てる)、⑤情報公開を適切に行う、⑥事業報告書等を所轄庁に提出している、⑦法令違反・不正の行為・公益に反する事実がない、⑧設立の日から1年を超えているです。②〜⑧は実績判定期間(直前の2事業年度)を通じて満たす必要があり、さらに役員の前科や税の滞納などの欠格事由(第47条)に当たらないことが必要です。設立5年以内に1回だけ使える特例認定は①のPSTだけが免除され、②〜⑧は同じです(2026年9月27日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 寄附集めは順調だが、認定の「他の基準」を確認していない理事の方
- 母体企業の社員や家族で役員を固めているNPO法人の方
- 設立したばかりで、将来の認定を見据えて初年度の運営を整えたい方
認定の基準は8つ——PSTは1つ目にすぎません
認定NPO法人になるには、パブリック・サポート・テスト(PST)を含む8つの基準すべてに適合し、かつ欠格事由に当たらないことが必要です(制度。特定非営利活動促進法第45条第1項、第47条(2026年9月27日確認))。「寄附者100人」「経常収入の5分の1が寄附」といったPSTの話ばかりが注目されますが、PST以外の7つで止まる法人も少なくありません(当事務所の見解)。
| 号 | 基準 | 要点 |
|---|---|---|
| 1号 | パブリック・サポート・テスト(PST)に適合 | 相対値基準・絶対値基準・条例指定のいずれか。特例認定は免除 |
| 2号 | 事業活動において共益的な活動の占める割合が50%未満 | 会員や特定の人だけを対象にした活動が半分以上だと不可 |
| 3号 | 運営組織及び経理が適正 | 役員の親族制限、特定法人の役員等の制限、会計の区分経理、帳簿の備付けなど |
| 4号 | 事業活動の内容が適正 | 宗教・政治活動の禁止、役員・社員等への特別の利益の禁止、営利事業者等への寄附の禁止など |
| 5号 | 情報公開を適切に行っている | 事業報告書等・役員名簿・定款等に加え、認定申請書類・役員報酬規程などの閲覧 |
| 6号 | 事業報告書等を所轄庁に提出している | 実績判定期間の各事業年度の事業報告書等を提出済み |
| 7号 | 法令違反・不正の行為・公益に反する事実がない | 実績判定期間に該当する事実がないこと |
| 8号 | 設立の日から1年を超える期間が経過している | 実績判定期間(直前の2事業年度)を持つこと |
2号以下は、実績判定期間(原則として申請の直前に終わった事業年度以前の2事業年度)を通じて満たしている必要があります。認定は「これから頑張る」ではなく「2年間こうしてきた」を審査する制度です(制度・当事務所の見解)。
2号「共益的な活動が50%未満」——会員向けの活動が多い法人が引っかかります
共益的な活動とは、会員や特定の人だけの利益を目的とする活動で、その割合が事業活動全体の50%以上だと認定を受けられません(制度。法第45条第1項第2号(2026年9月27日確認))。同窓会的な交流事業、会員だけが参加できる研修、特定の団体の構成員だけを対象にしたサービスなどが当たります。障害福祉サービス事業のように不特定多数の利用者に開かれた事業は、通常は共益的活動ではありません(当事務所の見解)。割合は事業費や活動の実態で見るため、会員向けと一般向けを分けて事業費を集計しておくと説明しやすくなります(実務の目安)。
3号「運営組織と経理が適正」——親族制限と区分経理
3号は、役員のうち親族等の割合が3分の1以下、特定の法人の役員・使用人の割合が3分の1以下、各社員の表決権が平等、会計が公正な会計慣行と区分経理に従っていること、帳簿書類を備え付けていること、を求めます(制度。法第45条第1項第3号、施行規則(2026年9月27日確認))。
- 役員の親族制限:役員とその配偶者・3親等以内の親族が役員総数の3分の1以下。設立時のNPO法(第21条)の制限と同じ考え方で、認定の審査でも改めて見られます。
- 特定法人の役員等の制限:役員のうち、特定の法人(1つの会社など)の役員や使用人の割合が3分の1以下。母体企業の社員だけで理事会を固めた法人はここで止まります。
- 区分経理:特定非営利活動に係る事業とその他の事業を区分して経理する。収益事業を行う法人は法人税の区分とも合わせる(税務は税理士の領域)。
- 帳簿書類:取引を記録した帳簿と証憑を、法令に従い備え付け保存する。
4号「事業活動の内容が適正」——宗教・政治・特別の利益・営利事業者への寄附
4号は、宗教活動・政治上の主義の推進や特定の公職者の支持を目的とする活動をしていないことと、役員・社員・職員・寄附者やその親族等に特別の利益を与えていないことを求めます。さらに、営利を目的とする事業者や特定の者に寄附をしていないこと、特定非営利活動に係る事業費が総事業費の80%以上であること、受入寄附金の70%以上を特定非営利活動に係る事業に充てていることも条件です(制度。法第45条第1項第4号、施行令(2026年9月27日確認))。
「特別の利益」で多いのは、役員の親族が経営する会社への外注、役員への相場を超える報酬、役員が所有する物件の高額な賃借です。取引自体が禁止されるのではなく、相場と比べて有利な条件になっていないかが問われます。契約書と相場の資料を残しておいてください(実務の目安)。
5号・6号「情報公開と事業報告書の提出」——認定申請前の2事業年度分をそろえる
5号は、認定NPO法人に求められる書類(事業報告書等、役員名簿、定款等に加えて、認定を受けた場合は役員報酬規程・助成金の実績など)の閲覧を、正当な理由がある場合を除き求めに応じて行っていること、6号は実績判定期間の各事業年度の事業報告書等を所轄庁に提出していることです(制度。法第45条第1項第5号・第6号(2026年9月27日確認))。
実務では、6号で止まる法人がいちばん多い(当事務所の見解)。設立2年目の提出が3か月を過ぎていた、役員変更の届出が漏れていた、という状態では認定申請の受付自体が難しくなります。認定を目指すなら、毎年の事業報告書の提出期限(事業年度終了後3か月以内)を1度も落とさないことが最初の条件です。
7号・8号「法令違反がない」「設立から1年超」——実績判定期間との関係
7号は実績判定期間に法令・定款違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと、8号は設立の日から1年を超える期間が経過していることです(制度。法第45条第1項第7号・第8号(2026年9月27日確認))。8号は「設立から1年たてば申請できる」という意味ではなく、実績判定期間として直前の2事業年度が必要なため、実際には設立後2事業年度を終えてからの申請になります(制度。当事務所の読み取り)。設立5年以内で1回だけ使える特例認定はPST(1号)が免除されますが、2号〜8号は同じです。
| 時期 | やること(実務の目安) |
|---|---|
| 設立1年目 | 親族・特定法人の役員割合を3分の1以下に。区分経理の科目を決める。会員向けと一般向けの事業費を分けて集計。事業報告書を3か月以内に提出 |
| 設立2年目 | 寄附者の名簿(氏名・住所・金額・日付)を寄附ごとに記録(PSTの絶対値基準に備える)。役員報酬規程を整える。閲覧の求めに応じられる書類の整理 |
| 2事業年度終了後 | 所轄庁に事前相談。認定申請書・寄附者名簿・各基準への適合を示す書類を提出。審査期間は所轄庁により異なる(要確認) |
— この段階でご相談いただく理由 —
認定の8基準は、PST以外は「設立時からの運営」で決まります。役員構成・区分経理・事業報告の提出を初年度から整えていない法人は、寄附者100人を集めても3号や6号で止まります。当事務所はNPO法人設立サポート(200,000円・税込)で、認定を見据えた定款・役員構成・会計区分の設計を設立時に組み込みます。すでに設立済みの法人は、8基準の自己点検からご相談ください。
準備物:定款、役員名簿、直近2期の事業報告書等、寄附の記録。60分の無料相談 →
欠格事由——8基準を満たしても認定されない場合
8つの基準に適合していても、役員に一定の前科や暴力団関係者がいる、認定を取り消されてから5年を経過していない、国税・地方税の滞納処分を受けて3年を経過していない、などの欠格事由に当たる法人は認定を受けられません(制度。法第47条(2026年9月27日確認))。税の滞納は見落とされがちです。法人住民税の均等割の免除申請を出し忘れて未納になっていた、という事例は、認定の前に片付けてください(当事務所の見解)。
📗 PSTの相対値基準は相対値基準は「経常収入の5分の1が寄附」、絶対値基準は「3,000円×100人」は集め方より数え方で決まる、特例認定との違いは認定NPOと特例認定は何が違うのかにまとめています。
参考にした一次資料
- e-Gov法令検索「特定非営利活動促進法」第45条(認定の基準)・第47条(欠格事由)・第58条(特例認定)(2026年9月27日確認)
- 内閣府NPOホームページ「認定制度」認定の判定(絶対値基準・相対値基準のQ&A)(2026年9月27日確認)
- 山梨県「認定・特例認定」認定基準の一覧(8基準と欠格事由)2025年7月11日更新(2026年9月27日確認)
- 青森県「認定NPO法人制度」パンフレット(8基準・実績判定期間・特例認定)(2026年9月27日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|所轄庁への事前相談から始めてください
認定の申請先は設立認証と同じ所轄庁(主たる事務所の都道府県知事、または1つの指定都市のみに事務所がある法人はその市長)です。千葉県内なら千葉市内のみは千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県。多くの所轄庁が「認定・特例認定の手引」を公表し、申請前の事前相談を求めています。3号の区分経理と4号の事業費・寄附金の割合は会計の数字で判定されるため、税理士と分担して数字を整えてください。本記事の各号の要点は法第45条と内閣府・自治体の手引きに基づく整理で、個別の適合判断は所轄庁が行います(2026年9月27日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「寄附者は100人超えました。認定の申請をお願いします」というご相談で、役員名簿を見た瞬間に止まることがあります。家族が3分の1を超えている。事業報告書が1年抜けている。寄附集めの努力が、設立時の設計で無駄になるのを見るのはつらい。認定は2年前から始まっています。設立の日に、8つの基準を一度読んでください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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