— 30秒でわかる結論 —

Q. 認定NPO法人の「相対値基準」とは何ですか?どう計算しますか?

相対値基準とは、認定NPO法人のパブリック・サポート・テスト(PST)の一つで、実績判定期間における経常収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合が5分の1以上であることです(寄附金等収入金額 ÷ 経常収入金額 ≧ 5分の1)。分母の経常収入金額は、総収入金額から国・地方公共団体等からの補助金等、国等からの委託事業費、法令に基づく事業の対価のうち国・地方公共団体の負担分(障害福祉サービスの報酬の公費負担分など)、資産売却の臨時収入、遺贈等の一者あたり基準限度額、同一の者から1,000円未満の寄附、氏名・住所が不明の寄附、休眠預金等交付金関係助成金を引いた額です。分子の寄附金等収入金額は、受入寄附金総額から同一の者からの寄附のうち受入寄附金総額の10%を超える部分(他の認定NPO法人等からは50%超)、1,000円未満、匿名の寄附、休眠預金助成金を引き、会費の額が合理的な基準で定められ、社員(役員とその親族等を除く)が20人以上なら社員の会費を足せます(受入寄附金から控除額を引いた額が限度)。国等の補助金は分母・分子の両方に算入する選択もできます。実績判定期間は直前の事業年度末以前5年(初めての認定は2年)です(大阪市の案内・NPO法第45条、2026年9月26日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 寄附者の人数は少ないが寄附の割合が高いNPO法人の方
  • 障害福祉や介護の事業を行うNPO法人で、認定を検討している方
  • 特例認定の3年のうちに本認定の見込みを立てたい方

相対値基準とは、「経常収入の5分の1以上が寄附」であることです

相対値基準とは、認定NPO法人のパブリック・サポート・テスト(PST)の一つで、実績判定期間における経常収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合が5分の1以上であることを求める基準です(制度。大阪市「認定・特例認定特定非営利活動法人の申請について」(2026年9月26日確認))。式で書くと「寄附金等収入金額 ÷ 経常収入金額 ≧ 5分の1」。PSTは相対値基準・絶対値基準(3,000円以上の寄附者が年平均100人以上)・条例個別指定の3つのどれか1つを満たせばよく、寄附者の人数は少なくても寄附の割合が高い法人は相対値基準が向いています。実績判定期間は、直前に終了した事業年度の末日以前5年(初めて認定を受ける法人は2年)内に終了した各事業年度です。

分母と分子は「そのまま」ではありません——引くものと足すもの

ここが相対値基準の要点です。分母の経常収入金額は「総収入金額」から一定の収入を引いた額、分子の寄附金等収入金額は「受入寄附金総額」から一定の寄附を引き、一定の会費を足した額です(制度)。

計算内容
分母:経常収入金額総収入金額 - 次の合計(イ)
①国・地方公共団体・一定の独立行政法人など「国等」からの補助金等(反対給付なく交付されるもの)
②国等からの委託事業費
③法令に基づく事業の対価のうち国・地方公共団体の負担分(例:障害福祉サービスの報酬の公費負担分)
④資産売却による臨時収入
⑤遺贈等の寄附金のうち一者あたりの基準限度額
⑥同一の者からの寄附の合計が1,000円未満のもの
⑦氏名・住所が明らかでない寄附金
⑧休眠預金等交付金関係助成金
分子:寄附金等収入金額受入寄附金総額 - 次(ロ)+ 次(ハ)
(ロ)引く:一者あたり基準限度超過額(同一の者からの寄附のうち受入寄附金総額の10%を超える部分。他の認定NPO法人等からは50%超の部分)、同一の者から1,000円未満の合計、氏名・住所が不明の寄附、休眠預金等交付金関係助成金
(ハ)足す:社員の会費(共益的活動に係る部分を除く)。ただし「受入寄附金総額-ロ」を限度
会費を足せる条件(ハ)会費の額が合理的な基準で定められていること、かつ社員(役員とその配偶者・3親等以内の親族、特殊の関係のある者を除く)が20人以上いること
国等の補助金の選択受けている場合、分母・分子の両方に算入する選択も可能。ただし分子に入れられるのは「受入寄附金総額-ロ」が限度で、分母には全額を入れる

障害福祉や介護の事業を行うNPO法人にとって重要なのは③です。給付費のうち公費負担分は分母から引かれるため、報酬収入が大きい法人でも、相対値基準のハードルは見た目より低くなります(制度・当事務所の見解)。逆に、大口の寄附者1人に頼っている法人は、10%を超える部分が分子から引かれるため不利です。

数え方の例——障害福祉の事業を行う法人

実績判定期間2年の合計が、給付費収入4,000万円(うち公費負担分3,600万円・利用者負担400万円)、寄附金300万円(うち1人から100万円)、社員の会費40万円(社員25人)だったとします(当事務所の仮定)。

  • 分母=総収入4,340万円 - 公費負担分3,600万円 = 740万円
  • 分子=受入寄附金300万円 - 基準限度超過額(100万円 - 300万円×10%=70万円) + 会費40万円 = 270万円
  • 割合=270万円 ÷ 740万円 = 約36% ≧ 20% → 相対値基準を満たす

この例では、大口の寄附70万円分を引いても基準を満たします。もし寄附が100万円1人だけなら、分子は30万円+会費40万円=70万円、割合は約9%で満たしません。「いくら集めたか」より「誰から・どう集めたか」で結果が変わるのが相対値基準です(当事務所の見解)。

— この段階でご相談いただく理由 —

相対値基準は、会計の科目の立て方で結果が変わります。寄附と会費を分けて記帳しているか、公費負担分と利用者負担分を分けているか、寄附者の氏名・住所が記録にあるか。認定申請の直前に直すのではなく、設立時の会計の設計で決まる話です。

<ご相談時にお持ちいただくもの>直近2事業年度の活動計算書/寄附者名簿(氏名・住所・金額)/会費規程と社員名簿。60分無料相談はこちら

小規模法人の特例——総収入800万円未満なら「寄附者50人」でも

実績判定期間の総収入金額を年換算した額が800万円未満で、かつ3,000円以上の寄附者(役員・社員を除く)が50人以上いる法人は、相対値基準の計算で特例を選択できます(制度。NPO法第45条第2項・施行令第3条(2026年9月26日確認)。特例の内容と計算方法は所轄庁の手引きで確認してください)。小さな法人が認定を目指す場合の入口の一つです。

📗 絶対値基準の数え方は認定NPOの「3,000円×100人」は、集め方より数え方で決まる、条例個別指定はNPO法人の「条例指定」とは、特例認定との違いは認定NPOと特例認定は何が違うのかにまとめています。

本記事で確認できていないこと

相対値基準の計算方法には、上記の原則のほかに選択適用できる複数の計算方法があり、大阪市も「相対値基準の計算方法は、他にも色々とある」として認定の手引を参照するよう案内しています。小規模法人の特例の具体的な計算式も本記事では示していません(要確認)。個別の法人の判定は、所轄庁の「認定・特例認定の手引」と内閣府のQ&Aに当てはめて行います。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|所轄庁と手引き

認定の申請先は設立認証と同じ所轄庁で、千葉県内なら千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県です。相対値基準の計算方法は所轄庁が公表する「認定・特例認定の手引」に沿って行い、所轄庁ごとに書式が異なります。障害福祉サービスの給付費の公費負担分を分母から引く扱いは、活動計算書で公費負担分と利用者負担分を分けて記帳していないと判定に手間がかかるため、設立時の会計科目の設計で決めておくのが実務的です(2026年9月26日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

相対値基準は「寄附が多い法人のための基準」だと思われがちですが、実際には「寄附の質を見る基準」です。大口1人より小口20人、匿名より記名。設立の日から寄附者名簿に住所を書いてもらうだけで、2年後の計算がまったく違ってきます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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