— 30秒でわかる結論 —

Q. 居抜きで店を買えば、前のお店の営業許可をそのまま使えますか?

自動では使えませんが、引き継げる制度があります。営業許可は店(設備)ではなく事業者に付くため、経営者が変われば別の許可が必要——ただし現行の食品衛生法では、相続・合併・分割に加えて事業譲渡の場合も「地位承継の届出」により許可を引き継げる仕組みが整備されています。注意点は2つ:①譲渡契約と届出の段取りを事前に保健所へ相談すること、②設備が現行基準を満たしているか(古い許可時代のままだと改修が必要な場合あり)を内見段階で確認することです。

「居抜き物件だから許可もそのまま使えますよね?」——飲食の開業相談で最も多い誤解のひとつです。答えは「そのままでは使えない。でも引き継ぐ道はある」。パターン別に整理します。

大原則:許可は「店」ではなく「人」に付く

飲食店営業許可は、施設の基準適合を前提に事業者(個人または法人)に対して与えられます。だから同じ店舗でも、経営する人が変われば前の許可では営業できません。無許可営業は重い違反です。「前のオーナーの許可証が壁に貼ってあるから大丈夫」は通用しない——ここが出発点です。

引き継げるケース——地位承継の届出

現行の食品衛生法では、相続・合併・分割に加えて、事業譲渡の場合にも届出により営業者の地位を承継できる制度が整備されています(2021年施行の改正で拡充)。親から子への代替わり、M&Aでの店舗取得などで、営業を止めずにバトンを渡せる道があるということです。ただし届出のタイミングや必要書類(譲渡契約書等)の取り扱いは保健所への事前確認が安全——「契約してから聞く」のではなく「契約前に段取りを組む」が鉄則です。

法人成りも「承継」の一場面

個人で取った許可のまま法人化して営業を続ける——これも実は要注意ポイントです。個人と法人は別人格のため、法人成りの際は許可の承継手続き(または新規取得)が必要になります。「登記しただけで、保健所には何も届けていなかった」というケースは珍しくありません。法人成りの計画段階で、許可・融資・税務をまとめて棚卸ししましょう。

居抜きの本当の落とし穴——「基準の時差」

承継制度とは別に、居抜き物件で新規に許可を取る場合の注意がこれです。前の店の許可が古い基準時代のものだと、現行基準(HACCPに沿った衛生管理を前提とした施設基準)では手直しが必要なことがあります。シンクの数、手洗い設備の位置と専用性、区画——内見の段階で図面を保健所に見せて確認すれば、「買ってから改修費数百万円」の事故を防げます。居抜きの安さは、基準確認とセットで初めて本物です。

📍 千葉県ローカルメモ|承継・居抜きの相談先は「その店を管轄する保健所」

飲食店の許可・承継の窓口は店舗所在地の保健所です。松戸市・流山市・我孫子市なら千葉県松戸保健所、市川市・浦安市なら県市川保健所、千葉市・船橋市・柏市は各市の保健所が管轄。承継の届出運用や施設基準の確認は、契約前の図面相談からどうぞ。当所が同行・代行します。

※2026年7月20日時点の一般的な区分です。個別の管轄・手続きは各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

事業承継やM&Aでは、株や資産の話が先行して「許認可の承継」が最後に発覚しがちです。私は譲渡契約書のドラフト段階で「許可の一覧表」を作ることをお勧めしています。飲食は保健所、深夜営業は警察署、と窓口も別——バトンの数を先に数えるのが、事故のない承継です。

まとめ

営業許可は人に付く。ただし相続・譲渡等は地位承継の届出で引き継げ、法人成りも手続きが必要。居抜きは現行基準への適合確認を契約前に。承継の段取り設計から保健所対応まで伴走します。初回相談60分無料。松戸・柏・流山・船橋・市川をはじめ首都圏の飲食店を支援しています(オンラインで全国対応も可)。

※承継の届出要件・運用は2026年7月20日時点の一般的な整理です。個別の可否・書類は管轄保健所にご確認ください。譲渡契約書の作成もお手伝いできます(紛争性のある案件は提携弁護士と連携)。