— 30秒でわかる結論 —

Q. 居抜き物件なら、前のお店の営業許可をそのまま使えますか?

使えません。飲食店営業許可は営業者ごとに取得するもので、居抜きでも新規に申請が必要です。さらに注意すべきは「前の店が営業できていた=今の基準を満たす」とは限らないこと。基準改正や業態の違いにより、手洗い設備やシンクの追加工事が必要になるケースがあります。契約前に、図面をもとに保健所基準との適合を確認するのが最大の保険です。

初期費用を数百万円単位で抑えられる居抜き物件は、飲食開業の有力な選択肢です。ただし「安く早く開ける」の裏には、居抜き特有の落とし穴があります。開業支援の実務から、契約前に確認すべきポイントを整理します。

落とし穴①——許可は引き継げない、基準も変わっている

営業許可は営業者(人・法人)に紐づくため、居抜きでも新規申請が必要です。そして盲点なのが、前店の営業当時と今とで施設基準の運用が変わっている可能性。特に手洗い設備(非接触式蛇口等を求める自治体が増加)やシンクの槽数は、既存設備のままでは通らないことがあります。「居抜きだから検査は形式的」と思い込まず、保健所への図面事前相談を必ず挟んでください。

落とし穴②——造作譲渡契約のトラブル

居抜きの内装・設備は、前借主から「造作譲渡」として買い取るのが一般的です。ここでの定番トラブルが3つ。①リース品の混入——譲渡リストの中にリース中の機器が紛れており、後からリース会社に回収される。②原状回復義務の引き継ぎ——退去時にスケルトン戻しの義務ごと引き継いでいて、閉店時に想定外の解体費用が発生する。③保証のない設備——譲渡後に壊れても誰も直してくれない。譲渡リストの精査と契約書の条項確認は、金額が小さくても省略しないでください(契約書のチェックは当事務所で承ります。紛争性のある案件は提携弁護士と連携します)。

落とし穴③——業態が変わるなら、確認事項も変わる

前店と同じ業態とは限りません。バーにするなら深夜0時以降の酒類提供の届出と用途地域の制限、テイクアウト販売を加えるなら菓子製造業許可など、業態によって必要な手続きが変わります。「居抜き=そのまま営業できる」の思い込みが、開業直前の手戻りを生みます。

契約前チェックリスト

  • 図面を持って保健所に事前相談したか(手洗い・シンク・区画)
  • 造作譲渡リストにリース品が混ざっていないか、書面で確認したか
  • 賃貸借契約の原状回復義務の範囲(スケルトン戻しか現状か)を確認したか
  • 厨房機器の動作確認をしたか(冷機は庫内温度まで)
  • 予定業態に必要な追加手続き(深夜酒類・菓子製造等)と用途地域を確認したか

💬 目加多のひとこと

居抜きの本当のメリットは「安さ」ではなく「工期の短さ=家賃の空払い期間の短さ」だと考えています。だからこそ、契約前の1〜2週間を確認に投資する価値がある。数百万円の節約が、確認不足ひとつで追加工事費に化けるのを防ぐのが、開業支援の仕事です。創業融資と並走する場合は、譲渡代金の支払時期と融資実行日の突き合わせもお忘れなく。

まとめ

居抜きは、確認さえ尽くせば強力な選択肢です。物件候補が出てきた段階からで大丈夫です。初回相談60分無料で、図面確認から契約書のチェック、営業許可、創業融資まで一気通貫でお手伝いします。松戸・柏・流山・船橋・市川をはじめ首都圏で飲食店開業をお考えの方を支援しています(オンラインで全国対応も可)。

※施設基準の運用は自治体(保健所)により異なります。契約・譲渡に関する最終判断は書面の確認が前提です。許可の取得を保証するものではありません。