— 30秒でわかる結論 —
Q. 国の補助金と市の補助金、両方もらってもいいのでしょうか?
「同じ経費」に両方を充てるのはNG——これが大原則です。たとえば1台300万円の機械に国と市の補助金を重ねて受け取ることはできません。一方、機械は国の補助金、販促は市の補助金のように経費と事業が明確に分かれていれば、併用できる余地はあります。ただし各制度の公募要領に併給調整の定めがある場合はそちらが優先。申請前に両方の要領を突き合わせて、経費の重複がない設計にすることが必須です(個別制度の可否は公募回ごとの要領で要確認)。
「使える補助金は全部使いたい」——経営者として自然な発想ですし、私も基本的には賛成です。ただし補助金の世界には、絶対に踏んではいけない一線があります。それが同一経費への重複充当です。今日はこのルールの構造と、合法的に複数の補助金を活かす設計の考え方を整理します。
大原則——同じ経費に二重に公費は充てられない
補助金は税金を原資とする公費です。ひとつの支出に対して二重に公費を受け取れば、実質的な負担額を超えてお金を受け取ることになりかねません。だからこそ、どの補助金の公募要領にも趣旨として「同一の経費について、国等の他の補助金と重複して受給することはできない」旨の定めが置かれているのが通例です。これに反すると、交付決定の取消しや補助金の返還という重い結果につながり得ます。悪意がなくても「うっかり重複」は起こり得るので、複数申請するときほど設計段階の注意が必要ではないでしょうか。
併用できるのはどんなとき——「経費が別」「事業が別」
裏を返せば、経費と事業がきちんと分かれていれば、複数の補助金を活用する道はあります。よくある組み合わせのイメージはこんな形です。
①対象物で分ける——製造設備は設備投資系の補助金、ホームページや展示会出展は販路開拓系の補助金。②フェーズで分ける——今年度は試作開発、来年度は量産設備と、時期と目的を分けて別事業として組み立てる。③制度の階層で分ける——国の補助金の自己負担部分を軽くする趣旨で自治体が上乗せ・横出しの制度を用意している場合は、その制度自体が併用を予定しています(この場合も要領の定めに従います)。
大切なのは、書類の上だけでなく実態として経費が切り分けられていることです。見積書・発注書・請求書の単位から分けておくと、実績報告や検査の場面でも説明に困りません。
「同一事業での申請制限」にも注意
経費の重複がなくても、制度によっては同一・類似のテーマでの申請自体を制限している場合があります。たとえば同じ事業計画で複数の国の補助金に同時に応募することを認めない扱いや、過去に採択された事業と実質同一の事業での再申請を制限する扱いなどです。ここは制度ごと・公募回ごとに定めが異なるため、当該公募回の公募要領の「対象外」「他の補助金との関係」の項を必ず原文で確認してください。当事務所でも、複数制度の活用をご相談いただいた際は、各要領の併給調整の条文を突き合わせるところから始めています。
複数活用の設計は「資金繰り表」とセットで
複数の補助金を並行させると、立替期間も並行します。補助金は原則後払い——採択されても、まず自己資金や融資で支払いを済ませ、実績報告のあとに入金される流れです。2本走らせれば立替も2本分。採択スケジュールと入金時期を資金繰り表に落とし込み、つなぎ資金の要否を先に判断するのが、攻めの補助金活用を安全にやり切るコツです。補助金申請サポートでは、制度選定の段階から資金繰りへの影響もあわせて設計します。
迷ったら「事務局に聞く」が正解
併用可否のグレーな部分は、推測で進めるのが一番危険です。各補助金の事務局には問い合わせ窓口があり、「A補助金でこの経費、B補助金でこの経費という切り分けは問題ないか」と具体的に確認できます。問い合わせの記録を残しておけば、後日の説明材料にもなります。攻めるところは攻め、確認すべきところは確認する——このメリハリが、複数活用を成功させる王道だと感じています。
💬 目加多のひとこと
「もらえるものは全部」という気持ち、よく分かります。だからこそ私は、ご相談の最初に必ず「どの経費に・どの制度を・いくら充てるか」の対応表を作ります。一枚の表にすると重複は一目で見つかりますし、逆に「ここはまだ制度を充てられる」という空白も見えてくるんです。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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