— 30秒でわかる結論 —
Q. 新しく入った社員の早期離職を防ぐには、何をすればいいですか?
入社後の最初の90日に、短い面談を置くことです。入社1日目・1週間・1か月・3か月・6か月・1年の6回、各15分で十分です。1週間目は業務でなく環境の困りごと、1か月目は入社前の期待とのギャップ、3か月目はできるようになったことの言語化、6か月目は今後やってみたいこと、を聞きます。原則は3つ——評価面談と混ぜない(評価が絡むと本音が出ない)、上司以外の面談も1回入れる(上司との相性が原因の場合に検知できない)、記録を残す(前回言ったことを覚えている会社は信頼される)。そして聞いた以上は必ず一つ変えること。「言っても変わらない」を学習させると、次から本音は出てきません。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 採用してもすぐ辞められてしまい、原因が分からない中小企業の経営者・管理職の方
- 面談制度を作りたいが、大がかりな仕組みは運用できないと感じている方
- 入社後のフォローを現場任せにしていることに、うすうす気づいている方
採用にはお金をかけるのに、入社後は放置される
求人広告、人材紹介、採用サイト。採用にはコストをかけるのに、入社した後の設計は、ほとんどの中小企業で空白です。私は人事の実務を15年やってきましたが、早期離職のほとんどは「入社後の最初の90日」で決まっていたと感じています。
辞める人が最後に言うのは「合わなかった」ですが、その手前には必ず、誰にも言えなかった小さな違和感があります。聞かれなかったから言わなかった。それだけのことで、1人あたり数十万〜数百万円の離職コストが発生します(離職コストの試算モデル)。
90日で6回、15分の面談を置く
大がかりな制度は要りません。入社1日目・1週間・1か月・3か月・6か月・1年に、15分の面談を置くだけです。
| タイミング | 聞くこと | ねらい |
|---|---|---|
| 入社1日目 | 受入れの準備が整っているか(席・PC・名札・歓迎の一言) | 「歓迎されている」の初期値をつくる |
| 1週間 | 困りごとを聞く(業務ではなく環境) | 「聞いていい人」を明示する。質問先の一覧を渡す |
| 1か月 | 期待と現実のギャップを聞く | ここで出た違和感を放置すると3か月で辞める |
| 3か月 | できるようになったことを言語化して返す | 成長実感がないことが、若手の離職理由の上位 |
| 6か月 | 今後やってみたいことを聞く | キャリアの初期仮説を一緒に置く |
| 1年 | 1年の振り返りと、次の1年の役割合意 | 評価面談とは別枠で行う |
ポイントは3つあります。①評価面談と混ぜない——評価が絡むと本音が出ません。②上司以外も1回入れる——上司との相性が問題の場合、上司との面談では検知できません。③記録を残す——「1か月目に言っていたこと」を3か月目に覚えている会社は、それだけで信頼されます。
何を聞くか——「困っていることは?」では出てこない
「何か困っていることはある?」と聞いても、たいてい「大丈夫です」と返ってきます。答えやすい聞き方に変えてください。
- 「入る前に思っていたことと、実際に違ったことはある?」(ギャップを聞く)
- 「この1週間で、誰に聞けばいいか分からなかった場面はあった?」(具体の場面を聞く)
- 「いま、いちばん時間がかかっている作業は?」(業務の詰まりを聞く)
- 「3か月前の自分にアドバイスするなら何て言う?」(成長実感を言語化させる)
そして、聞いた以上は必ず一つは変えてください。「言っても変わらない」を一度学習させると、次から本音は出てきません。
面談を「やりっぱなし」にしない
面談の記録は、3つの欄があれば十分です。出た話/会社が変えること/本人がやること。次回の冒頭で前回の欄を読み返すだけで、面談は「作業」から「関係」に変わります。国家資格キャリアコンサルタントとして中小企業の面談を設計してきた経験から言うと、形式より継続です。年1回の立派な面談より、15分×6回のほうが定着に効きます。
入社初日の設計は当日チェックリストに、そもそも応募が来ない場合は25項目の原因分解にまとめています。
当事務所の関わり方
面談の設計・質問設計・記録様式の整備、管理職への面談トレーニングまで、人材確保(採用・定着)支援としてお受けしています。就業規則の整備や社会保険の手続きは社会保険労務士の領域のため、必要に応じて提携先をご紹介します。人材確保(採用・定着)コンサルティングをご覧ください。
参考にした一次資料
- 当事務所「介護・障害福祉の人材採用・定着 実務ガイド」(2026年8月版)
- 人事実務15年(法人営業3年・人事労務総務13年・人財企画2年)の現場経験にもとづく整理
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|介護・障害福祉の事業所の方へ
介護・障害福祉は、資格要件のある職種(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・サービス提供責任者など)の欠員が、そのまま人員基準欠如減算に直結します。一般企業以上に「辞める前に気づく」ことの経済的な意味が大きい分野です。90日面談は、その最初の仕組みとして機能します。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
人事を15年やってきて確信しているのは、辞める人は辞める前に必ずサインを出しているということです。ただ、受け取る場所がなかっただけ。15分を6回置くのは、そのサインを受け取る場所を作る、それだけの話です。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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