— 30秒でわかる結論 —
Q. 資金繰りが苦しいのですが、お客様に前払いをお願いするのは失礼でしょうか?
失礼ではありません。多くの業界で、着手金・中間金は普通の商慣行です。特に、材料費が先行する仕事、オーダーメイド品、期間の長い役務では「先に一部をいただく」ことに合理性があり、相手も理解しやすい。コツは3つ——①「値上げ」ではなく「支払い条件の整理」として、新規取引や契約更新の機会に切り出す ②契約書の支払条件に「着手時〇%・完了時〇%」と明記する(口約束の前受は請求しにくくトラブルの元)③中途解約時の精算・返金条件もセットで書く。お願いの仕方の文例から契約書の条項化まで、本文で解説します。資金繰りは、我慢ではなく設計で変えられます。
入金サイクルの横断比較で「入金は待つもの」という前提で書きました。今日はその前提を壊します——入金の位置は、契約で動かせるという話です(2026年7月時点の一般的整理。契約実務は個別の事情により設計します)。
3つの形——前受・着手・中間
| 形 | タイミング | なじむ取引 |
|---|---|---|
| 前受金 | 提供前 | 予約制サービス・オーダー品・回数券型 |
| 着手金 | 開始時 | 材料費・外注費が先行する仕事全般 |
| 中間金 | 工程の節目 | 期間の長い工事・制作・プロジェクト |
契約書への落とし込み——「支払時期」は立派な契約条項
前受・着手金の最大の失敗は口約束です。請求のたびに気まずく、相手の担当者が代わると消え、揉めた時に根拠がない。支払条件は契約書・注文書に条項として明記してください——「報酬の支払時期:契約締結時に〇%、中間検収時に〇%、完了時に残額」。あわせて中途解約時の精算・返金条件(実施済み部分の扱い)を書くことが、双方を守ります。契約書の作成・見直しは行政書士の本業です——資金繰りの視点で契約書を設計するのが当事務所の特色です(紛争性のある案件は提携弁護士と連携します)。
切り出し方——「値上げ」ではなく「条件の整理」
既存取引先への切り出しは、こんな形が自然です——「今後のお取引について、支払い条件を整理させてください。材料の手配を確実にするため、着手時に〇%をお願いする形に統一しています」。ポイントは①価格は変えない(条件の話に限定)②理由を相手の利益(確実な履行・納期)で語る③新規取引・契約更新・値決めのタイミングで切り出す——既存契約の途中変更は最も難易度が高いので、更新の波に乗せるのが定石です。
注意——前受金は「預かり」の性格を持つ
先にもらったお金は、履行が終わるまでは実質的に預かりものです。①返金条件を契約に明記する②前受分を含む資金繰り表で「まだ自分のものではないお金」を区別して管理する③前受で楽になった分を固定費の膨張に回さない——この規律がないと、前受は将来の穴になります。会計処理の詳細は税理士の領域のため、提携税理士と連携してご案内します。
📍 千葉県ローカルメモ|当事務所も着手金の二段階制です
当事務所自身も、スポットのご依頼は着手金+成功報酬の二段階でお願いしています(顧問契約のお客様は着手金0円の完全成功報酬)。「先にいただく」設計は、事業者の資金繰りと履行の確実性の両方を守る仕組みだと、自分の事務所経営でも実感しています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
前受のお願いを「お金に汚いと思われないか」と心配する社長は多いのですが、私の経験では逆です。支払い条件をきちんと整理して提示する会社は、仕事も丁寧だと信頼される。お金の話の明瞭さは、誠実さの表現です。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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