— 30秒でわかる結論 —

Q. 会社を隣の県に移転します。建設業許可はそのまま使えますか?

そのままは使えません。知事許可は営業所を置く都道府県の知事が出すものなので、主たる営業所(本店)を県外へ移すと、移転先の知事へ『許可換え新規』=新規申請のやり直しになります(手数料も知事許可の新規と同じ9万円。2026年7月時点)。同一県内の移転なら変更届(30日以内)で済みます。許可換えの間も従前の許可は新許可が下りるまで有効なので、空白期間を作らない申請タイミングの設計が実務の肝です。

「事務所が手狭になったので移転します」——成長している会社ほど直面するのが、移転にともなう許認可の手続きです。建設業許可はどこに営業所を置くかと結びついた許可なので、移転の距離によって手続きの重さがまったく変わります。ここを知らずに引っ越してしまい、あとから慌てるご相談が少なくありません。

同一県内の移転——変更届で足りる

千葉県内から千葉県内へ、たとえば松戸市から柏市や流山市へ本店を移す場合、許可自体は千葉県知事許可のまま変わりません。必要なのは変更届です。営業所の所在地変更は変更後30日以内の届出とされており(建設業法第11条)、法人なら先に本店移転の登記を済ませ、登記事項証明書を添えて届け出る流れになります。期限が短いので、移転が決まった時点で書類の準備を始めるのが安全ではないでしょうか。

県外への移転——『許可換え新規』という新規申請

一方、主たる営業所を県外へ——たとえば千葉県から東京都や埼玉県へ移す場合は、話が大きく変わります。知事許可は「その都道府県内にのみ営業所を置く」ことが前提の許可なので、管轄する知事が変わる移転では、移転先の知事に対して『許可換え新規』という新規申請を行うことになります。名前のとおり扱いは新規申請で、経営業務の管理責任者・営業所技術者・財産的基礎などの要件書類を改めてそろえ、手数料も知事許可の新規と同じ9万円(2026年7月時点)がかかります。

ここで心配になるのが「申請中は無許可になってしまうのか」という点ですが、制度上は従前の許可は新しい許可が下りたときに効力を失う建て付けです。つまり、移転前に段取りよく申請すれば許可の空白は避けられます。逆に、移転してから準備を始めると審査期間中の営業に不安を残すことになりかねません。移転日の数か月前から逆算するのが実務の鉄則です。

従たる営業所の増減で許可区分が変わることも

本店はそのままで、県外に支店(従たる営業所)を新設するケースも要注意です。営業所が2つ以上の都道府県にまたがると、知事許可では足りず大臣許可への許可換えが必要になります。反対に、県外の支店を畳んで1県に集約すれば大臣許可から知事許可への換えという方向もあります。「営業所」とは請負契約の見積り・締結を行う拠点を指すので、単なる作業員詰所や資材置場まで営業所として数える必要はありません——ここの整理を誤ると、不要に重い手続きを選んでしまうことがあります。

移転が波及する先——経審・入札・CCUS・社会保険

移転手続きは許可だけで終わりません。経営事項審査を受けている会社は申請内容の住所が変わりますし、入札参加資格名簿の変更届、CCUSの事業者情報、社会保険・労働保険の所在地変更、税務署・県税事務所への異動届など、関係先は十指に余ります。ひとつでも漏れると「書類が旧住所に届かず更新案内を見落とした」といった二次被害につながるため、移転時の届出先チェックリストを作って一括管理するのがおすすめです。当事務所では移転にともなう許可・入札・CCUS関係の手続きをまとめてお引き受けしています(建設業許可サポート)。

登記が先か、許可が先か

法人の場合、変更届にも許可換え新規にも登記事項証明書が必要になるため、実務の順序は①本店移転の登記(司法書士と連携)→②建設業許可の手続きが基本です。定款変更や株主総会・取締役会の決議が要るケースもあるので、移転計画の初期段階から司法書士・行政書士に声をかけていただくと、全体の工程表を一枚で描けます。登記は司法書士の独占業務のため、当事務所は提携司法書士と連携してワンストップで進めます。

📍 千葉県ローカルメモ|移転先で窓口はどう変わる?

建設業許可の窓口は、市役所ではなく県の一本窓口です。千葉県内の業者さんは移転が松戸→柏でも市川→船橋でも、変更届の提出先は千葉県(県土整備部建設・不動産業課)で変わりません。逆に、東京都や埼玉県へ主たる営業所を移すときは移転先の都県への許可換え新規となり、様式も手引きも移転先のものに切り替わります。申請書類の準備は移転先ルールで——ここが県内移転との一番の違いです。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

移転のご相談で一番多いヒヤリは「登記は済ませたのに許可の届出を忘れていた」というケースです。30日はあっという間。移転が決まった日を手続きの起算日だと思って、登記と許可と入札名簿を一枚の工程表にしてしまうのが、私のおすすめです。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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