WAM融資と銀行融資、使い道で選ぶ。WAM=建物の整備、銀行・公庫=賃貸開業と運転資金(2026年度 融資のごあんない)

— 30秒でわかる結論 —

Q. グループホームや放課後等デイサービスの開業資金は、WAM(福祉医療機構)と銀行のどちらで借りるべきですか?

どちらが有利かではなく、「何にお金を使うか」で選びます。WAMは施設の建築・取得・改修など長期で返す設置・整備資金に、銀行は賃貸物件での開業資金・運転資金・つなぎ資金に向いています。WAMは貸付額2,000万円以上の耐火構造の建築資金で償還期間20年以内、融資率は80%の区分で、担保は原則として事業用の土地・建物です。貸付内定前に工事請負契約・売買契約・着工をすると、原則として融資の対象外になります(WAM「2026年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」(2026年10月22日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 土地を取得してグループホームを新築したいが、WAMと銀行のどちらを軸に資金計画を立てるか決めかねている方
  • 賃貸物件で放課後等デイサービス・児童発達支援を始める予定で、「福祉ならWAM」と聞いたが自分のケースで使えるか知りたい方
  • 工事代金の支払いにWAMの入金が間に合うか、つなぎ資金が要るかを先に確かめたい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の30分の無料相談で、物件(賃貸・取得・新築)と開業時期、使い道ごとの金額を伺い、WAM・公庫・銀行のどれを軸にするかを整理します
  2. ご依頼後は、指定申請の事前協議・物件契約・融資の申込みと内定・着工・開所の順番を1枚のスケジュール表にし、事業計画書・資金繰り表の数字をそろえます
  3. その後は、開業直後の資金繰りと、増築・改修のときの借り方を、同じ表で見直します

グループホームの新築か、賃貸での開業か。WAMと銀行は「何にお金を使うか」で選びます

グループホームの新築、放課後等デイサービスや児童発達支援の新規開設など、障害福祉事業の資金調達では、主に2つが検討されます。WAM(独立行政法人福祉医療機構)の融資と、銀行(信用金庫・信用組合を含む民間金融機関)の融資です。

「WAMは長期・低利だから有利」と言われることもあります。けれど実際には、資金の使い道によって向き不向きがはっきり分かれます。WAMは施設の建築・取得・改修など長期で返す設置・整備資金に、銀行は賃貸物件での開業資金・運転資金・急ぎのつなぎ資金に向いています(当事務所の見解)。

どちらから借りる場合も、融資の前に指定申請の段取りが決まっている必要があります。指定申請の流れと料金は、グループホーム(共同生活援助)の指定申請・放課後等デイサービスの指定申請・児童発達支援の指定申請のページでご案内しています。

向いている資金
WAM施設の建築・取得・改修など、長期で返済する設置・整備資金
銀行賃貸物件での開業資金、家賃・人件費などの運転資金、急ぎのつなぎ資金

本記事の制度内容は、WAMの「2026年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」と、令和8年10月1日改定の主要貸付利率表などに基づきます(2026年10月22日確認)。制度は毎年度見直されるため、お申込みの際は最新の資料と窓口で確かめてください。

WAM(福祉医療機構)の融資とは——対象の事業と、借りられる法人

WAM(独立行政法人福祉医療機構)とは、民間の社会福祉施設等や医療施設の整備を「長期・固定・低利」の資金で支える国の政策融資の機関です(制度。WAM「福祉貸付Q&A」(2026年10月22日確認))。障害者福祉の分野では、共同生活援助(グループホーム)、生活介護、就労継続支援などの障害福祉サービス事業が対象です。児童福祉の分野では、障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)が対象に含まれています(制度。融資のごあんない「融資の対象」)。

融資を受けられる方について、WAMの「融資制度のあらまし」は「社会福祉法人、日本赤十字社のほか、一般社団(財団)法人、医療法人など」と説明しています。対象となる法人の種類は事業ごとに定められています。株式会社・合同会社・NPO法人など、ご自身の法人格で利用できるかは、事前相談の段階で必ずWAMに確認してください(制度。融資制度のあらまし(2026年10月22日確認))。

WAM融資の主な特徴——返済期間・金利・融資率・担保・保証人

1. 返済期間が長い

設置・整備資金の償還期間は、金額や建物の構造で決まります。たとえば貸付額2,000万円以上の場合、耐火構造の建築資金と土地取得資金は20年以内、非耐火構造の建築資金と設備備品整備資金は15年以内です(制度。融資のごあんない「償還期間」)。

指定の都府県・指定都市・中核市にある障害福祉サービス事業所などの整備には、「都市部における社会福祉施設等の整備に係る優遇融資」があります。耐火構造であれば償還期間は30年以内とされています(制度。同「融資条件の優遇措置」)。

2. 固定金利を選べる

償還期間が10年を超える場合は、「完全固定金利制度」と「10年経過ごと金利見直し制度」のどちらかを選びます。契約締結後に変更することはできません。適用されるのは契約締結時の利率で、償還期間に応じて設定されています(制度。同「利率」)。

3. 融資率は80%の区分が基本

障害福祉サービス事業・障害児通所支援事業の融資率は80%の区分です。障害福祉サービス事業のうち、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金の交付対象となる整備は、優遇融資として85%に引き上げられています。取扱期間は2027年3月31日までです(制度。同「融資率」「障害福祉サービス事業の基盤整備事業に係る優遇融資」)。

融資限度額は「(所要額-法的・制度的補助金)×融資率」と「担保評価額×80%」のいずれか低い額です。償還財源の見込みによっては、この額まで借りられない場合もあります。残りは自己資金等で準備します(制度。同「融資限度額の計算方法」)。

4. 担保は原則として事業用の土地・建物

原則として、融資対象となる敷地とその上の建物(地上権を含む)を、原則第1順位で担保に提供します。無担保で借りられる枠は、通常300万円までです(制度。同「担保」「融資条件の優遇措置」)。

ただし、建物の賃借を伴う施設整備には「建物の賃借を伴う施設整備に係る優遇融資」があり、無担保貸付の限度額が3,000万円に引き上げられています。建物賃借に伴う敷金・保証金・礼金も含みますが、建築資金または設備備品整備資金との併用が条件です。貸付金額に応じて通常の貸付利率に上乗せがあります(制度。同 P9)。介護ロボット・ICTの導入に係る優遇融資も、無担保貸付の限度額は3,000万円です。

そのため、賃貸物件で事業所を開設する場合は、この優遇融資の条件に当てはまるかを先に確かめます。当てはまらなければ、設置・整備資金の活用は難しいケースが多くなります(当事務所の見解)。

5. 保証人なしも選べる

「保証人不要制度」を利用すると、貸付利率に一定の利率が上乗せされる代わりに、連帯保証人が不要になります。令和8年10月1日改定の利率表では、上乗せは+0.050%です。利用しない場合は、法人代表者等の個人連帯保証人を1名以上立てます。契約後に変更することはできません(制度。主要貸付利率表・福祉貸付Q&A(2026年10月22日確認))。

6. 手続きの順番が厳格

  • 借入申込書には、施設を管轄する都道府県・市等の意見書などを添付します
  • 貸付内定前に、工事請負契約・土地建物の売買契約の締結や工事着工を行うと、原則として融資の対象外になります
  • 審査は、借入申込書が届いて内容確認を終えてから1か月程度です(償還・担保などに問題がある場合はさらにかかります)。その後、貸付契約の締結・抵当権設定に3か月程度かかります
  • 資金の交付は原則として抵当権設定後です。工事代金の支払時期とずれることがあるため、つなぎ資金の手当ても検討が必要です

(制度。融資のごあんない「融資の流れ」(2026年10月22日確認))。物件契約と融資の順番で起きやすい失敗は、物件を契約したのに融資が間に合わない理由と正しい順番にまとめています。

7. 経営資金(運転資金)は短期

WAMにも経営資金の制度はありますが、償還期間は原則1年以上3年以内です。2026年度は、感染症等対応資金や災害復旧資金の優遇融資も設けられています(制度。融資のごあんない)。

銀行融資の特徴——賃貸での開業・運転資金・つなぎ資金に強い

銀行融資の条件は金融機関や案件ごとに異なりますが、一般的には次のような傾向があります(一般的な傾向。原典による裏付けはありません)。

  • 賃貸物件での開業に対応しやすい:内装工事、設備・備品、敷金・保証金などの資金にも対応しやすい傾向があります
  • 運転資金に強い:障害福祉サービスの報酬は、サービスを提供した月の翌月10日までに請求し、翌々月に支払われます(千葉市の案内では翌々月の15日)。その間の家賃・人件費を支える運転資金は、銀行融資の得意分野です
  • 比較的スピーディー:都道府県等の意見書などの手続きがないため、急ぎの資金需要に対応しやすくなります
  • 返済期間は比較的短め:設備資金でも10年前後、運転資金はさらに短いことが一般的です
  • 創業期は信用保証協会の保証付き融資が中心:実績のない時期は、自治体の制度融資などを活用し、保証協会の保証を付けて借りる方法が一般的です
  • 日頃の取引関係が評価につながる:預金・入出金の取引や決算報告などの継続的な関係が、次回以降の融資判断に影響します

創業期には、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(融資限度額7,200万円。令和8年8月1日時点の「融資のご案内」)も選択肢になります。公庫と自治体の制度融資の組み立て方は介護・障害福祉の創業融資の完全ガイド、開業資金の目安は放課後等デイサービス・児童発達支援の開業資金の記事とグループホームの開業資金の記事にあります。

WAM融資と銀行融資の比較表

比較項目WAM(福祉医療機構)銀行
主な資金使途施設の建築・取得・改修賃貸物件での開業、運転資金、つなぎ資金
返済期間長期(2,000万円以上の耐火建築・土地取得は20年以内、都市部の優遇で30年以内)比較的短期
金利償還期間に応じた利率。10年超は完全固定か10年見直しを選択金融機関・案件ごと。変動金利が多い
融資率80%(国庫補助対象の障害福祉サービス事業の整備は85%、2027年3月31日まで)案件による
担保原則、事業用の土地・建物(無担保は通常300万円まで。建物の賃借を伴う施設整備の優遇融資は3,000万円)案件による(創業期は保証協会付きが中心)
保証人個人連帯保証か保証人不要制度(利率+0.050%)を選択案件による
手続き期間長め(審査1か月程度+契約・抵当権設定3か月程度)比較的短い
主な必要書類都道府県等の意見書、図面、収支償還計画表など事業計画書、資金繰り表、決算書など

※WAMの欄は2026年度の公式資料で確認した内容、銀行の欄は一般的な傾向です。

ケース別の使い分け——賃貸・新築・改修・運転資金

ケース1:賃貸物件で放課後等デイサービス・児童発達支援を開業する

銀行(信用保証協会付きの制度融資)や日本政策金融公庫が中心になります。WAMの設置・整備資金は、担保の関係で活用が難しいケースが多くなります。ただし、建物の改造・修理などの建築資金や設備備品整備資金とあわせて借りる場合は、「建物の賃借を伴う施設整備に係る優遇融資」(無担保貸付の限度額3,000万円)の対象になるかをWAMに確かめてください(当事務所の見解)。

ケース2:土地を取得してグループホームを新築する

長期・固定金利を選べるWAMが有力な選択肢です。毎月の返済額を報酬収入に合わせて設計しやすくなります。ただし、内定前の契約・着工は原則対象外です。資金交付までのつなぎ資金も必要になるため、銀行との並行準備が重要です(当事務所の見解)。

ケース3:既存の建物を改修・増築する

WAMの融資対象となる可能性があります。耐震化・スプリンクラー・水害対策など、防災・減災に係る整備には優遇融資が設けられています(対象事業は資料でご確認ください)。早めにWAMへ相談することをおすすめします。

ケース4:報酬改定や人件費の上昇で運転資金が不足している

まずは銀行や日本政策金融公庫への運転資金の相談が基本です。WAMの経営資金は償還期間が原則1年以上3年以内と短いため、返済計画とあわせて検討しましょう。

WAMと銀行は「組み合わせて使う」もの——協調融資

WAMには、民間金融機関と覚書を結んで一緒に融資する「協調融資」の仕組みがあります。2026年度の資料では、全国430の民間金融機関と覚書を締結しています。融資対象面積が5,000㎡を超える案件は、原則として協調融資の利用が前提です(制度。融資のごあんない「協調融資制度」)。なお、ここでの協調融資は「WAMと民間金融機関」の組み合わせで、公庫と自治体の制度融資を併用する組み方とは別のものです。

  • 施設の建築・取得はWAMで長期・固定に
  • 運転資金やつなぎ資金は銀行で機動的に

このように、WAMと銀行は競合ではなく、役割分担して組み合わせることで、資金繰りを安定させやすくなります(当事務所の見解)。

財務の目で見ると

WAMの長期・固定で施設の返済を軽くしても、開業直後は報酬が入るまでの2か月ほど、家賃と人件費が先に出ていきます。施設の資金と運転資金を別の表に分け、「どの月に、どこから、いくら入るか」を1枚の資金繰り表で並べると、つなぎ資金の要否と金額が先に見えます。報酬の入金時期は指定から最初の入金までの記事で確かめられます。

地域による違い(意見書と都市部の優遇融資)

WAMの借入申込書に添付する意見書は、施設を管轄する都道府県・市等が出します。指定権者が都道府県か市かで窓口が変わるため、お住まいの指定権者の案内で確かめます。(2026年10月22日確認)

「都市部における社会福祉施設等の整備に係る優遇融資」の対象地域は、茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県などの都府県と、全国の指定都市・中核市です(融資のごあんない)。報酬の支払日は、千葉市の案内では翌々月の15日です。

土地や物件を契約する前に、資金計画を立てる

  • WAMは、施設の建築・取得・改修に向いた長期・固定の資金
  • 銀行や日本政策金融公庫は、賃貸での開業、運転資金、つなぎ資金に向いた機動的な資金
  • 大きな整備では、WAMと銀行を組み合わせて資金計画を立てるのが効果的

何より大切なのは、土地や物件を契約する前に資金計画を立てることです。契約後に借入先を探すと、選択肢が大きく狭まります。特にWAMは、手続きの順番を誤ると融資の対象外となる場合があります。

障害福祉事業の開業・施設整備の資金調達でお悩みの方は、物件探しの前の段階からご相談ください。お問い合わせはこちらから受け付けています。

たとえば、こんな場面で迷っていませんか

放課後等デイサービスを賃貸物件で始めたい。「福祉ならWAM」と聞いたけれど、自分のケースで使えるのか分からない。

グループホーム用の土地が見つかり、売主から「早く契約を」と言われている。でも、融資の申込みはまだ何もしていない。

WAMで建物を建てる予定だが、工事代金の支払いに融資の入金が間に合うのか不安。

どれも、「どこから借りるか」より先に「何にお金を使うか」と「手続きの順番」を整理すると、答えが見えてきます。

当事務所にご相談いただいた場合の進め方

  1. 1. ご相談の前に手元に用意していただくもの
    物件の情報(賃貸か取得か新築か)、開業の予定時期、使い道ごとのおおよその金額(建物・内装・設備・運転資金)、自己資金の額をメモでお持ちください。
  2. 2. 初回30分の無料相談で一緒に確認すること
    WAM・日本政策金融公庫・銀行のどれを軸にするか、WAMの対象事業と法人格の確認が必要か、つなぎ資金が要るかを一緒に整理します。
  3. 3. ご依頼後の進め方当事務所がやること:指定申請の事前協議、物件契約、融資の申込み・内定、着工・開所の順番を1枚のスケジュール表にします。WAMを使う場合は「内定前に契約・着工しない」ことを前提に組み立て、事業計画書・資金繰り表など指定申請と融資で共通する数字をそろえて作成をサポートします。お客様にお願いすること:WAMや金融機関との面談への出席と、法人の決算書・見積書など手元の資料のご用意をお願いします。
  4. 4. その後
    開業後は資金繰り表で入金と返済のずれを見ます。※融資の審査・可否は各金融機関が判断します。当事務所が融資の実行を約束するものではありません。税務は税理士、登記は司法書士と連携します。

料金は料金表と料金シミュレーションでご確認いただけます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|WAMの資料の探し方

WAMの融資条件は、毎年度の「福祉貸付事業 融資のごあんない」(PDF)と、改定のたびに出る「主要貸付利率表」で確かめます。融資を受けられる法人の種類は、パンフレットの「融資の対象」の表で事業ごとに分かれています。直接貸付の相談は電話予約制で、東日本は東京本部、西日本は大阪支店が窓口です(2026年10月22日確認)。

※2026年10月22日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

WAMか銀行かを決めるより先に、「いつ、何を契約するか」を決めておくことが大切だと思います。土地の売買契約や工事の請負契約は、一度結ぶと戻せません。まずは契約の予定日を1枚の表に書き出すところから始めてみてください。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。

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