— 30秒でわかる結論 —
Q. 会社が用意したキャリア面談で本音を話したら、上司に伝わりませんか?
国家資格キャリアコンサルタントが行う面談であれば、あなたの同意なく個別の発言内容が会社へ伝わることはないのが原則です。キャリアコンサルタントには法律(職業能力開発促進法)上の守秘義務があり、違反には罰則もあります。会社に渡るのは、本人が「これは伝えてほしい」と同意した内容と、誰の発言か特定できない全体傾向のレポートが基本形。逆に言えば、面談の冒頭でこのルールを説明しないコンサルタント・制度設計には注意が必要です。
企業にキャリア面談を導入するご支援をしていて、社員側から最も多く受ける質問——それが「話したことは会社に伝わるんですか?」です。この不安に正面から答えられない面談制度は、当たり障りのない話しか出てこない形骸化した制度になります。今日は、制度の信頼の土台である守秘義務の話を、経営者と社員の両方に向けて書きます。
法律上の義務——「信頼してもらうための足かせ」
国家資格キャリアコンサルタントは、職業能力開発促進法にもとづく登録制の専門職で、同法には守秘義務の規定が置かれ、違反には罰則が定められています。つまり「面談で聞いた話を勝手に会社へ報告しない」のは、コンサルタントの善意やマナーではなく法律上の義務だということです。加えて信用失墜行為の禁止も定められており、資格者にとって守秘は職業生命そのもの。私はこの義務を「足かせ」ではなく、相談者に安心して本音を話してもらうための資格の核心だと捉えています。
会社に伝わるもの・伝わらないもの——2つのチャネル
では、企業がお金を出して面談を導入する以上、会社は何を受け取れるのか。原則は2つです。①本人が同意した内容——たとえば「資格取得の支援制度がほしいという要望は、ぜひ会社に伝えてください」と本人が望んだ事項。同意の範囲・伝え方を本人と確認してから共有します。②個人が特定されない全体傾向のレポート——「20代層でキャリアパスの見えにくさへの声が複数」「評価のフィードバック面談への満足度が部門によって差」といった、組織課題としての集約です。裏を返せば、「誰が何を言ったか」の一覧が会社に渡ることはない——これが正しい設計です。
例外はあるのか——安全に関わる場面
守秘義務にも、生命・安全に関わるような緊急性の高い場面では、本人を守るために必要最小限の連携を行うことがあり得ます(その場合もできる限り本人の了解を得て進めるのが原則です)。ここを曖昧にせず、「原則はすべて秘密。例外はあなたの安全を守るときだけ」と面談の冒頭に言葉で伝える——この一言があるかないかで、相談者の話す深さは大きく変わります。
経営者の皆さんへ——「個別を知りたい」誘惑に勝つ
導入企業の経営者から、率直なご要望をいただくことがあります。「誰が辞めそうか教えてほしい」。お気持ちは分かりますが、私はお断りしています。理由はシンプルで、一度でも個別情報が漏れた瞬間、面談制度は死ぬからです。社員は二度と本音を話さず、投資した面談費用は世間話の時間に変わります。逆に、守秘が徹底された面談は、退職届になる前の不満・不安を全体傾向として経営に届けてくれる早期警報システムになります。言える環境を社外に持つことの価値——それは個別監視ではなく、傾向把握と本人の変化そのものです。
信頼される面談制度のチェックリスト
最後に、導入時に確認したい設計ポイントを。①面談者は守秘義務のある国家資格キャリアコンサルタントか、②守秘のルールが社内告知文と面談冒頭の両方で説明されるか、③会社へのレポートは「同意事項+匿名の傾向」に限定されているか、④面談記録の保管・アクセス権限が決まっているか、⑤上司経由でなく本人が直接申し込める導線があるか。セルフ・キャリアドックの導入設計では、この信頼設計こそが成果の9割を決めると感じています。当事務所は国家資格キャリアコンサルタントとして、面談の実施から制度設計までお引き受けしています。
💬 目加多のひとこと
個人向けのキャリア相談を約70件お受けしてきて、一番うれしいのは「ここでしか話せないことを話せた」という言葉です。守秘義務は私の商売道具ではなく、相談者の勇気を預かる器。企業向けの面談でも、その器の固さだけは絶対に妥協しません。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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