— 30秒でわかる結論 —

Q. 障害福祉の物件は、指定を受ける前に契約してもいいですか?

確認が終わる前の契約は避けるのが原則です。千葉県は令和8年1月1日指定分から、開設予定の市町村への事前相談を賃貸借契約の締結前・新築改修の着工前に始めることとし、事業相談シートの提出期限を指定日の4か月前の月末としています。さらに市町村長の意見を勘案して指定に条件(定員など)を付すことがあるとされています。千葉市も、建築基準法・都市計画法・消防関係法令等の制限を受ける場合があるため、売買・賃貸借契約の前に事前相談するよう案内しています。どうしても先に物件を押さえる場合は、契約に使用目的の明記、指定が取れない場合の違約金なしの解約、賃料の発生日を入れる交渉をおすすめします(2026年9月22日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 障害福祉の開業に向けて物件を探している方
  • 良い物件を先に押さえたいが、指定が取れるか不安な方
  • 千葉県所管エリア(松戸・市川・流山など)で開業を考えている方

物件は「契約前」に確かめる。役所もそう書いています

障害福祉の開業で、いちばん取り返しがつかないのは物件の契約です。契約してから「この建物では指定が取れない」「定員が思ったより少なくなる」と分かっても、家賃の支払いは始まっています。

千葉県内の窓口は、どちらも契約の前に動くよう明記しています(制度。2026年9月22日確認)。

窓口公表されている内容
千葉県(R8.1.1指定分から)開設予定の市町村への事前相談は賃貸借契約の締結前・新築改修の着工前に開始。事業相談シートは指定日の4か月前の月末までに県へ提出
千葉県(意見申出制度)市町村長の意見を勘案し、指定に条件(定員など)を付すことがある
千葉市(障害児通所)建築基準法・都市計画法・消防関係法令等の制限を受ける場合があるため、売買・賃貸借契約の前に事前相談
千葉県(図面事前確認)契約前に任意で図面を確認できる。回答まで3週間程度

とくに千葉県の新しい制度では、市町村の障害福祉計画とのかね合いで定員に条件が付くことがあります。「定員10人で収支を組んで契約したのに、指定は条件付きになった」という事態が、制度上ありうるということです。

それでも物件を押さえたいときの、契約の組み方

良い物件ほど早く決まります。すべての確認が終わるまで待てない、という事情もよく分かります。その場合は、契約そのものに「指定が取れなかったときの出口」を入れておくのが現実的です。大家さん・管理会社と交渉するときの論点は、次の3つです。

論点契約に入れたい内容(例)ねらい
① 使用目的「障害福祉サービス事業所(放課後等デイサービス等)として使用する」と明記用途を大家さんが承知している証拠。あとで「聞いていない」を防ぐ
② 解約の条件「指定を受けられなかった場合、または指定に付された条件により事業の継続が困難な場合は、違約金なく解約できる」家賃だけが出ていく状態を避ける
③ 賃料の発生日フリーレント期間、または「指定日(または指定予定日)から賃料発生」指定前の空家賃を減らす

もちろん、大家さんが応じるかどうかは交渉次第です。ただ、最初から「障害福祉の指定を前提にした契約です」と伝えることで、話が通りやすくなる場面は少なくありません。申込みの段階で使用目的を明記しておくことが、あとの交渉の土台になります。

— この段階でご相談いただく理由 —

物件の相談は、申込みの前にいただくのがいちばん効果的です。用途地域・建築基準法・消防・指定基準の確認と、市町村への事前相談の段取り、契約書の条項案までを、指定日から逆算した1枚の工程表にまとめます。

<ご相談時にお持ちいただくもの>物件の図面(間取り図)/住所/希望する指定日と定員/大家さん・管理会社からの条件。60分無料相談はこちら

契約前に通す確認の順番

  • 用途地域と建築基準法——その場所・その建物で障害福祉の用途が使えるか。床面積200㎡超の用途変更は確認申請が必要になることがある。検査済証の有無。
  • 消防法——所轄の消防署で、必要な消防用設備と工事の有無を確認。
  • 指定基準——訓練室などの面積は内法で測る。千葉県は契約前の図面事前確認(回答3週間程度)が使える。
  • 市町村への事前相談——千葉県所管エリアでは、契約前に開設予定の市町村へ。地域のニーズと定員の見込みを確認する。
  • 契約——上の4つを踏まえ、使用目的・解約条件・賃料の発生日を交渉する。

📗 物件の基準は障害福祉の物件、指定申請で出す建物の書類は4つに、千葉県の新しい指定スケジュールは市町村意見申出制度で「指定日の4か月前」から動くにまとめています。

契約書を作る・読むときの分担

賃貸借契約書の条項案の作成や、契約内容の確認は、行政書士が権利義務に関する書類としてお手伝いできる範囲です。一方で、大家さんとの間で紛争になっている場合の交渉や代理は弁護士の業務になります。また、宅地建物取引業者(仲介会社)が関わる場合は、重要事項説明の内容と契約書の条項がそろっているかも確認してください。

物件で失敗しないための原則は、結局のところひとつです。「確認してから契約する」。どうしても先に押さえるなら「出口を書いてから契約する」。この順番を守るだけで、開業のリスクは大きく下がります。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|松戸・市川・流山など県所管エリアでの動き方

松戸市・市川市・流山市・鎌ヶ谷市・野田市などは千葉県が指定権者で、令和8年1月1日指定分から市町村意見申出制度の流れになっています。物件の候補が見つかったら、契約の前に、開設予定の市の障害福祉の担当課へ事前相談し、県へは指定日の4か月前の月末までに事業相談シートを出します。たとえば11月1日に指定を受けたいなら、事業相談シートは7月31日までです。逆算すると、物件探しは指定日の半年以上前から始める必要があります。千葉市・船橋市・柏市は各市が指定権者なので、それぞれの市の案内を確認してください(2026年9月22日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

物件のご相談で一番つらいのは、契約した後に「この建物では難しいですね」とお伝えしなければならない場面です。だから私は、申込書を書く前に一度だけ相談してください、とお願いしています。確認の順番を守るだけで、避けられる失敗がほとんどだからです。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

プロフィールを見る →