— 30秒でわかる結論 —

Q. 令和9年度(2027年)の報酬改定で、児童発達支援・放課後等デイサービスは何が変わりそうですか?

まだ「決まった改定」ではありません。2026年10月5日の障害福祉報酬改定検討チーム(第65回)で、改定に向けた論点が示された段階です。児発・放デイで大きいのは3つ——①児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を整理・統合した新しい加算の創設案、②障害児支援の研修体系の創設(令和9年度から「基礎・実践研修」を導入する予定)、③個別支援計画をチームで作るプロセスの明確化。今の時点で事業所がやるべきことは、新制度への先行対応ではなく、棚卸しです。具体的には、算定中の加算を「誰の・どの資格と経験で取っているか」を1枚に書くこと、職員全員の資格・経験年数・研修歴の一覧を更新すること、直近の個別支援計画に児童発達支援管理責任者(児発管)以外に誰が関わったかを確認すること、の3つです。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 児童指導員等加配加算・専門的支援体制加算を算定していて、「統合されるとどうなるのか」が気になる管理者・経営者の方
  • 全常勤職員に研修の受講が求められる案や、休暇で職員が抜けた日の人員基準の扱いが気になる方
  • 2027年4月の開業・指定を目指して準備中の方(改定の施行日はまだ公表されていませんが、開業準備と改定対応が重なりやすい時期です)

まず前提——これは「決まった改定」ではなく「検討中の論点」です

令和9年度の障害福祉報酬改定に向けて、厚生労働省とこども家庭庁は「障害福祉報酬改定検討チーム」で議論を進めています。2026年10月5日の第65回では、障害児支援がテーマになり、資料「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」が示されました。障害児支援全般で3つ、児童発達支援・放課後等デイサービスで12の論点が並んでいます。

大事なのは段階の見極めです。10月5日に出たのは、あくまで「論点」と「検討の方向性」です。加算の単位数も、要件の最終形も、まだ何も決まっていません。前回(令和6年度)改定の経過を見ると、サービス別の論点が出たあと、12月6日に「基本的な方向性」、翌年2月6日に「改定の概要」が公表され、告示・通知で確定し、多くの項目は4月に施行(処遇改善加算の一本化は6月施行でした)、という流れでした(日付は検討チームの開催一覧による前回の実績です)。今回も同じ目安で見ると、方向性が見えるのは2026年12月頃、具体的な中身が固まるのは2027年2月頃と考えられます(これは前回の経過からの目安で、確定した日程ではありません)。

ですから、この段階の情報の使い方は「単位数はいくらになるか」ではありません。「これからの事業所は、どんな体制が評価されるのか」を先に読むための材料です。

論点マップ——障害児支援全般3つ+児発・放デイ12

まず全体像です。障害児支援全般の論点は、次の3つです。

  • 論点1:障害児支援における研修体系の創設及び制度化
  • 論点2:個別支援計画作成におけるチーム協働の推進と役割の明確化
  • 論点3:強度行動障害の状態にあるこどもへの段階的な支援の推進

児童発達支援・放課後等デイサービスの12の論点は、テーマごとに並べるとこうなります。

  • チーム支援:事業所全体の「支援体制の評価」(論点1)
  • 医療的ケア児・重症心身障害児:受入れ促進への評価の充実(論点2)、安全な受入れ体制の整備(論点3)、高次脳機能障害を有するこどもへの支援の充実(論点4)
  • 児童発達支援センター:中核機能強化加算の在り方の見直し(論点5)、外部搬入による食事提供(論点6)
  • インクルージョン:学齢期のインクルージョン推進(論点7)、地域支援機能の強化(論点8)、活動参加・居場所の充実に向けた連携強化(論点9)
  • 家族支援のさらなる充実(論点10)
  • 高校卒業後の円滑な接続・移行支援の充実(論点11)
  • 職員の休暇に伴う人員配置の取扱い(論点12)

この中から、多くの事業所に直接関わるものを順に掘り下げます。

最大の論点(児発・放デイ論点1)——加配加算と専門的支援体制加算は「1つにまとめる」案が出ています

児発・放デイの事業所にとって一番大きな話が、論点1です。現行では、基準人員に加えて人を配置したことを評価する児童指導員等加配加算と、専門職の配置と計画的な専門的支援を評価する専門的支援体制加算が、別々にあります。

検討チームの資料によると、令和8年3月の国保連実績で、児童指導員等加配加算の算定率は児童発達支援で84.7%、放課後等デイサービスで91.6%。専門的支援体制加算は児童発達支援52.5%、放課後等デイサービス46.7%です。同じ資料では、財務省の令和8年度予算執行調査で、加配加算について、約9割の事業所が算定している実態を踏まえると支援強化のためのインセンティブとしての役割を果たしているとは言えない、として、要件の見直し等を検討すべきとの指摘があったことも紹介されています。

これを受けて資料が示した検討の方向性は、「現行の評価体系を抜本的に見直し、両加算を整理・統合した新たな加算を創設する」というものです。新加算では、専門職の配置や経験年数といった個別の要素だけではなく、支援ニーズの高いこどもの受入れ状況や、それに応じた支援体制など、複数の評価項目を総合的に勘案して、事業所全体の支援体制を評価することが検討されています。

平たく言うと、個々の職員の資格や配置だけを見る評価から、「専門人材の活用」と「経験ある人材の評価」という方向は維持しながら、事業所全体として、どんな子を受け入れ、どんな体制で支えているかを総合的に見る評価への組み替え案です。なお、新しい加算で「支援ニーズが高い」とどの範囲の子を見るかは、まだ示されていません。論点資料では、医療的ケア児・重症心身障害児の受入れや強度行動障害への支援が別の論点として並んでいて、医療的ケア児や強度行動障害のある子など、支援の濃い子が念頭にあると読めますが、対象の線引きは今後の整理を待ちます。新しい加算の単位数・要件・経過措置は未定で、現時点で「収入が増える・減る」を断定できる材料はありません。慌てて体制を変える段階ではない一方で、「うちの加算は、誰の・どの資格と経験で成り立っているか」を説明できる状態にしておくことが、どの形に決まっても効いてきます。

研修体系の創設(全般・論点1)——令和9年度から「基礎・実践研修」が始まる予定です

全般の論点1は、新しい研修の仕組みです。背景には、令和5年12月の「こども未来戦略」(閣議決定)で研修体系の構築が示され、「障害児支援における人材育成に関する検討会」が令和7年8月に報告書を取りまとめた経過があります。研修は3階層で、順番に導入する予定とされています。

  • 基礎・実践研修(令和9年度から導入予定):障害児支援に従事する支援者が対象。実施主体は事業者で、動画による講義と、受講前後の振り返り・対話を組み合わせる形が想定されています。報告書では、概ね3年程度の期間の中で受講することが想定されています。
  • リーダー研修(令和10年度から導入予定):事業所で中心的な役割を担う者が対象。都道府県・指定都市が実施し、任意受講とする方向で検討されています。
  • コア人材研修(令和11年度から導入予定):地域でスーパーバイズや地域づくりを担う者が対象。こちらも任意受講の方向です。

この研修をどう制度に入れるかは、検討の方向性として4点が示されています。

  • 運営基準上の位置付け:事業者に、研修を実施するための措置を講じることを求める方向で検討されています。
  • 常勤職員:導入時には受講対象事業に配置されている全ての常勤職員に受講を求め、その後も新しく従事する常勤職員に受講を求める方向です。
  • 非常勤職員:必須受講科目を設定するなど、常勤とは異なる枠組みが検討されています。
  • 人員基準の柔軟な取扱い:外部研修の受講で一時的に人員配置に影響が出る場合に、必要な直接支援体制が確保されることを前提として検討されています。

「全員分の研修を、いつ・どの順番で受けさせるか」は、そのまま人員配置とシフトの設計問題です。実施時間の目安は、検討会報告書で基礎・実践研修(Ⅰ)が約7時間、(Ⅱ)が約22時間、合計で約29時間と示されています。受講の進み方は、(Ⅰ)が入職後から半年程度、(Ⅱ)がその後3年目程度までで、概ね3年程度の期間が想定されています。常勤職員の人数に約29時間を掛ければ、数年がかりの総時間のおおよその見積もりが出ます(非常勤職員向けの必須科目の時間は、まだ示されていません)。対象人数の把握とあわせて、今のうちに済ませておく価値があります。

個別支援計画は「児発管が1人で作る」から「チームで作る」へ(全般・論点2)

全般の論点2は、個別支援計画の作り方です。令和7年度の調査研究では、個別支援計画の作成プロセスで他の職員と協働していると答えた児童発達支援管理責任者は80.8%(n=6,170)でした。すでに多くの事業所で、実態としてはチームで作っているわけです。協働している事業所のほうが、丁寧な計画作成や業務時間の確保、支援の実現度などで良好な傾向が見られたことも、資料で紹介されています。

検討の方向性は、この実態に制度を合わせる形です。作成プロセスを明確化すること、作成責任は引き続き児童発達支援管理責任者が担い、児発管はプロセス全体の管理と計画内容の確認責任を持つこと、そしてアセスメントに資する情報の整理や、支援目標・具体的な支援内容の提案といった原案作成の一部は、一般職員も担うことができることを明確化する、という案が示されています。

「児発管以外が計画を作ってもいい」という話ではありません。責任の所在は児発管に置いたまま、日々の観察や記録を持つ職員が、原案づくりに関わる部分を公式に位置付ける方向です。日々の支援記録の残し方が、そのまま計画の材料になる――そういう読み方もできます。

— ここまでの論点を、自事業所に当てはめると —

論点は全国一律でも、影響の出方は事業所ごとに違います。算定している加算の顔ぶれ、職員の資格と経験年数、医療的ケア児(医ケア児)の受入れ状況――この3つで、備えの優先順位は変わります。30分の無料相談で、自事業所の当てはめだけを整理することもできます。

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その他の注目論点——医ケア児、強度行動障害、職員の休暇

医療的ケア児・重症心身障害児の受入れへの評価(児発・放デイ論点2・3)

医療的ケア児を受け入れている通所支援事業所は23.6%で、受け入れに至らなかった理由は「看護師の確保が難しいため」が77.0%、「ノウハウが十分ではないため」が54.3%でした(令和7年度調査研究)。検討の方向性として、支援実績のある事業所と新規に受け入れる事業所との間で知識やノウハウの共有・助言を行う取組を評価すること、新規受入れの際の連携・情報共有を評価すること、医療連携体制加算(Ⅳ)・(Ⅴ)のさらなる評価の充実、多職種連携・医療安全管理・緊急時対応体制といった「安全に受け入れる体制」への評価が検討されています。

強度行動障害の基準の統合(全般・論点3)

強度行動障害の状態にあるこどもへの支援は、現在、個別サポート加算と強度行動障害児支援加算の2つの枠組みで評価され、判定の基準も「就学児サポート調査票」と「強度行動障害判定基準表」に分かれていて、自治体の運用にもばらつきがあることが課題とされています。方向性は、この2つの基準を整理・統合した基準を策定し、運用方法を一体的に明確化することです。

職員の休暇と人員配置(児発・放デイ論点12)

児発・放デイでは、児童指導員・保育士が休暇を取る日も、サービス提供時間帯の配置を確保しなければならず、「休暇が取りにくい」という指摘が根強くあります。令和6年度の調査研究では、法人等の24.8%が「人員配置基準を上回っているが、退職や欠勤等が生じると人員配置基準を下回る」と答えています。検討の方向性は、職員が法定休暇を取得して一時的に配置基準を満たさなくなる場合に、管理者または児童発達支援管理責任者による直接支援への関与の下、必要な直接支援体制が確保されていることを前提に、人員基準上の取扱いを見直すというものです。休みやすさと人材定着に直結する論点なので、小規模な事業所ほど影響が大きくなります。

今から点検できること——決まってから慌てないための3つの棚卸し

ここからは、論点を踏まえた当事務所の実務上の提案です。新しい制度への対応はまだできませんが、どの形に決まっても無駄にならない棚卸しが3つあります。方向性が公表される2026年12月頃(目安)までに済ませておくと、その後の判断が早くなります。どれも、対象を絞れば小さく始められるものばかりです。

  1. 加算の「根拠」を1枚に書く:直近1か月分について、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を、誰の・どの資格・何年の経験で算定しているかを書き出してください。統合案が「事業所全体の体制」を見る形になれば、この1枚が説明の土台になります。
  2. 職員の一覧を更新する:職員全員分の資格・経験年数・研修の受講歴を1枚にそろえてください。基礎・実践研修の対象把握と、休暇時の代替体制の検討は、この一覧がないと始まりません。
  3. 直近の個別支援計画2件で、関わった人を書き添える:アセスメントの情報整理や原案づくりに、児発管以外の誰が関わったかを確認してください。チーム作成が明確化されれば、「実態としてやっていること」を記録に残せる事業所が、そのまま強みになります。

逆に、やってはいけないこともあります。検討段階の案をもとに、採用計画や雇用契約、料金の前提を先に決めてしまわないことです。単位数と要件は、告示・通知が出るまで未定です。また、単位数や要件が出そろう前に、高額な「改定対応」パッケージを慌てて契約する必要はありません。

当事務所にご相談いただいた場合の進め方

改定のご相談は、「論点のうち、自事業所に効くものはどれか」を切り分けるところから始めます。最初の30分の無料相談で、算定中の加算と人員体制をお聞きし、備えの優先順位を整理します。2027年2月頃(目安)に改定の概要が見えた段階では、体制届・加算届の出し直しの段取りを一緒に組みます。届出の締切は指定権者ごとに異なります(例として、千葉県の県指定事業所では、体制届は適用する月の前月15日必着です。千葉市・船橋市・柏市など市が指定権者の場合は、各市の締切をご確認ください)。また、改定の施行月には特例の締切が示されることもあるので、その都度ご確認ください。出し直しの代行をご依頼いただく場合は、加算届・体制届は1事業所あたり税込33,000円です。その場で契約を求めることはありません。

参考にした一次資料

  • 厚生労働省・こども家庭庁「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(障害福祉報酬改定検討チーム第65回、2026年10月5日)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001755910.pdf
  • 厚生労働省「障害福祉報酬改定検討チーム」開催一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_446935_00001.html
  • 「障害児支援における人材育成に関する検討会」報告書(令和7年8月取りまとめ。上記の検討チーム資料に概要が収録されています)

※この記事で紹介した内容は、2026年11月3日時点で公表されている「論点・検討の方向性」であり、確定した制度ではありません。今後の議論で変わる可能性があります。改定の受け止め方の整理には、購入して手元に置いている資料(服部憲明「障害児通所支援2027年改定|研修・人員配置・支援計画の実務点検」、ラフター常松「放課後等デイサービスの加算・減算実務ガイド」)も参考にしましたが、事実の確認は上記の一次資料で行っています。

💬 目加多のひとこと

改定の話になると、どうしても「単位数がいくらになるか」に目が行きがちです。でも今回の論点が向いている先は、事業所全体の体制と、チームで支える力です。数字が出てくるのは最後のほう。先に体制の棚卸しを済ませた事業所が、結局いちばん慌てずに済むはずです。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

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