— 30秒でわかる結論 —
Q. 障害福祉の「総量規制」で、指定を受けられないことはあるのですか?
あります。指定権者(都道府県・指定都市・中核市等)は、区域内の定員の総数が障害福祉計画等の見込量に達している・超えることになる場合や、計画の達成に支障を生じるおそれがある場合に、指定をしないことができます。令和8年6月時点の対象は生活介護・就労継続支援A型・B型・障害者支援施設・児童発達支援・放課後等デイサービス・障害児入所施設で、共同生活援助(グループホーム)も令和9年4月1日から対象になるとされています。実施するかどうかは指定権者の裁量で、規制中も強度行動障害・重症心身障害・医療的ケアの方を受け入れる事業所などを例外にする運用が示されています。物件を契約する前に、開業予定地の指定権者が総量規制をしているかを確かめてください(制度。国の「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」令和8年6月。2026年11月5日確認)。
この記事は制度の解説です。障害福祉の指定申請のご依頼は、料金と流れを専用のページでご案内しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援B型・生活介護の開業を考えていて、物件の契約や内装工事の前の段階にいる方
- 令和9年度以降にグループホームを開く計画があり、「総量規制の対象になる」と聞いて不安な方
- 今の事業所の定員を増やしたい、または同じ市内に2か所目を出したい経営者の方
ご相談いただくと、こう進みます
- 最初の30分の無料相談で、開業予定地・サービス・定員・開業時期をうかがい、どの指定権者に何を確かめるかを一緒に整理します
- ご依頼後は、指定権者の公表や事前相談で総量規制・意見申出制度の扱いを確かめたうえで、指定申請の書類づくりと日程を組みます
- その後は、指定の際に条件が付いた場合も含め、指定後の届出と運営の準備までつなげます
総量規制は「計画の見込量を超える地域では指定しないことができる」仕組みです
国のガイドラインは、総量規制を次のように説明しています。指定申請があったときに、
- 都道府県等が定める区域での、そのサービスの利用(入所)定員の総数(供給サービス量)が、障害福祉計画等で定める必要な定員の総数(サービス見込量)にすでに達している、またはその指定によって超えることになると認める場合
- 障害福祉計画等の達成に支障を生じるおそれがあると認める場合
のいずれかに当たれば、指定しないことができる制度です(制度。厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部・こども家庭庁支援局「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」令和8年6月、3(1)概要(2026年11月5日確認))。根拠は、障害者総合支援法第36条第5項・第38条第2項と同法施行規則第34条の20、児童福祉法第21条の5の15第5項・第24条の9第2項と同法施行規則第18条の30の2です(同ガイドライン 3(1)<根拠法令>)。
ガイドラインは、総量規制は指定権者に裁量がある仕組み(「指定をしないことができる」)だと明記しています(同ガイドライン 3(5))。見込量を超えていれば必ず指定されない、という仕組みではありません。逆に、要件を満たした申請でも、規制している地域では指定されないことがあります。
対象になるサービスと、グループホームの令和9年4月からの扱い
ガイドラインが示す、令和8年6月時点の対象サービスは次のとおりです(同ガイドライン 3(1))。
| 法律 | 総量規制の対象(令和8年6月時点) | これから対象になるもの |
|---|---|---|
| 障害者総合支援法 | 生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型、障害者支援施設 | 共同生活援助(グループホーム)。令和8年3月31日公布の施行規則改正で対象とされ、令和9年4月1日施行 |
| 児童福祉法 | 児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設 | — |
グループホームについては、ガイドラインが「令和8年3月31日、障害者総合支援法施行規則の一部を改正する命令が公布され、共同生活援助も対象となることとされている(令和9年4月1日施行)」と書いています。令和9年4月以降に指定を受ける予定のグループホームは、開業予定地の指定権者が共同生活援助について総量規制をするかどうかを、早めに確かめておく必要があります。どの類型(介護サービス包括型・日中サービス支援型など)がどう扱われるかは、改正命令の原文と指定権者の案内で確認してください。
反対に、表にないサービス(居宅介護、短期入所、就労移行支援など)は、このガイドラインの対象一覧には入っていません。
規制が始まると、新規指定だけでなく「定員増」も止まります
ガイドラインは、総量規制を導入するまでの流れを、①供給サービス量と見込量の比較、②管内・周辺自治体や関係団体との調整、③管内事業所への周知・ホームページ等での公表、④実施、の順で示しています(同ガイドライン 3(3))。そのうえで、実施後の扱いを次のように書いています。
- 既に指定申請を受け付けている場合を除き、原則として新規の指定や定員増を伴う事業所の指定を行わない(例外的な取扱いを除く)
- 既存の事業所には、規制するサービスで定員増を伴う指定ができないことを通知することが望ましい
- 新規開設を検討している事業者には、ホームページ等での公表で周知する
比べる単位は、都道府県なら圏域単位や市町村単位など、計画で定める区域ごととされています(同ガイドライン 3(3)①)。同じ県の中でも、規制している圏域とそうでない圏域が分かれることがあります。ガイドラインの事例でも、県内の一部圏域だけで就労継続支援B型を規制している県が紹介されています(同ガイドライン 3(4)事例①)。
人事15年・財務の目で見ると
開業でいちばん戻らないお金は、物件の契約金と内装工事費です。総量規制は「書類が整っていても指定されないことがある」仕組みなので、資金計画の前提そのものに関わります。融資の相談や物件の申込みより前に、開業予定地で規制があるかを確かめておくと、使ってしまってから計画を組み直すことを避けやすくなります。
規制中でも指定を受けられる「例外」があります
ガイドラインは、地域で不足する個別ニーズについては例外として扱えるよう、例外規定を含めた運用を検討することが望ましいとしています。例として挙げているのは、次のような場合です(同ガイドライン 3(3)①、3(5))。
- 強度行動障害の状態にある児者、重症心身障害児者、医療的ケアを必要とする児者等を対象とする場合
- その他、自治体が必要と認める場合
紹介されている自治体の事例では、例外の決め方がそれぞれ違います(同ガイドライン 3(4))。
- 主として重症心身障害児を受け入れる事業所や、看護職員を配置(派遣による配置を除く)して医療的ケア児を受け入れ、医療的ケア区分に応じた基本報酬を算定する事業所を対象外にする(指定都市の例)
- 児童発達支援センターと、主として重症心身障害児を通わせる児童発達支援・放課後等デイサービスを対象外にする(指定都市の例)
- 吸収合併等の前後で職員に変更がないなど、実質的に継続した運営と認める事業所を対象外にする(指定都市の例)。事業継承で新規申請と同じ扱いになってしまう場合を例外とする(中核市の例)
- 開設予定の市町村に事業を説明して意見書を作ってもらい、それをもって指定を検討する(県の例)
例外で指定する場合に、その受け入れを指定の「条件」として付ける運用も示されています(同ガイドライン 4(3))。例外に当たるかどうかは、自治体ごとの定めで決まります。「医療的ケア児も受け入れる予定」というだけで当たるとは限らないので、要件を指定権者に確かめてください。
📗 関連:千葉県の指定申請スケジュールと市町村意見申出制度。総量規制は「指定するかどうか」、意見申出制度は「指定するときにどんな条件を付けるか」に関わる仕組みで、別々に確かめます。
— この段階でご相談いただく理由 —
総量規制は、申請書類の出来とは別のところで結論が決まる仕組みです。物件を決める前の段階なら、開業予定地やサービス、主な受け入れ対象を見直す余地が残っています。指定権者への確認事項を整理してから事前相談に行くと、聞き漏れを減らせます。
規制が解除されるときは「公募」になることがあります
ガイドラインは、規制の実施後も年に一度などの頻度で供給量と見込量を確かめ、解除するときは、見込量とその時点の供給量の差分について、公募制で募集することが望ましいとしています(同ガイドライン 3(3)<総量規制実施後の運用>)。示されている公募の流れの一例は次のとおりです。
- 公募要項の公表・募集(指定開始の6か月前ごろ)
- 選定委員会などでの選考(4か月前ごろ)
- 結果の通知・公表(3か月前ごろ)
- 従来の指定手続き(2か月前ごろ)
- 指定(指定開始月の1日から)
選定基準の観点として、所在地(圏域内の事業所の充足状況)、設備、人員配置、事業継続性(運営実績・収支見通しの根拠)、職員の質向上の取組、運営方針、事業所開設の目的・事業計画が挙げられています。具体的な支援対象像を示して、アセスメント・支援方針・個別支援計画などを出してもらう方法も紹介されています(同ガイドライン 3(3)①)。公募の時期や選定基準は自治体ごとに違い、紹介されている指定都市の例でも、募集期間を5〜6月に置く例、公募要項の公表を6月ごろに置く例などがあります(同ガイドライン 3(4)事例②③)。公募がある地域では、通常の指定申請の日程とは別に、公募の日程から逆算する必要があります。
事前相談で「総量規制の実施状況」を聞くことが、国の想定に入っています
ガイドラインは、指定権者が申請書類を受け取る前の事前相談で説明する事項の中に、「総量規制の実施状況について」と「意見申出制度について(市町村への通知が必要なサービスに該当しているか等)」を挙げています(同ガイドライン 2(2)①<説明事項>)。スケジュールの例では、事前相談・事前確認を指定の3〜5か月前に置いています(同ガイドライン 2(2)〇スケジュールの例)。
また、事前相談での確認事項について説明を求める場合は、行政書士やコンサルティング会社等の代理人ではなく、事業の内容を把握している事業者の代表者等から説明してもらうことが望ましい、ともしています(同ガイドライン 2(2)①)。総量規制の地域で例外の扱いを相談するときも、どんな方を主に受け入れるのか、なぜその地域なのかを、代表者が自分の言葉で説明できるように準備しておくことになります。
今月やること(開業予定地の公表を15分で確かめる)
まず、開業予定地の指定権者が都道府県なのか、指定都市・中核市なのかを確かめます。次に、その指定権者のホームページで、障害福祉サービス事業者の指定の案内のページを開き、「総量規制」「指定しない」「公募」「選定」といった言葉の公表がないかを見ます。対象は、開業を考えているサービス1つと、開業予定の市町村1つに絞ります。
公表が見つからない場合でも、規制がないと決めつけず、事前相談のときに「このサービスで総量規制や公募をしているか」「意見申出制度で市町村への通知の対象になっているか」を指定権者に聞いて、日付と担当課を記録しておきます。物件の申込みや契約は、この確認が済んでからにしてください。
地域差分——制度は全国共通、実施するかどうかと例外・公募の決め方は指定権者ごと
総量規制の根拠と対象サービスは法律と施行規則で決まっています。一方、実際に規制をするか、どの区域で、どのサービスに、どんな例外を設け、解除のときに公募をするかは、都道府県・指定都市・中核市等の指定権者がそれぞれ決めます。同じ都道府県の中でも、圏域や市によって扱いが違うことがあるため、開業予定地を所管する指定権者の公表と事前相談で確かめてください(2026年11月5日確認)。
たとえば、こんな場面で迷っていませんか
(以下は説明のための架空の例です)放課後等デイサービスを開業しようとしている法人の代表の方。駅から近い物件が見つかり、不動産会社から「来週までに申込みを」と言われています。
同じ市内に放課後等デイサービスが多いことは知っていますが、総量規制という言葉を聞いたのは最近で、その市で規制があるのか、あった場合に申請しても指定されないのかが分からずにいます。
この場合は、申込みの前に、その市の指定権者の公表を確かめ、事前相談で総量規制と公募の有無を聞くところから始めます。規制がある場合は、例外に当たる受け入れ対象を考えるか、開業予定地を見直すかを、その後に判断します。
当事務所にご相談いただいた場合の進め方
- 1. ご相談の前に手元に用意していただくもの
開業予定地の住所(候補が複数あればすべて)、開業したいサービスと定員、開業希望の時期、主に受け入れたい方(障害の種別・程度)のイメージをメモにしてご用意ください。物件の資料があれば、あわせてお持ちください。 - 2. 初回30分の無料相談で一緒に確認すること
開業予定地の指定権者がどこか、そのサービスが総量規制の対象サービスか、指定権者の公表で確かめておくこと、事前相談で聞くことを一緒に整理します。 - 3. ご依頼後の進め方当事務所がやること:指定権者の案内に沿って指定申請の書類を作り、事前相談から指定日までの日程を組みます。料金(税込)は、指定申請330,000円、障害福祉の事業が初めての方向けのプラン550,000円です。お客様にお願いすること:事前相談では、事業を始める理由や受け入れ対象を代表者の方から説明していただきます。物件の契約・融資の申込みのタイミングは、確認の結果を見てご判断ください。
- 4. その後
その後は、指定の際に条件が付いた場合はその内容を確かめ、指定後の届出や運営の準備までつなげます。
料金は料金表と料金シミュレーションでご確認いただけます。
参考にした一次資料
- 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部・こども家庭庁支援局「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」令和8年6月(2(2)新規指定の一般的な流れ ①事前相談・事前確認の説明事項・確認事項とスケジュールの例、3 総量規制について(1)概要・根拠法令、(3)活用の流れ・実施後の運用・公募の流れ、(4)活用事例①〜④、(5)留意事項、4 意見申出制度(3)総量規制と併せた活用)(2026年11月5日確認)
- 障害者総合支援法第36条第5項・第38条第2項、同法施行規則第34条の20、児童福祉法第21条の5の15第5項・第24条の9第2項、同法施行規則第18条の30の2(上記ガイドラインが根拠法令として示すもの。条文の原文は e-Gov 法令検索で確認してください)
- e-Gov 法令検索(条文・施行規則の最新版はこちらで確認してください)
💬 目加多のひとこと
総量規制は、書類をどれだけ丁寧に作っても、それだけでは越えられないことがある仕組みです。だからこそ、物件やお金を動かす前の確認が効きます。開業予定地が決まりかけたら、まず指定権者の公表を一度見てみてください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。