— 30秒でわかる結論 —

Q. 決算書に「役員貸付金」があると、なぜ融資に不利なのですか?

銀行から見ると役員貸付金は「会社に貸したお金が、事業ではなく社長個人に流れるかもしれない」という警戒信号だからです。返済される見込みの薄い貸付金は実質的な資産価値ゼロと評価され、その分自己資本を割り引いて査定されることもあります。金額が大きい・年々増えている場合は特に印象が悪く、「この会社は公私混同がある」という定性評価にまで波及しかねません。解消の王道は役員報酬の見直しと計画的な返済です(税務が絡むため税理士と連携して進めます)。

融資のご相談で決算書を拝見して、思わず「あ……」と声が出る科目があります。その筆頭が役員貸付金。本人に悪気がないまま積み上がっていることが多いのに、銀行の評価への打撃は大きい——この非対称が厄介なのです。

そもそも、なぜ発生するのか

典型的な発生源は、①社長個人の支出を会社の口座から出してしまった、②使途を説明できない出金を決算で「貸付金」として整理した、③個人事業時代の感覚で会社と個人の財布が混ざっている——など。つまり多くの場合、「借りた」意識がないまま帳簿上の貸付が積み上がるのが実態ではないでしょうか。

銀行が嫌う3つの理由

資金使途の懸念:融資したお金が運転資金ではなく社長個人に流れるリスクを疑わせる。②資産性の否定:回収見込みの薄い貸付金は実質価値ゼロと査定され、自己資本が目減りして見える(財務スコアの低下)。③定性評価の毀損:公私の区別・管理体制への疑念という、数字以上に尾を引くマイナス。しかも役員貸付金には利息を計上する必要があり、放置すると帳簿上の「返ってこない利息」まで膨らんでいきます。

解消の道筋——一発逆転より「減り続けている」実績

王道は、①役員報酬を見直し、手取りから毎月定額を返済する計画を作る、②役員が受け取る予定の配当・退職金と相殺する設計、③個人資産の売却等による一部返済——などの組み合わせです。重要なのは、銀行に対して「解消計画があり、実際に残高が減り続けている」という事実を見せること。一括解消できなくても、右肩下がりのグラフは誠実さの証明になります。なお、報酬改定や貸倒処理には税務上の論点(役員給与の取り扱い等)が必ず絡むため、顧問税理士と連携した設計が前提です。

予防策——「会社と個人の財布を分ける」仕組み化

再発防止はシンプルで、法人カードと個人カードの完全分離、社長個人の支出を立替精算のルールに乗せる、月次で貸付金残高をチェックする——この3点でほぼ止まります。融資を受ける予定があるなら、申込みの1〜2期前から決算書の「見た目」を整え始めるのが理想です。

💬 目加多のひとこと

役員貸付金は「社長が悪者」の科目ではなく、経理の仕組みが追いついていないサインだと私は見ています。責めても減りません。減るのは、返済計画と仕組みができたときだけ。銀行への説明資料づくりも含めて、税理士さんと三人四脚で伴走します。

まとめ

役員貸付金は融資審査の大きなマイナス要因ですが、「解消計画+減少実績」を示せれば挽回できます。決算書の見せ方と資金調達の設計を、財務の実務経験をもつ行政書士が支援します。初回相談60分無料。松戸・柏・流山・船橋・市川をはじめ首都圏の中小企業を支援しています(オンラインで全国対応も可)。

※役員報酬・貸付金の処理には税務上の取り扱いが伴います。具体的な処理は顧問税理士等にご確認ください(当所は提携税理士と連携して対応します)。融資の実行を保証するものではありません。