— 30秒でわかる結論 —

Q. 優秀な社員を昇進させると辞めてしまいます。なぜですか?

プレイヤーと管理職は「別の競技」だからです。自分で成果を出す力と、人を通じて成果を出す力は別物なのに、多くの会社は辞令一枚で送り出し、移行のトレーニングも伴走もありません。本人は「できていた自分」が「できない自分」に変わる喪失感の中で孤立し、静かに転職を考え始めます。防ぐのは3点セット——①昇進前の準備(役割の言語化・小さな委任経験)、②直後90日の伴走(上司との定例+外部の壁打ち)、③管理職にならない活躍の道(専門職コース)の整備です。

「あいつなら大丈夫だと思ったんだが…」——エースの昇進後離職は、経営者にとって二重の痛手です。優秀なプレイヤーを失い、後任の管理職も失う。しかもこの失敗、構造を知れば高い確率で防げます。

名選手が名監督になれないのは「競技が違う」から

プレイヤーの成果は自分の腕で決まります。管理職の成果は他人の成長と成果で決まります。求められる能力も、時間の使い方も、達成感の源泉も別物。ところが昇進の場面では「実務ができる=管理もできるだろう」という飛躍が起き、本人も「できるはず」と思って引き受けます。最初の3か月で「こんなはずでは」が双方に訪れる——これが典型的な脚本です。

昇進「前」にやること——役割の言語化と予行演習

まず、その管理職ポストの役割を紙に書けるか。「マネジメントをよろしく」ではなく、「メンバー○人の育成面談を月1で」「数字の報告はこの形式で」「採用面接に同席」——具体の職務として言語化します。そのうえで、昇進前から小さな委任(後輩指導、会議の進行、シフト作成)で予行演習をさせる。ここで本人の適性と意向も見えてきます。「昇進を打診したときの表情」を見逃さないことも大切です。

昇進「後」90日——孤独にさせない仕組み

新任管理職は、昨日までの同僚に指示を出す気まずさ、上と下の板挟み、プレイングとの両立で、想像以上に孤独です。①上司との週次30分の定例(詰める場ではなく、困りごとを出す場)、②新任管理職同士の横のつながり、③利害のない外部との壁打ち(キャリアコンサルタントによる面談)——「弱音を吐ける場所」を制度として用意します。弱音は、放置すれば退職届になり、受け止めれば成長の材料になります。

そもそも管理職にしない、という正解——複線型キャリア

忘れてはいけないのは、優秀なプレイヤーの処遇の道が「管理職」しかないという設計自体が問題だということ。技術や専門性で会社に貢献し続ける専門職コースを作り、管理職と同等の処遇まで到達できるようにする——これだけで「報いるための昇進」という不幸なミスマッチが消えます。人事評価制度の設計とセットで取り組むべきテーマで、当所の得意領域です。

💬 目加多のひとこと

私自身、当時最年少で課長になり、最初の半年は「プレイヤーの自分」を手放せずに苦しみました。救いになったのは、週1回、何を話してもいい上司との30分でした。あの30分を、あなたの会社の新任管理職にも。外部の面談者として、その役割をお引き受けしています。

まとめ

昇進後の離職は移行支援の不在が生む構造的な事故。昇進前の言語化と予行演習、直後90日の伴走、専門職コースの整備で防げます。評価制度・キャリアパス設計から新任管理職の外部面談まで一体で支援します。初回相談60分無料。松戸・柏・流山・船橋・市川をはじめ首都圏の中小企業を支援しています(オンラインで全国対応も可)。