「決算書を見ても、どこを見ればいいか分からない」「数字は税理士に任せきり」——松戸・柏・流山・鎌ヶ谷・市川・三郷の中小企業の経営者から、経営の数字に対する苦手意識のお声をよくうかがいます。
すべての指標を理解する必要はありません。「人」と「お金」について、まず見るべき基本の数字を押さえるだけで、会社の状態がぐっと見えやすくなります。本記事では、行政書士であり国家資格キャリアコンサルタントでもある立場から、難しい計算は避けつつ、何をなぜ見るのかを整理します。
なぜ「数字を見る」ことが経営を守るのか
数字は、会社で今おきていることを映す鏡です。感覚だけで経営していると、問題が表面化したときには手遅れ、ということが起こります。たとえば離職が増えていても、数字で追っていなければ「なんとなく人が辞める」で終わってしまいます。
大切なのは、精緻な分析ではなく、いくつかの基本指標を定点観測することです。前の月・前の年と比べて、良くなっているか悪くなっているか。その変化に気づけることが、中小企業の経営を守る第一歩になります。
「人」の指標——離職率・定着・一人当たりの成果
人については、まず離職率と定着の状況を見ます。どの部署で、どんな人が辞めているか。採用してもすぐ辞めるなら、採用か受け入れに課題があります。長く働いている人が辞め始めたら、評価や処遇への不満かもしれません。
もう一つは、社員一人当たりがどれだけの成果(粗利など)を生んでいるかです。人材が増えても一人当たりの成果が下がっていれば、育成や役割分担に見直しの余地があります。人事の数字は、人への投資が効いているかを教えてくれます。
「お金」の指標——粗利率・利益・手元資金
お金については、まず売上から原価を引いた粗利と、それが売上に占める割合(粗利率)を見ます。売上が伸びても粗利率が下がっていれば、値引きや原価高騰で「忙しいのに儲からない」状態かもしれません。
次に、最終的にいくら利益が残ったか、そして手元にいくら現金があるかです。利益と現金は別物なので、両方を見る必要があります。加えて、損益分岐点——固定費を限界利益率(売上から変動費を引いた額が売上に占める割合)で割って求める、赤字にならない売上の目安——を知っておくと、「最低いくら売ればいいか」が見えます。
「銀行」が見る指標も知っておく
お金を借りるなら、銀行が会社のどこを見るかも知っておくと役立ちます。代表的なのは、自己資本がどれだけあるか(自己資本比率)、そして借入を返していける利益とキャッシュを生んでいるか、です。
銀行は「借入を、返済の元手となる利益とキャッシュの何年分で返せるか」という観点でも会社を見ます。融資を受けやすくするには、この「返せる力」を高めることが要点です。設備投資の際には補助金もあわせて検討し、資金繰りに無理が出ないよう資金の出どころを設計します。
完璧を目指さず、まず3つから始める
いきなり多くの指標を追う必要はありません。たとえば「離職率」「粗利率」「手元資金」の3つから始めて、毎月眺める習慣をつけるだけでも、会社の見え方が変わります。慣れてきたら少しずつ増やせば十分です。
数字は、税理士に任せきりにするものではなく、経営者が会社と対話するための道具です。人材の数字(人)と財務の数字(お金)を両方見ることで、どちらかの問題がもう片方を圧迫していないかにも気づけます。中小企業では、この両面を見る習慣が経営の安定につながります。
よくある質問
Q. まず何の数字から見ればいいですか?
「離職率」「粗利率」「手元資金」の3つがおすすめです。人・収益・現金をそれぞれ代表する数字で、毎月眺めるだけでも会社の変化に気づけます。慣れてきたら少しずつ増やせば十分です。
Q. 損益分岐点はどう求めるのですか?
固定費を限界利益率(売上から変動費を引いた額が売上に占める割合)で割って求めます。これを下回ると赤字になる売上の目安で、「最低いくら売ればよいか」が分かります。粗利率と混同しないことがポイントです。
Q. 利益が出ているのに資金が足りないのはなぜ?
利益とキャッシュは別物だからです。売掛金の入金待ち、在庫、借入の元本返済などで、黒字でも現金が不足します。利益だけでなく手元資金も合わせて見ることが大切です。
Q. 数字の整理を手伝ってもらえますか?
はい。決算書や試算表をもとに、見るべき指標を分かりやすく整理し、人材と財務の両面から定点観測する仕組みづくりをお手伝いします。税務申告そのものは税理士の領域です。
まとめ
経営の数字は、完璧に理解する必要はありません。「人」(離職率・定着・一人当たりの成果)と「お金」(粗利率・利益・手元資金)について、まず3つほどの基本指標を定点観測することから始めれば十分です。両面を見ることで、片方の問題がもう片方を圧迫していないかにも気づけます。
松戸・柏・流山・鎌ヶ谷・市川・三郷・東京23区を含む首都圏全域の中小企業の経営者の方へ。人材育成と財務改善を一体で見る顧問として、行政書士/国家資格キャリアコンサルタントである目加多龍行政書士事務所が、数字の整理から伴走します。お気軽にご相談ください。