「社員が将来を描けないまま辞めていく」「日々の業務に追われ、一人ひとりのキャリアを考える余裕がない」——松戸・柏・流山の中小企業の経営者から、こうした人材の悩みをよくいただきます。

その対策として近年注目されているのが「セルフキャリアドック」です。これは、社員が自分のキャリアを定期的に見つめ直す機会を、会社の仕組みとして用意する取り組みです。本記事では、行政書士であり国家資格キャリアコンサルタントでもある立場から、中小企業がセルフキャリアドックをどう活かせるかを整理します。

セルフキャリアドックとは何か

セルフキャリアドックとは、社員が定期的にキャリアを振り返り、これからの方向性を考える機会を、会社が計画的に提供する仕組みのことです。健康診断(人間ドック)のキャリア版とイメージすると分かりやすいかもしれません。厚生労働省も、企業の人材育成施策として導入を推奨しています。

中心になるのは、キャリアコンサルタントなどによるキャリア面談です。日々の業務評価とは別に、「この先どうなりたいか」「そのために何を学びたいか」を本人が考え、言葉にする場をつくります。これにより、社員のモチベーションと会社へのエンゲージメントを高めることがねらいです。

なぜ中小企業にこそ効くのか

大企業には人事部や研修制度がありますが、中小企業では一人ひとりのキャリアに向き合う余裕がないことが多いものです。だからこそ、社員は「この会社にいて成長できるのか」が見えず、不安から離職を選びがちです。

セルフキャリアドックで「会社が自分の将来を一緒に考えてくれる」と感じられれば、定着に直結します。少人数の会社ほど、一人の人材が辞める影響は大きく、キャリア支援への投資効果も表れやすいのです。

キャリア面談と評価面談は分けて考える

大切なのは、キャリア面談と人事評価の面談を分けることです。評価面談は「過去の成果をどう処遇に反映するか」の場ですが、キャリア面談は「本人の将来をどう支えるか」の場です。両者を混ぜると、社員は評価を気にして本音を話せなくなります。

キャリア面談では、上司ではなく第三者であるキャリアコンサルタントが聞き手になることで、本音が引き出しやすくなります。利害から離れた立場だからこそ、社員も安心して将来の不安や希望を話せます。これが人事施策としての効果を高めます。

導入のステップ——小さく始める

セルフキャリアドックは、大がかりな制度として一度に導入する必要はありません。まずは年に1回、希望者から始めるなど、小さくスタートできます。面談の目的を社員に丁寧に伝え、「評価ではない」と理解してもらうことが最初の一歩です。

面談で出てきた「学びたいこと」「挑戦したいこと」を、可能な範囲で育成計画や配置に反映していくと、社員は「話してよかった」と感じます。なお、導入にあたっては国の助成金を活用できる場合がありますが、雇用関係の助成金は社会保険労務士の領域のため、必要に応じて連携します。

キャリア支援が、採用力にもつながる

社員のキャリアを大切にする会社は、働く人にとって魅力的に映ります。「ここでは成長できる」という評判は、採用の場面、たとえば面接でも効いてきます。求人広告に費用をかけるより、今いる社員が生き生き働いていることのほうが、強い採用力になることもあります。

セルフキャリアドックは、定着育成採用を一本の線でつなぐ施策です。社員のキャリアへの投資が、巡り巡って会社全体の人材力を底上げします。

よくある質問

Q. セルフキャリアドックは何人くらいの会社から導入できますか?
人数は問いません。むしろ人事専任者がいない中小企業ほど効果が出やすい施策です。まずは年1回・希望者からなど、小さく始めることをおすすめします。

Q. キャリア面談は社内の上司がやってはいけないのですか?
上司でもできますが、評価する立場だと本音が出にくいのが難点です。利害から離れたキャリアコンサルタントが聞き手になると、将来の希望や不安を安心して話してもらいやすくなります。

Q. 導入に使える助成金はありますか?
人材育成に関する国の助成金を活用できる場合があります。ただし雇用関係の助成金は社会保険労務士の専門領域のため、申請はそちらと連携して進めます。当事務所はキャリア面談・仕組みづくりの部分を担います。

Q. 効果はどう表れますか?
すぐに数字に出るものではありませんが、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上、離職の減少、育成の方向づけといった形で、中長期に表れます。定点的に続けることが大切です。

まとめ

セルフキャリアドックは、社員が自分のキャリアを定期的に見つめ直す機会を会社が用意する仕組みです。評価面談とは分け、利害から離れたキャリアコンサルタントが関わることで本音が引き出され、モチベーション・エンゲージメント・定着の向上につながります。小さく始められるのも中小企業向きです。

松戸・柏・流山・鎌ヶ谷・市川・三郷・東京23区を含む首都圏全域の中小企業の経営者の方へ。セルフキャリアドックの導入やキャリア面談・人材育成の仕組みづくりは、行政書士/国家資格キャリアコンサルタントである目加多龍行政書士事務所がご一緒します。お気軽にご相談ください。