「売上はそこそこあるのに、利益がほとんど残らない」「毎月の固定費の支払いに追われている」——松戸・流山・三郷の中小企業の経営者から、こうした財務のご相談をいただきます。
利益が残らない原因の一つが、固定費の重さです。これを考えるとき役立つのが「損益分岐点」という考え方です。本記事では、行政書士の立場から、損益分岐点と固定費の見直し方をやさしく整理します。なお、決算書の作成や税務申告は税理士の領域で、ここでは経営判断のための見方をお話しします。
損益分岐点とは——「トントンになる売上」
損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる(赤字でも黒字でもない)売上高のことです。この売上を超えれば黒字、下回れば赤字になります。「あといくら売れば赤字を抜けるか」を示す、経営の基準点です。
損益分岐点を知ると、「最低限いくら売上が必要か」が見えます。これが分かっていないと、頑張って売っているつもりでも、実は赤字ラインを越えていなかった、ということが起こります。中小企業こそ、この基準点を押さえておく価値があります。
固定費と変動費を分ける
損益分岐点を考えるには、費用を「固定費」と「変動費」に分けます。固定費は、売上に関わらずかかる費用(家賃、人件費、リース料など)。変動費は、売上に応じて増減する費用(仕入れ、材料費など)です。
固定費が重いと、売上が下がっても費用が減らないため、赤字になりやすくなります。逆に、固定費を抑えれば、損益分岐点が下がり、少ない売上でも黒字を保てる「強い体質」になります。まず自社の固定費を把握することが出発点です。
損益分岐点の考え方——限界利益率がカギ
損益分岐点は、「固定費 ÷ 限界利益率」で求められます。限界利益率とは、売上から変動費を引いた「限界利益」が、売上に占める割合のことです。ここで使うのは粗利率ではなく、変動費を引いた限界利益率である点に注意が必要です。
たとえば固定費が月100万円、限界利益率が50%なら、損益分岐点は200万円です。この200万円を売上が超えれば黒字になります。限界利益率が高いほど、また固定費が軽いほど、損益分岐点は下がります。財務の体質を、この2つの要素から見直せます。
「固定費を下げる」と「限界利益率を上げる」
利益を残すには、2つの方向があります。一つは固定費を下げること。不要なコスト、使っていないサービス、過剰な在庫を抱える倉庫など、見直せる固定費は意外とあります。もう一つは、限界利益率を上げること——値上げや、変動費(仕入れ)の見直しです。
どちらも一気には難しくても、少しずつ改善すれば、損益分岐点は着実に下がります。これは資金繰りを楽にし、手元のキャッシュに余裕を生みます。売上を増やすことばかりでなく、利益が残る体質に変えることも、立派な経営改善です。
数字を知ることが、倒産を遠ざける
損益分岐点を把握している会社は、「今月はあといくら必要か」「この固定費を増やして大丈夫か」を判断できます。逆に、これを知らないまま固定費を増やすと、気づかぬうちに赤字が膨らみ、資金繰りが悪化し、最悪は倒産に至ります。
設備投資で固定費が増えるときは、補助金で負担を軽くしたり、融資の返済計画とあわせて銀行と相談したりすることも有効です(補助金の申請支援は行政書士の業務範囲です)。自社の損益分岐点という基準点を持つことが、守りの財務の第一歩です。
よくある質問
Q. 損益分岐点とは何ですか?
利益がちょうどゼロになる売上高のことです。これを超えれば黒字、下回れば赤字です。「最低限いくら売れば赤字を抜けるか」が分かる、経営の基準点になります。
Q. 損益分岐点はどう計算しますか?
「固定費 ÷ 限界利益率」で求めます。限界利益率は、売上から変動費を引いた限界利益が売上に占める割合です。粗利率ではなく、変動費を引いた限界利益率を使う点に注意が必要です。
Q. 利益を残すにはどうすれば?
固定費を下げるか、限界利益率を上げる(値上げや仕入れ見直し)かの2方向です。どちらも少しずつ改善すれば損益分岐点が下がり、資金繰りが楽になります。売上増だけが改善策ではありません。
Q. 固定費はどこを見直せますか?
使っていないサービス、過剰な在庫、不要なコストなど、見直せる固定費は意外とあります。一方、設備投資で固定費が増えるときは、補助金や融資の返済計画とあわせて検討すると負担を抑えられます。
まとめ
利益が残らない原因の一つは、固定費の重さです。損益分岐点(=固定費÷限界利益率)という基準点を持てば、「最低いくら売れば黒字か」が分かります。固定費を下げ、限界利益率を上げることで損益分岐点は下がり、資金繰りとキャッシュに余裕が生まれます。
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